
以前から好きで、ずっと乗ってみたかった
三菱のi(アイ)。
昨年の、「あなたが選ぶ カーオブザイヤー」に選ばれていたが、実は私も「i」に投票した。
乗る前から好きだった理由は、スタイリングと機構。
スタイリングは斬新なようで、25年ほど前に話題となった、カーデザイナー「ルイジ・コラーニ」のコンセプトカーにも通ずるデザインなので、妙な懐かしさを覚えるデザインである。
「ルイジ・コラーニのコンセプトカー」と言われてもピンとこない方は↓
タカラ エアロチョロQ ルイジ・コラーニ
をご覧あれ。
チョロQ初期をリアルタイム体験した世代なら
「ああ、アレかあ・・・・」
と納得してもらえる・・・・・・・・のではなかろうか。
好き嫌いは分かれるだろうが、アバンギャルドなようで、無駄のない、飽きの来ない秀逸デザインだと思う。
顔、サイドビュー、リアビュー、いずれのアングルで見ても好きなデザインのクルマってそうそうない。
カラーバリエーションもいいんだよな。
私はムルシエラゴLP640みたいなマットなグレー、黒、赤あたりが好き。
ライトイエローソリッドもまあ好きだが、いっそVW POLOやLUPOのようなテクノ系黄緑にして欲しかった。
あちこちで再三語られている、「室内容積を広くとるためのMR」も、やはりグッと来るではないか。
RRに近いMRで、ターボ+4WDだなんて、911ターボとも思想が近い。
で、ずっと乗ってみたかったのだが、ここんとこ、仕事のお客様・同僚・旧友などとの間に何かと話題に上るのもあり、やっと試乗してみた。
試乗車はグレード「G」(最上グレード)の、MR(非4WD)のターボモデル。
色はジンジャーブラウンメタリック。決して私が選ぶタイプの色ではないが、こういう色も確かに似合う。20年後に「20年前の名車」として扱われるのが目に浮かぶようだ。
【運転席に座ってみての感想】
・Gグレードの、本革巻ステアリングのグリップ感がとてもよい
・ステアリングにチルト機構がないのがつらい。個人的には少し角度を下げて欲しい。
・Gグレードの、本革巻シフトノブのグリップ感がとてもよい
・AT車だが、シフトチェンジがショートストロークで適度な硬さがあり、気持ちよい(ATのシフトでそんなことを思ったのは初)
・内装のデザインのまとまり方が好き。
ただ、エアコン~オーディオまわりはデザインは好きだが樹脂の質感はイマイチ。
各メーカのクルマに言えることだが、高級感をもたせようと樹脂をシルバーにするのは余計安っぽく見えるので、もっと割り切ったプラスチックの素材感にして欲しい。
・軽自動車にしてはシートが見た目、座り心地ともにイケてる。ただし、肩位置が低すぎて、自分の座高が高くなった気がする。
・主張するタコメータ。軽のAT車でタコがついていること自体珍しい。タコは見やすい
・車速はタコ中心にデジタル表示だが、位置・サイズ的に見難い。
・売りである車内の広さは確かに評価に値し、妻もしきりに「広いねえ」と褒めていた(ミニバンから狭いB4へ乗り換えた私へのイヤミだったりして)。
【運転した感想】
・軽とは思えない剛性感アリ。
・背の高さの割に、極めて重心が低いのは走っていてよくわかる。
しかし、着座位置・目線がかなり高いので、なんか転びそうな不安感がある・・・・のは、私がB4乗りだからだろう。
B4以前はアトレー→アトレー7と10年間も目線の高いクルマに乗っていた私。最近はキャンター、タウンエース、レジアスエース、デリカなども仕事で運転するが、商用バンやトラックほど「i」には割り切って乗れないということでもある。
自分の尻より低いところに重心がある感じが、なんかとても不思議である。
・ATが、シフトアップまでかなり高回転まで引っ張る。
ほとんどレッドゾーン手前まで使い切ってシフトアップしている。
珍しいな、こういうの。Alfa RomeoのトルコンATもそういうのみたいだが。
私的には◎。以前にオデッセイのAT車を試乗したときに、高回転までまわしてナンボのホンダのエンジンなのに回さずにシフトアップするATにかなりの不満を覚えたものだ。
・ギアチェンジ時のタコの動きが激しいので、
「トルコンATですよね。CVTじゃないですよね?」
と営業さんに聞いたら、
「どちらでもないです。変速はバルブを切り替えているだけです」
と回答された。なんか寝ぼけたことを言ってるなあ・・・と思い、帰宅してから調べたらやっぱりトルコンATだった。
・最近はどのAT車に乗っても思うが、やっぱりMTに慣れるとトルコンは気持ち悪いなあ。
SMARTみたいに「i」も是非とも2ペダルMTにして欲しい。
次期ランエボには搭載するって噂だし。
・3000[rpm]ジャスト付近からターボが効いているのはよくわかる特性。
3000[rpm]からの回転上昇レスポンスは異常に鋭く、一瞬でレッドゾーン手前まで到達する。
不可解なほど一瞬で吹け上がるのだが、クルマの動き自体は「ドッカン」ではない。
ドッカンではないのは褒められることだが、音・タコ針の動きと車速がシンクロしないのもそれはそれで少し違和感。
・ボディ剛性が高くなった分の重量増によるものか、ターボの64PSも車重に負け気味な気がした。
軽自動車に要求されることも多くなったので、64PS自主規制も限界だなあ・・・と感じた。
普通車の280PS自主規制も撤廃されたことだし。
スズキ Kei Worksみたいに、とにかく軽くて飛ぶように走る軽もあるけど、私はボディがしっかりしている方が好み。だからと言って剛性と軽量化を両立させるとASF(アウディ・スペース・フレームだっけ?)のようにやたら高額なものになるんだろうなあ。
・運転席は極めて静か。エンジンが遠いからである。
やたらとエンジン音がデカかったステラと対照的。
後部座席に座ってた妻は「後ろはそれなりに(音)大きかった」と言ってた。
・試乗コースが最悪で(R26をひたすら北上し、南下して戻るだけ)、コーナリングを評価できるポイントがわずかだったので、かなり意識を集中してのコーナリング。
着座位置・目線が高いが故の不安感はあるが、MRなので極めてターニング中の挙動が自然。素直。美しい。
普段、かなりフロントへビーなB4に乗ってる私であるにも関わらず、MRの動きに自然さを感じることができるのが不思議なものである。
【試乗を終えて】
・先代ムーヴ・カスタムに乗ったときもつくづく感心したが、最近の軽は「どーせ軽だから」という開き直りがなく、本当に真面目に作られているな・・・と。
この5年ほどで飛躍的に進歩したと思う。
・私の全体の印象としては、端々のツメはムーヴに若干負けてると思う(が、他のメーカよりは秀でてると思う)が、スタイリング・車内の広さ・MRによるヨーの自然さという他車には代え難い部分でやはり「i」が一番魅力的(ビートは別として)。
・将来的な二台所有は検討しているが、現時点では維持費も含め、諸理由により積極的でない妻だったが、「i」を間近で見て、乗ってみて、すっかり気に入ってしまった。
B4に較べてカワイイし、開放感もあるからのようだ。
「自分のクルマ、欲しくなっちゃうよね」だそうだ。
確かに。欲しいねえ・・・。