■Honda Accord (DBA-CU2)
モデルチェンジしたばかりの新型アコードに乗ってきた。
●諸元
型式:DBA-CU2
グレード:24TL SPORTS STYLE
駆動方式:FF
エンジン:2.4L DOHC i-VTEC
トランスミッション:5速AT+パドルシフト
車両重量:1520[kg]
●エクステリア
アコードは先代のスタイリングがとても好きで、WTCC参戦

もあり、モデルチェンジ前に是非とも試乗したかったのだが、忙しかったのと、残念ながらEURO-Rの試乗車が大阪になかったので、試乗は叶わなかった。
新型もデザインはキープ・コンセプトでホッとした。
同様にキープ・コンセプトでモデルチェンジしたオデッセイは、生で見ると、衝撃デビューした先代よりも、更に洗練されてカッコ良く見えるが、アコードに関しては個人的には先代のデザインの方が好き。
でも、新型のデザインも嫌いではない。
●グレード
新型には24iL、24TL、24TL SPORTS STYLE、24Eと4種類のグレードがあるが、装備の違いだけで、エンジンは全て同一となる。
これはわかりやすく、また、迷いがなく好ましい。
(しかし、2Lモデルがナイということは、WTCC参戦も先代ベースで最後??)
試乗車はSPORTS STYLEで、18インチを標準仕様としているモデル。
歴代アコードは白が良く似合うが、正直、先代アコードも新型も、白や銀より黒・濃紺・赤などの方が良く似合うと思う。
●インテリア
インテリアは、ベーシックなデザインにホンダ・テイストを加えたものだが、良くできたデザインだと思う。
インパネまわりもカッコ良いし、全体的に使い易い。
で、質感も良い。
今回のモデルチェンジでアコードは更に車格と車幅と値段を上げてきたが、内装のクオリティはそれに伴っている感じ。
MTっぽいレザーのシフトノブのグリップ感やサイズは気持ちよいし、やたらとグリップの太いステアリングホイールからも良いアピールを受ける。
営業さんが、
「北米市場をターゲットとしたレジェンド、インスパイアと違って、アコードは完全に欧州市場向け」
と言っていたが、これには説得力を強く感じた。
先代がどうだったかは知らないが、新型アコード(CU2)は完全にBMW系ドイツ車的なフィーリング。
●ステアリング
ステアリングは車速感応式っぽくなく、重い。
で、これがかなり好み。
●足回り
足は硬く、しっかりとインフォメーションはあるが、ハーシュネス(突き上げ)はきちんと往なしている。
E90 BMW 320i、
Lexus IS 250などと同様の思想だが、個人的にはBMW 320i、Lexus ISよりもCU2アコードの方が好印象。
●ボディ
ボディも、「おおっ、剛性感!」という印象。
剛性と剛性感がイコールでないことはこれまでの試乗経験で思い知らされているが・・・。
これまでのホンダ車は「すごく剛性上がりましたよ」と言われても、なんだかブッシュ類で誤魔化されているようなモッサリした印象を受けたが、CU2アコードでは本当にガッチリした印象を受けた。
とても好印象。
●トランスミッション
トルコンも日本車のグニョッとした油圧感が少なく、ドイツ車のティプトロっぽい印象。いや、ドイツのトルコンよりもイイかも。
ロックアップへの移行が早く、ロックアップ時間が長い感じ。
とても好印象。
以前にも書いたが、
●Motor Fan illustrated VOL.21
によると、日本のメーカーは同じモデルでも欧州用と、米国・日本用で、ATの制御パターンを完全に変えているそうで、アメリカ人・日本人が、キックダウンでのローギア移行による加速や、トルコンの滑りを気にしないのに対し、MT社会の欧州人はアクセル操作に対し、エンジン自体のトルクによる加速感を求めるそうだ。
で、欧州仕様のATは加速時のギア下げ制御も少なく、ロックアップも早め・長めなんだそうな。
つまり、国産のトルコンのフィーリングが悪いとずっと私がボヤいていたのは、メーカーのせいではなく、ATユーザの要望からの連鎖らしい・・・・・・
・・・・・が、どうもCU2アコードが欧州向け仕様と日本仕様でトルコン制御を変えているようには思えず、まんま欧州仕様のTCU制御を行っているように感じた。
残念なのは、先代のオデッセイでも感じたことだが、ATのシフトアップ制御がホンダ・エンジンのオイシイところを逃してしまっていることだ。
パドルシフトによりマニュアル操作をしてみると、やはりアコードのエンジンも4500[rpm]ぐらいからがオイシイ感じなのだが、ATモードだと燃費のために、早め早めに上のギアに切り換わってしまう。
ただ、先代オデッセイの頃よりも、ATのマニュアルモード(ちゅうんかな?)の出来栄えが非常に良くなっていて、積極的にマニュアル操作する気になれる。
こんなことを思ったのは初めてだが、パドルシフトの操作感(レバーのタッチなど)もとても良い。
基本的にトルコンATのマニュアルモード付のものは、最初のうちはマニュアルモードを使ってみても、すぐに
「ああ、やっぱりこれはオートで使うのがいいんだな」
とやめてしまうのだが、CU2アコードはパドルシフト操作をする気になるクルマだった。
こういう印象を受けたのは、トルコンATでは
実家の先代TTクーペ以来かなあ?
(DSG、Sトロニック、センソドライブ、ツインクラッチSSTなどのロボタイズドMTは操作する気になる)
●エンジン
一番残念だったのはエンジン。
悪くないんだけど、大好きなホンダの直4だけに過剰に期待していた。
エンジンそのもののフィーリング的にはホンダのこのクラスの4気筒としてガチンコのライバルにあたるE90 BMW320iと基本的には似た方向性だった。
E90 BMW 320iは2Lで、アコードは2.4Lなので、そもそも大きなハンデがあるので当然だが、320iはモロにエンジンが車重に負けてる感があるのに対し、アコードは気持ちマシだった。
ただ、アコードの方は、トルクカーブがフラットじゃないのか、低回転域にフィーリング的にプアな部分があり、それに起因してか、加速時にターボのようなラグ・・・テンポ遅れがある感じ。
ラグの後はそれなりに速いんだけど。
もっと残念なのは、直4が車格に合っていないことだろうか。
回すと大きくはないが、雑味が多い。
これは振動バランスの取れない直4エンジンの宿命なのだが、
E30 BMW M3や、
S2000なんかのように、開き直ってこの振動をパンチのある騒音源にして、「元気の良い直4」を演出しないと、結局「安っぽい雑音」となってしまう。
なので、振動の小さいV6を積んでいる
Lexus IS 250や、
Nissan Skyline(V36)250GT、
Audi A4 3.2 FSI quattro (B8)や、4発でも振動バランスの取れる水平対向エンジンを積むレガシィなどと較べ、CU2アコードは車格の割にかなり安っぽいエンジンノイズを発生している(Alfa 159の2.2L 直4なんかも元気だけど安っぽかったなあ・・・・。でもV6モデルは太くてリッチだけど、モッサリしてた)。
●総評
・・・という感じで、総評としては、足、ステアリング、ボディ、ATは同クラスの他車種よりも好みだけど、エンジンが残念・・・という感じ。
あとは、やっぱりFFなのが個人的には受け入れられない(ホンダ車が好きなのに所有できない決定的な理由だねえ)。
自分のB4に乗り換えて、運転してみて、ボディはヘロいけど、エンジンは下からかなりトルクフルだしキレイに回ってるしイケてるなあ・・・と自画自賛。
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試乗記 | 日記
Posted at
2008/12/18 23:18:52