
火曜の晩から栃木に出張して、先程大阪に帰ってきた。
新幹線ではだいたいPC触ってるのだが、今回の帰りの新幹線では何故か酷く乗り物酔いした。
今回の出張では、ライフを移動手段としてレンタルし、栃木に住んでいるの大学時代の友人にDC5インテグラ・タイプRとGE8フィットRSを試乗させて頂いた。
一晩で3台のレビューはハードなので、まずは目玉のDC5から。
私の中でインテグラは、マイケル・J・フォックスのCM「カッコインテグラ」でおなじみの2代目で時間が止まってしまっていた。
中学生だった私には、初のVTEC搭載車である2代目のデビューがかなりセンセーショナルだったのだ(ホンダ第2期F1最強時代だったし)。
23年が経過し、インテグラが絶版されてしまった現在になって、ようやく自分の中でのインテグラ像、インテグラ時間が進んだ感じ。
DC5インテR、2L・NA・FFのスポーツカーとしてはひとつの究極系、完成形だと思った。
■Honda Integra Type R (DC5)
2006年、最終型。走行距離5万km程度。
全くのノーマル車両。
タイヤがBSプレイズに換わっているぐらい。
私はチューンドカーが大好きだが、DC5は絶版スポーツで、程度の良いドノーマル車に乗る機会なんて滅多になさそうなので非常に貴重な体験。
貴重な体験をさせて頂き、誠にありがとうございましたm(u_u)m
●エクステリア
特別に秀でたデザインだとも思わないのだが、昔からのホンダのスポーツカーらしいデザインが個人的には愛おしい。
特にお尻が大好き。
走りがとても良かったので、たぶん今後は今までよりも更にカッコ良く見えるんだろう。
(※私には、乗ってみてダメだったクルマは乗ってみる前と較べてカッコ悪く見えてくるし、乗ってみてイケてたクルマはその後カッコ良く見える)
●インテリア
タイプRらしいインパネまわり。
クルマのコンセプトやエクステリアにはマッチしていると思う。
純正レカロの座り心地は本当に良い。いかにもレカロな座り心地。
フルバケに慣れてると、セミバケはいかにも「重そう」に感じるのが難点だが(実際に重いし)。
着座位置はそれなりに低いのではなかろうか?
普段乗ってるビートがあまりに着座位置が低いので、最近、スポーツテイストのクルマに乗ると着座位置の高さがやたら気になるが、DC5では全く気にならなかった。
ペダルレイアウトは良い感じ。
今回の試乗時の靴は残念ながらPUMAのフューチャーキャットやスピードキャットといったドライビングシューズではなく、出張時の足裏の疲れ対策で
ランニングシューズ(PUMA FAAS)を履いていたため、ソールがソフトで厚めだったが、この靴でもヒール・アンド・トウはしやすかった。
ただし、個人的にはフットレストはもう少し手前であると良いなと思った。クラッチペダルに対しかなり奥の方に位置するため、左足ブレーキ時はフットレストからクラッチペダルを「またぐ」動作が必要となり好ましくない。
●エンジン~ドライブトレイン
エンジン型式: K20A
排気量: 1998[cc]
圧縮比: 11.5
ボア×ストローク: 86×86[mm]
最高出力: 162[kW](220[ps])/8000[rpm]
最大トルク: 206[N・m](21.0[kg・m])/6000[rpm]
6MT
※各スペックは
以前試乗したCL7アコード・ユーロRと全く同じ
K20Aのレスポンスが良すぎて、ブリッピングが毎回オーバーシュート気味になってしまった。
シフトアップ時の針落ちもかなり速いので、速いシフトチェンジを要求される。
純正でもフライホイールはかなり軽い?(特に発進時はシビアなコントロールを要求されたりしなかったが・・・)
同じK20Aだが、
CL7アコード・ユーロRよりも、低中回転域が更にトルクフルに感じた。
何の違いなんだろう?
ファイナルギアとか変速比とかかな?と思って見較べたが、最終減速比は同一の4.764で、1~3速までは変速比も同じだ。
ROM?バルブオーバーラップが大きい感じ?
個体差?
車重がアコードよりかなり軽いので、そこでエンジンがトルクフルに思えてるだけなのかな?
う~ん。。。
音源となるエンジン音はキメ細かい。
そして排気音は太い。
直4は直4の音なのだが、安っぽい雑味でもなければ、パンチの効いたアタック音でもなく、キメ細かい。割と澄んだ音だ。
CL7アコード・ユーロRのレビューでも「躾の良い」と表現したが、超絶レスポンスながら粗い感じはない。
・・・だからと言って、
997カレラのフラット6や、
E92 M3のV8ほどの高精度感はないが、価格もクラスも全然違うし、直4でこのクオリティはスゴいと思う。
車室内への排気音の飛び込みはノーマルマフラーでもデカい。このあたりは
CL7アコード・ユーロRとはさすがに異なる。
社外品にしたら、低速トルクが細るかもしれないが、どんなサウンドになるんだろう・・・とワクワクしてしまう。
6000[rpm]付近から上・・・・・VTECがハイカム側に切り替わるだけでなく排気系も切り替わるらしいのだが・・・・のスイッチの入り方はやっぱりスゴい。
「高トルク」ではなく「高出力」という表現がしっくりくるこのフィーリングはやっぱりNAならではなのだろう。
とにかく切れ味の鋭さが特徴。「疾い」。
昔ながらのホンダのスポーツ・エンジンのテイストでウレシクなる。
やはり、K20Aは世界最高の2L 4気筒NAエンジンなんだ・・・とつくづく思った。
K20A、ラブ♪
・・・・それにしても、私のプジョーの307SWのEW10/Dだって同じ2Lの4気筒NAエンジンなのだが、なんてプアなエンジンなんだろう。
回らないのに燃費悪いし。
(ただし、4気筒の雑味・振動は極めて少ないのは評価できるが・・・)
6MTは、ものスゴくキレイにスコスコとシフトチェンジが決まり、このクルマのコンディションの良さを実感した。
●ボディ、足回り
車両重量: 1190[kg]
EF世代のシビックやCR-Xのイメージを引きずっているので、
「きっと、とても軽快だケド、剛性がなくペラペラな感じなのかな」
という軽い先入観をもっていたのだが、乗ってみたら全然違った。
軽快だケド、シッカリとした剛性感がある。
剛性感=重厚感ではなく、軽快感と両立できている剛性感。
ドーンとした剛性感ではなく、骨格が目で見えるような感じ。
これはものスゴく好み。
コーナリングはとてもシャープで狙いどうりのところに行く。
K20Aと同様に「切れ味鋭い」というのが表現としてとても適切に思える。
・・・が、一度、コーナリング途中で、6000rpmぐらいからアクセルペダルを踏み足したら、パワーがあり過ぎて、フロントがパワースライドして一瞬アンダーを誘発してドキッとした。
これはタイヤがプレイズでグリップ不足だったからかも。
足は適度に硬いが、ハーシュネスは皆無。
ブレーキング・加速時のピッチング時、旋回時のロール量は小さく感じるが、実際にはストロークしてないワケではなく、減衰高めで妥当なスピードでストロークしているのかもしれない。
FFだが、常時リアにもシッカリしたトラクションを感じる。リアのスプリングが柔らかめで伸び側の減衰高めなのかなあ?(大ハズししてるかもしらんが)
サーキットではツラいかもしれないが、ストリート用としてはノーマル足で非の打ち所がないほど完成されているなあ・・・という印象。
純正タイヤではない、BSプレイズは、私のビート購入時についてきた銘柄で、
・ブロック剛性・サイドウォール剛性の低さ
・コンパウンドでのグリップではなくパターンでのグリップ
・熱ダレ速い
・・・などネガティブな印象しかなかったが、DC5ではそんなにネガティブに思えなかった。
サスペンションは意外にもプレイズとバランスが取れてるな、と思った。
オーナーさんにその点訊いてみたところ、「現在はプレイズに複数種類あってスポーツ寄りのものを履かせている」とのこと。
なるほど、
調べてみると、
・軽・コンパクト用
・ミニバン用
・セダン・スポーティー用
がある。
BS曰く「セダン・スポーティー用」はコーナリングに優れるそうな。
●総合
前述したように、2L NAクラスのFFスポーツカーとしてはひとつの完成形、究極形だと思った。
そして、往年のホンダファンが期待するようなホンダらしさ全開だった。
今までそんなに意識したことなかったが(FFやし)、このクルマがすっかり好きになった。
試乗中は、良く似た年代の同じエンジンを積む
CL7アコード・ユーロRとは結構違うんだな・・・と感じたが、一日経って振り返ってみると、やっぱり「違うケド同じ」(良い意味で)だと思う。
997カレラほどのインパクト・クオリティはなかったが、価格やクラス的にその比較は酷だろう。
・・・ということで、割と近いクラスの他のスポーツカーと比較してみよう。
■他の2000ccNA相当のスポーツクーペとの比較
●スバルBRZ vs DC5
BRZの低重心感とフロントミッドシップ感、FRであることは非常にポイントが高い。
DC5のシャシーも非のつけどころがないぐらい完成度が高い(=100点)と思うが、それを基準にするならBRZは120点以上なのかも。
ただし軽快感・シャープさはDC5に軍配。
エンジンは K20A >>>>> FA20。
FA20はK20Aのように軽く上まで回らないし、かと言って、低中速のトルク感、ピークパワー感もK20Aの方が上だった。
DC5は「速ぇぇぇ!!!!」と怖いぐらいだったが、BRZは遅い。
ただし、BRZを低重心たらしめているのはFA20ゆえなので、評価の難しいところ。
FA20はK20Aより12年遅れで登場した「スポーツ」エンジンで、同じ86×86のスクエアなので、もうちょっと頑張って欲しいところ。
K20A開発時期とはエミッション、燃費などの要求が厳しくなっているので、単純に高出力型NA・・・というワケにはいかなかったのかもしれないが、それでも・・・。
旧EJ20のNA仕様はFA20よりも「水平対向ならでは」のフィーリングでとてもキレイに回るが、K20Aと較べるとパワー不足が著しい。
●ホンダS2000(AP2) vs DC5
AP2に試乗したのが6年も前のことなので、もはやうろ覚えだが・・・
AP2の方が血沸き肉踊る感じ?
軽く高回転まで回るのはDC5の方かなあ。
足回りはAP2がゴツゴツ、DC5はストリートでもバランスの取れた足という印象。
どちらも好きだケド、FRという点で自分にはAP2。
非日常感はS2000の方が強い。(2座オープンなのもその理由)
●マツダ・ロードスター(NCEC) vs DC5
エンジンは K20A >>>>>>>> LF-VE。
同じ2L NAだが、ロードスターは非力。良く回るが、線も細く、速いクルマじゃない。
K20Aとは比較にならないが、同じマツダ内では、同一エンジンでもロードスター用はチューニングが異なるらしく、他車種と較べて精度が高い印象だった。
NCECも軽快で良く動くが、パワー不足だからか切れ味鋭いというイメージではない。
NCECが好ましいのは、オープンであること、FRであることかなあ。
●ホンダCR-Z vs DC5
CR-ZのIMA(ハイブリッド)のエンジン部に、4発の悪い意味での雑味が多く、また、気持よく回らない。イクことができない。
CR-Zの場合は剛性感=重厚感で、初代TTクーペや、BMWミニのようなテイスト。
これはこれで良く出来てると思うが、軽快感には欠け、昔ながらのホンダっぽさはない。
あと、腰高感が強い。
CR-Zはスポーツカーというよりスペシャリティーカーなんだろう。(・・・であれば、もっとスタイリングを頑張って欲しい)
●プジョーRCZ vs DC5
RCZは1.6Lターボなので、2L NAじゃないが・・・。
エンジンは K20A >>>>>>> RCZのエンジン。
RCZは速いクルマじゃなかったなあ・・・。バランスの取れた良いクルマだったケド。
そもそもスポーツカーじゃなかった。スペシャリティーカー。対象としている客層が全く異なる。
・・・本当に良い体験をさせて頂き、ありがとうございました。
インテRもK20Aも絶滅種となってしまったので、大事に乗り続けられることを期待しています。
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