早速の調査入院中だが、のべ6~7日運転してのレビュー。
「慣れてしまう」「情が移る」前のギリギリのタイミングではないかと思う。
購入前の試乗記とは、やっぱりいろいろ異なる部分がある。
(試乗した車両とは個体も別だし)
走行距離50400[km]程度でのフル整備→納車後のレビュー。
■Peugeot 307 SW(GH-3EHRFN)
●エクステリア
外観は気に入ってる。
WISHやISIS、初代~2代目ストリーム、プレマシーなどの各種ミニバンを見かけると、特に307SWと変わらないように思えたりもするが、実際に307SWを生で見ると、
「いやいや、やっぱり307SWがカワイイな」
と思える。
フロントマスク。
ライオンのエンブレムの代わりにホンダのエンブレムがついていても、それはそれであんまし違和感ないかも。
307SW前期型の顔は、プジョーというより、同じPSAグループのシトロエンC3あたりと類似しているように思う。
個人的には後期型のちょっとアクの強い顔の方が好き。
サイドビュー。
ミニバンらしくなく、なかなかキレイなサイドビューだと思う。
純正アルミホイールのデザインが良いとは思わない(なんか重そうなのがイヤ)が、じゃあ、どんなのが似合うかと考えると、あんましイメージが沸かない。
社外アルミに変えると、車高の高さが目立つので、車高調やローダウンサスも用意する必要が生じる。
交換のつもりはない。
リアビューが好き。
テールランプの意匠が好み。
エンブレムレスだとか、
B4でも使っていたPUMAのエンブレムの増設とかも考えたが、なんかバランス悪くなりそうなのでヤメ。
ノーマルで。
最近はリアバンパーがもっと高い位置まであるのが主流だと思う。
デザイン的な流行りもあるのだろうし、衝突安全の絡みもあるのかも。
307SWのリアバンパーはやたらと低く、これはこれで良いと思う。
荷物の積み降ろししやすいし。
このクルマは斜め後ろからのアングルが一番ステキだと思う。
●インテリア
オーソドックスでシンプルで、嫌味のない高級感のあるダッシュボード、インパネまわり。
試乗して買わなかったオーロラグリーン車両の緑の内装の方が、独自の世界観があってステキだったが、この黒・グレーの内装もそれはそれ。
Audiに通じる・・・と以前にレビューしたが、残念ながらクオリティはAudiの方がだいぶ上だと思う。
307SWのインテリアは、デザインはAudi寄りだがクオリティはVW程度だと思う。
ただ、ステアリングホイールについては質感、握り心地など、絶品だと思う。
一応、チルト・テレスコ機能があるのだが、私のシートポジションはかなり後ろなので、目一杯テレスコでステアリングを手前に引き寄せても、やっぱり遠い。
せっかくの絶品ステアリングを適正に握れない。
エアバッグ付のステアリングで、スペーサーなんかで前後位置を調整できるかは微妙だが、一度バラしてみてみよう。
3列シート。
シートを一脚外した状態。
シートを倒したり、とか、脱着したり・・・は、かなり容易なので、この1週間でも頻繁にシートレイアウトを変更した(B4の大物パーツ出荷がいろいろあったので)。
ちなみに、一脚外して運ぶと、やたらめったら重い。
正直、そんなに重くじゃなくちゃイケナイのか??とゲンナリする。
307SWの車重はB4のノーマルと同じ1430kgなのだが、かなりの割合がこの7脚のシートで占められるのではないだろうか。
「人とくるまのテクノロジー展」や、
MFiのシート特集などでは、オフィスのシートのようにメッシュ地を使った超軽量なシートの紹介などがされているが、こういう時代はまだ先のことなんだろうか?
そんなにコスト増になるとは思えないが・・・・・。
長距離移動では疲れるのかな?
運転席のヒップ高さ、目線が高い。
いや、ミニバンとしては十分に低いのかもしれないが、個人的にはもう数cm下げて欲しい。
↑運転席・助手席下にはこういう隠しトレーがある。
人のよっては気の利いた収納かもしれないが、個人的にはこんなものいらないから座面をもちょっと下げて欲しい。
かと言って、シートを交換したりするつもりもないので、純正のシート、シートレールのまま、お金をかけずに、も少し座面を下げる工夫ができないかは今後模索が必要。
ペダルレイアウト。
右足: アクセル
左足: ブレーキ
での役割分担がとても自然なレイアウトなので、私は307SWでは右足でブレーキを踏むことがほとんどない。
というか、前後方向で言うと、アクセルペダルよりもブレーキペダルがかなり手前にあり、右足のアクセルペダル→ブレーキペダル移動があまりスムースじゃない。
誤操作を防ぐ目的のレイアウトなんだろうか??
左足用のフットレストがないのが残念。
307のプジョーの純正オプション品が存在したらしいが、1万円以上もするのにあんましカッコ良くない。
フットレストはアルミ板の余りを曲げたりして自作する予定。
●エンジン~ドライブトレイン
直列4気筒のNAエンジン。
全域にトルクが細い。
フラットトルクだから速く感じないようにも思えるが、たぶん実際にかなり遅い。
「必要十分」じゃなく「必要最低限」だと思う。
家族サービス車と割りきっていても、「必要十分」ですらないと、ストレスを感じることを知った。
最高出力もたぶんかなりショボいと思う。
スピードメーターは210km/hまで刻んであるけど、140km/hも出ないんじゃないかな、たぶん。
そこいらの軽自動車や1300ccクラスのクルマよりもトップスピードは低いと思う。
ただ、キレイに回るのは特筆もの。
直4特有の雑味が皆無。水平対向や直6のごとく、雑味・振動が少ない。
味がないとも言えるが、このクルマのキャラクターには合っていて良いと思う。
欧州車なので、ハイオク指定。
でも、給油口のフタ裏には「レギュラー」というステッカーが貼られているので、前オーナーはレギュラーを入れていたようだ。
萎える。凹む。購入前の確認が不十分だった。
日本のレギュラーのオクタン価:89
欧州のレギュラーのオクタン価:95
日本のハイオクのオクタン価:96
んー。やっぱりハイオク入れないとダメだろ。
前オーナーのレギュラー給油で、ノッキングが繰り返されていた可能性は高い。
たぶんプジョーのECUもノック検知で点火時期のリタード学習なんかはしてくれていると思うが・・・。
リタードから進角方向に学習値を戻そうとする度にノッキングしてまた学習・・・・という動作を繰り返していた可能性があり、エンジンの中身がちょっと気になる。
私はハイオクを給油しているので、一度ECUリセットすべきかも。
ひょっとすると点火時期のリタード学習がリセットされて、プアなトルクが小マシになったりする??
4速のトルコンAT。
「制御がイマイチ」と評判だが、確かにイマイチだ。
DモードとDsモードがあるが、Dモードは本当に走らないので、だいたいDsモードを使っている。
マニュアルモードもあり、一応自分で変速操作ができるが、マニュアル操作すると、アップシフト時のシフトショックが大きかったり、ダウンシフト時に変速比に対してのエンジン回転差をブリッピングではなくトルコンだけで吸収している様子がキモチ悪かったり・・・・で、あまり精神衛生上もクルマにも良くなさそうだ。
ぶっちゃけ不出来なAT。フィーリングも悪い。
あと、エンブレが効かない。
エンジン~ドライブトレイン系の慣性もあるのかもしれないが、制御も絡んでいそうだ。特にDsモードで効かない気がするので。
アクセルペダルOFFから、点火カットを速やかにしていないのだろうか??
●ボディ~足回り
ボディの剛性感は◎。
ただ、ドアがやたらと重たいので、シートの重さと合わせると、1430[kg]の内、かなりの割合がフレーム剛性に関係ない要素に割り当てられている気がする。
まあ、ドアが重いのは、側面衝突対策なので、家族サービス車両としては良しとしよう。
今まで内装を剥がしまくったB4に乗っていたので、かなり静粛。
悪路での乗り心地も良いが、思ってたよりはハーシュネス(突き上げ)アリ。
同じプラットフォームをもつシトロエンC4を初体験したときは、ホバークラフトのようなフラットライド感、ベビーパウダーのような乗り心地とインフォメーションのなさに驚いたが、そこまで顕著な「ネコ足」じゃない。・・・・が、
購入前の試乗の印象ほどドイツ車的な質実剛健なテイストではなく、やはりソフトな乗り味だった。
フラットライドで、あまり大きいロールやピッチングがなく、ピッチングの収まりも悪くない。
「乗り心地重視」なクルマとしては、トヨタや日産なんかより良く出来てるんじゃないかなあ。
ただ、タイヤからのインフォメーションが希薄なのが個人的にはNG。
高速域ほど、スムースに美しく走る。
もちろん直線の高速道路もキレイに走るが、アールの大きい高速コーナーでのしなやかな走りにはちょっと感動できる。
・・・が、実際には動力系がプア過ぎて、そんなに「高速」なワケではない(笑)
ロールはあまり大きくないが、強めのブレーキでのノーズダイブは大きいので、柔らかいスプリングを使いながら、スタビライザーでロール抑制してるんだろうか?
荷重移動がゆっくりなので、スプリングは柔らかく、ショックの減衰は高め・・・・という印象。
重量に対してスプリングレートが低いため、固有振動数が低く、荷重移動のレスポンスを遅く設定しているのに加えて、ショックもその方向性っぽい。
ブレーキング時のノーズダイブが大きすぎるので、怖くてあまりハードブレーキングはできない。
個人的にはフロントサスのバネレートはもっと上げたい。(お金かけるつもりないケド)
ちなみに、ハードブレーキングから停車までもっていくと、勝手にハザードスイッチがONになる(たぶん仕様)。
ステアリングホイールが絶妙だと前述したが、パワステの適度に重く、シュアな味付け、ステアリング剛性感も絶妙。
ここはかなりの高評価。
「高速コーナー」での走りが絶妙だと前述したが、低速コーナーはその逆。
全てを両立できる足回りって難しいよね。
納車日に、B4で良く走った「裏山」を軽く流してみたのだが、タイトコーナーが連続すると全然ダメだった。
フロントばかりで走ってる感じで(FFやし)、ホイールベースが長いからか、後ろは「遅れてついてくる」のではなく「フロントと無関係にバラバラな動き」をしている感じ。
あまりにダメ過ぎて、結構凹んだ。
ただ、↑は、私がFFの乗り方を知らないだけだったからかもしれない。
家族を乗せて六甲山にドライブに行ったのだが、タイトコーナーでも、常時ブレーキを残して、前荷重で走れば、案外しっかりと曲がる。
ただ、それだとアップヒルはどう走って良いのかわからない。
また、ダウンヒルも、ずっとブレーキを残しながら走ることになるので、車重を考えると、なんかフロントブレーキが気の毒で・・・・・。
タイヤは純正ではなく、BSのREGNO GR-8000 205/55R16。
このサスには合ってんじゃないかなあ。タイヤが勝つワケでも負けるワケでもなく。
パワーなさ過ぎて、タイヤがあまり重要じゃない??
●総評
走りには、思ってたよりもガッカリすることが多かった。
運転して特別楽しいクルマじゃない。
走りにガッカリしてしまうのは、307SWには
シトロエンC4ピカソのような、ライフスタイル・ドライビングスタイルに対するクルマからの強烈な提案が希薄だからだろう。
それでも「車両価格50万円以下で買う家族サービス用のミニバン」としては、やはりパーフェクトな選択ができたと自負しており、なんだかんだで結構気に入っているのだが、予想外に家族のリアクションが非常に薄いのがなんか報われない。
先週、六甲牧場まで行ったが、次女に至っては相変わらず「レガシィの方が好き」と言っている。
307SWを307SWとして割りきって、幸せに活用するには、やはり別途の趣味車が必要だと痛感。
B4のパーツ販売が順調だが、問題は妻なのだ・・・。
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