
出張先で軽のレンタカーを予約したら、ダイハツ ミラ・イースだった。
アルト・エコと切磋琢磨競ってたエコ軽自動車なのだが、ジャンル的に全く興味をもてず、乗る機会がなかったので、じっくり乗ってみる良い機会を得た。
一応、2006年から続く「7代目」に属するらしい。
モデルサイクル長いな。
以前にちょこっと試乗させて頂いた、「
繁原製作所 EVミラ (GBD-L275V改) 」と同じ世代になるワケか。
結構、デザイン異なるケド。
■Daihatsu Mira e:S (LA300S)
●エクステリア
破綻していない、良くまとまったエクステリアだと思う。
顔は
・3代目 L200/210型ミラ(1990年 - 1994年)
・4代目 L500/510型ミラ(1994年 - 1998年)
・6代目 L250/260型ミラ(2002年 - 2009年)
を連想することができ、そういう意味では、脈々と受け継がれるミラの正常進化デザインと言えるのか。
・・・・なのに、なんでだろう?
個人的にはこのデザイン、あまりダイハツらしさとかメーカ・アイデンティティ的なモノを感じないんだよね。
正直、まとまってるケド、印象に残らないデザインだと思う。
●インテリア
軽自動車としては標準的な質感。
良くまとまっているケド、インパネ以外は特徴のないデザインだと思う。
ステアリングホイールにチルトとかテレスコとかナイので、シートポジションがかなり後ろ寄りな私には、ステアリングホイールが遠かった。
インパネのデジタル7SEGでの速度表示は、コレ単体では見やすいのだが、
シートポジションが高いのに対して、インパネが結構低い位置にあるので、速度を見るのに結構、大きく目線移動しないといけない。
そういう意味では「見やすい」とは言えなかったが、私の座高が高いのかな?ターゲット層が女子とか老人ならちょうどいいのかも。
インパネの機能は面白い。
インパネ上端左右のバーメーターは
燃費が良いときは緑、
イマイチだと水色になる表現。
で、アイドリングストップ中はその中央に「ECO IDLE」と表示されていた。
インパネ左側のクルマの形のアイコンのところには、
減速時のオルタネータでの充電中(※マイクロハイブリッド)表示(「CHARGE」と表現)など、ステータスを教えてくれる。
めまぐるしくステータスが変わるので、見ていて面白いのだが、たぶん1週間も所有したら私の場合は飽きるんだろう。
●エンジン、ドライブトレイン
型式: KF
種類: 水冷直列3気筒12バルブDOHC横置
総排気量: 658cc
ボア×ストローク: 63.0×70.4
圧縮比: 11.3
最高出力(ネット): 38kW(52ps)/6800rpm
最大トルク(ネット): 60Nm(6.1kgfm)/5200rpm
エンジンルームを観察。
「元ダイハツの中の人」(エンジン設計さん)と一緒だったのだが、
「うぉっ、
吸気系、エンジンルーム内の熱気をモロに吸う設計になっている!コレはアカンやろ!」
と二人でツッコミを。
レンタカーで借りてたときは十分に観察しなかったのだが、「フェンダー内吸気でフレッシュエアを・・・・」というワケではないと思う。たぶん。
フェンダー内吸気だったとしても、ちょっと距離があり過ぎる気がする。
やたら横長のエアクリBOXが気になったので開けてみた。
ふむふむ。特に大きな発見はなかった。
ちなみに、いろいろ観察したが、エアフロセンサがなかったので、たぶんDジェトロ。軽自動車のエンジンだし。
でも、だからといって、インマニ圧センサを見つけることができたワケでもナイ(笑)
走ってみると・・・
とにかく、アイドリングストップ(Eco Idle)が忙しい。
0km/hに到達する前にストップしている印象で、このため、渋滞時のトロトロ運転のときはあまりに頻繁にアイドルストップ、再セル始動・・・を繰り返すので、
セルスタータの寿命とかバッテリーへの負荷とか心配になってしまう。
また、
アイドリングストップ状態からの再セルスタートの音がデカい。
これは「元ダイハツの中の人」(エンジン設計さん)もツッコんでた。
セルスタート自体が乱暴なのか、軽量化(燃費目的)・コストダウンのための防音不足で車室内にモロに始動音が飛び込んできて耳につくだけなのか、あるいは、その両方なのかは不明。
他社のアイドリングストップ車と比較したワケではないが、他社のクルマではこんなに気になった覚えがないので・・・。
エンジン音は過負荷時は、掃除機系の雑味の多いチープな音色でかなりデカい音。
音がデカいが、車速はリンクせずに一歩遅れて付いてくるのはCVTのせいか(後述するがCVTは良くできていると思うが、
急加速時だけはこのタイムラグが気になった)。
エンジンの雑音の上に、CVT特有の「ヒュイーン」という高次の倍音が乗っかるので、かなりやかましい。
ただし、最近のWRCは観てないが、シトロエンC4とかフォード・フォーカスRS時代のWRカーの車載映像では、ヒュルヒュル音が鳴っていたので、「WRカーみたい」と思ってみると、ポジティブな音だと自分に言い聞かせることができる。
CVTは前述のように、多少は気になる部分があるケド、良くできている印象。
CVT特有のエンジン音と車速のリンクしない不自然さも特に気にならなかったし、滑り感なんかもなかった。
ロックアップ領域を広げた・・・とのことだが、そのあたりが巧いのかなあ?
シフトを「S」にすると、遅いなりに元気良くなる。
アイドリングストップしなくなり、エンジン音が常にデカい(笑)。
アクセル踏量に対してスロットル開度が大きく、CVTも減速比を大きめにしている印象。
●足回り、ボディ
最近のダイハツの軽自動車は、剛性感を強く推したテイストだったが、コレは
剛性感よりも、軽量感(※軽快感ではない)とソフトさが前面に出た味付け。
「エコアピールの味付け」なのか、燃費向上のために徹底的に軽くした結果として本当に剛性ダウンしているのかは不明。
近年の軽自動車、コンパクトカーにありがちな、「全体にダル」「モッサリ」な感じはなく、これは好印象。
ただ、
先日試乗したFit3 ハイブリッドのような小気味良さ、タイト感はナイ。
電動パワステが不当に軽すぎる。
不当に軽いケド、ちょっと切ったときは「不感帯領域」として、クルマの向きには反映されない(・・・ので、一応、安全なのか)。
「不感帯領域」を脱すると、ちゃんとステアリングホイールとクルマの向きはリンクする。結構良く曲がる。
「車速感応式 電動パワステ」の制御思想だよね。
私は基本的に車速が低いときは重ステ同様に重めのステアリング・・・の方が好きなのと、ステアリングホイールのわずかな操作に反応しないクルマは苦手なので。
ステアリングホイールのわずかな操作に過剰に反応するのは危険だが、パワステを不当に軽くせず、反力、手応えがあれば、リニアに反応した方が生理的に自然だと思う。
ただ、試乗レビューには残していないが、以前にレンタルした4代目ホンダ・ライフ(JB5~8)の電動パワーステアリングが本当に酷かったので、それと較べるとかなり自然だと思う。
基本的に
足はソフトで、加速時、減速時のピッチングは大きいが、ブレーキング踏力が一定なら、ピッチングによるフロントの沈み量も一定でフワフワ揺動せず、好ましい。
レートの低いスプリングに対してのダンパーの減衰のセッティングが的を得ている印象。
ソフトだが、路面からのハーシュネスは割と拾ってたかな。
ある程度シッカリ距離は走ったケド、そんなにグイグイ曲げるようなルートを走ってないので、アンダーステアだとか・・・はわからないが、結構シッカリ曲がるクルマという印象。
減速でフロント荷重がシッカリかかるので、前荷重でグリップして曲がる感じ?
ロールは大きいんだろうケド、個人的には不快感はなかった。
●まとめ
特にうまく文章・感想をまとめることができないのだが、以前よりも軽自動車の思想や味付けに多様性が出てきた印象で、それはステキなことだと思う。
●試乗記関連目次はこちら