
東京モーターショー2011のレポート続き。
話題沸騰のスバルBRZとトヨタ86。
この2台については、これまで大勢の皆さんがブログで取り上げられてきたので、ちょこちょことコメントはさせて頂いたものの、私には
「基本的に時事ネタはブログでは取り扱わない」
「基本的に自分の目で見たもの、体験したもの、書籍で読んだもの(WEBソース不可)しかブログでは取り扱わない」
・・・という、全く無意味なポリシーがあるので、本ブログではこれまで沈黙、傍観してきたが、ようやく私のブログでもこの2台をネタとして取り扱える日がきたワケだ。
■Subaru BRZ
FT-86は何年もに渡ってコンセプトカーとして出展され続けているウチに、「飽きられないため」に、だんだんとディテールがゴテゴテと過激に改悪され、幼稚なデザインとなった印象。
それが、市販モデルになり、そのあたりの「膿」が取り除かれ、キレイにまとまったな、と個人的には好印象。
展示車は写真のパールホワイトのものと、実際に触ったり座ったりできる青いものがあったのだが、パールホワイトという色のせいもあり、個人的にはスバル色は微塵にも感じず、どちらかというと「ベビーLF-A」的な印象。
ただ、それはそれで実物を目にし、おお、ちゃんとカッコイイんだな・・・・とちょっと感心した。
スバルのデザインって、およそプロのデザイナーがデザインしたとは到底思えないクオリティのものが多い・・・と個人的には思ってるのだが、BRZはきちんとデザインされたクルマ・・・という印象。
もっともデザイン担当はトヨタなのかな?
トヨタのデザインのあり方については以前から何回かブログで言ってきたように
「グローバル戦略車などはクオリティの高いデザインができるのに、国内向けモデルや貧民やDQN向けモデルは非常にクオリティの低いデザインを『あえて』リリースしているようで、コンシューマのデザイン意識レベルをバカにしている。また、コンシューマのデザインに対する意識を育てるつもりがない。結果、悪循環」
と、常々、不快に思っている。
・・・が、このBRZと86については、「コンシューマをバカにしていない」感じが伝わってきて良かった。
BRZの方はグリル形状により、近年のプジョー顔という印象。
実物を見ているときはそんなにプジョーっぽいとも思わなかったが、写真で見るとプジョーだ。
全体フォルムはクラシカルなFRクーペのプロポーション。
Eタイプ・ジャガー、S30Z、Z34、アストン、Z4なんかと相通ずる古典的なシルエット。
全体のバランスは美しく、タイヤ・ホイールの見せ方なんかも非常に上手い、教科書どうりのデザイン。
FRの教科書的デザインを絶賛する層の気持ちも良くわかるし、私も「イイね!」とは思うのだが、頭で「イイね!」と思っても心の琴線に触れたり、「欲しい!」と思ったりしないのは何故だろう?
BRZの「やってシマッタ」残念なダミースリット。
市販化の際は、本物の放熱ダクトになることを願ってる。
内装デザインはシンプルで良くできているのだが、外観どうよう、新しい提案のようなものはない。
また、重そうだ。
内装を見ると、86・BRZも、ZやCR-Zなんかと同様にオジサマ層・初老層をターゲットにしているのかな?と思える。
Z34、NCロードスター、Z4、ボクスターなんかに対し、BRZ・86が営業的に優位に立てるとすれば、後部座席があること・・・なのかもしれない。
「2座」というのはセカンドカーでないとかなりムリがあるので、使い物にならないぐらい狭い後部座席でもあると、絶大な強みになると思う。911しかり、TTクーペしかり。
エンジンが展示してあったのはちょっと嬉しかったが、諸元が全く書かれていないのにはガッカリした。
実は、みんカラ内で86とBRZで異様に盛り上がってる中、私が全く盛り上がれなかった理由はエンジンにある。
「スバルの新世代水平対向ベース」「つまり、FB20ベース」というもっぱらの噂だったからだ。
EJ20はボア×ストローク: 92.0×75.0[mm]
FB20はボア×ストローク: 84.0×90.0[mm]
EJ→FBへの世代交代で、流行りの文法に従ってロングストローク化して低速トルクを稼ぎ、「ダウンスピーディング」エンジンと仕様変更された。
で、実際に
FB20を搭載したフォレスターに乗ってみて、個人的にはEJに対してなんか煮え切らない、スカッとしない印象を抱いた。
なので、BRZ・86が「FB20ベース」なら、いくらチューニングしたところでスポーツエンジン足り得ない!!!・・・・というのが私の見解で、それゆえ、世間のお祭り騒ぎについていくことができなかった。
ところが、友人に教えてもらったのだが、BRZ・86の水平対向NAは86×86のスクエアなエンジンになったということ!
86×86というボア×ストロークの数値は、86という車名とゴロ合わせしたかったワケではなく、2L4気筒をスクエア化すると86×86となるのだが(ホンダK20Aも86×86)・・・・・
「86という車名とゴロ合わせしたかったワケではない」
とは言い切れないのがこのクルマに対するトヨタのスタンス(笑)。
「86とゴロ合わせしたくて、頑張ってスクエア化しちゃいました♪」
みたいな遊び心があってもステキだと思う。
ちなみにボクサー・ディーゼルのEE20も86×86のスクエアだ。
ボア×ストロークがスクエアであること、トヨタ製ヘッドのD4-S(直噴+ポート噴射のデュアルインジェクター方式)・・・ということを調べて知ってから、急にBRZがやたらとカッコ良く見えるようになってしまったので、私はやっぱりエンジン厨なんだろう。
スバルのクルマがモデルチェンジするたびに毎回、本ブログで「何で今回もEJは直噴化されないのだ?」と唱え続けてきた私なので、「ようやくか・・・・」と。
トヨタ製(?ホントに?)のD4-Sを使っての直噴化が技術的な事情なのか、トヨタ・スバル間の政治的・商業戦略的な事情なのか・・・は私にはわからないが、スバル(というかDENSO)の技術では直噴化できなかったのだろうか?
EE20(ディーゼル)は当然コモンレールなので、そのノウハウで直噴化できそうなイメージがあるが、コモンレールのピエゾインジェクタのノウハウと、ガソリンエンジンの直噴って全然別モノなのかな?
今度有識者に教えてもらおう。
・・・で、86。
BRZに対して扱いが小さいのは、私がスバヲタでヨタ嫌いだから・・・・というのもあるが、86の展示に対しての人だかりがスゴ過ぎて、あんまし写真が撮れなかったから、というのもある。
このオレンジメタリック系の色は、ZやCR-Zなんかでも使われているが、シニア向け、アメリカ人向け・・・・という印象。
(実際、ニッサンやホンダのディーラーの営業マンには、ZやCR-Zがオジサマ・初老をターゲットとしているため、原色系を充実させず、この手の色を採用したと聞いた)
仕事仲間の61歳の職人さんも、オレンジメタリックのクーペをやたらと欲しがっているのでシニアに受ける色なんだろう。
まあ、とにかく、スクエア+直噴の水平対向は非常に試乗が楽しみだ!!