
社用車のプロボックス(MT、イケてます)の車検~整備期間中の代車のカローラ・ルミオン。2007年仕様。
「どーせ、そこいらの中庸、凡庸なトヨタ車」・・・と思い興味が持てず、特に乗ってみるつもりもなかったのだが、たまたま客先訪問に使用する必要が生じ、運転してみたら意外と面白かった。
■Toyota Corolla Rumion 1.8S エアロツアラー (ZRE-152N)
●エクステリア
スタイリングは「クルマ以外の何か」を連想させるが、何かが思い出せない。
ハッキリ言って発売当初の「四角いカローラ」というコンセプト自体が個人的にはダサい、不快だった。
bB(←自体もあまり好きじゃない。SMXは好きだったが)をベチャっと低くしたような見た目は、一時期流行った、エスクードのローダウン+ウーファー搭載車両を連想させる。
カローラ登録台数を増やしたいために、無理矢理カローラ・ファミリーに加えているあたりも不快。
GMあたりがデザインしていてもおかしくない風貌。
サイドビューは、初期のフォレスター(SF)を連想させるが、フォレスターの方が洗練されていると思う。
正直、ルミオンのデザイン自体は徹底的に批判するほど酷いものではないのだろうと思うが、コンセプトや成り立ちに好感が持てないのでどうしようもない。
●インテリア
私の好きなタイプのインテリアではないが、トヨタの「巧い」インテリア。
織物っぽい樹脂の表面処理とか、全体のコンポーネントのレイアウトとか、バランス良く、ソツなく、コストをかけずにそれなりに見せている。
メータ回りの工夫には特に好感が持てる。
慣れの問題があるので、ダッシュボードの最上部・中央位置のメータ配置が果たして本当に見やすいのか?・・・は、なんとも言えないが、
「こうしたら見やすいのではないか?」
「こうしたらカッコイイのではないか?」
・・・という努力・トライが感じられる。
シルバーの部分の質感が残念な感じだが、まあ、これはDIYでアルミでも貼れば・・・・。
今まで、スピードメータはデジタルの数値表示のみでも良いと思っていたが、やっぱり数字だけだとわかりにくいかも(笑)
ステアリングホイールのクオリティは微妙。
決して悪くないのだが、グリップがイマイチ細いためか、なんかイマイチ。
トランスミッションはCVTだが、「7速スポーツシーケンシャルシフトマチック」というマニュアルモードによる段付け機能がある。
この機能についてのレビューは後に回すとして、このパドルシフトの使い心地だが・・・
最初、私は写真のオレンジの○で囲った「+」「-」の部分に一生懸命、指を伸ばして操作していた。
指が届きづらく、「なんて使いづらいんだ!」と思っていたが、緑の○の部分を操作するのが正解で、わかってからは使いやすくなった。
フットレストがしっかりあるのは好ましいが、ブレーキペダルがアクセルペダル寄りにオフセットされ過ぎていて、左足ブレーキには向かない。
シートの座面がやたらと分厚い感じがするのは、プロボックスなんかと同じで、好きになれないのだが、座面位置に対し、相対的にダッシュボードや窓枠の位置が高いので、着座位置が低く感じる。
囲まれ感があってちょっとイイ感じ。
●エンジン~ドライブトレイン
エンジン型式: 2ZR-FAE
ボア×ストローク: 80.5×88.3
圧縮比: 10.0(イマドキにしては低い??VVT-iで有効圧縮比をコントロールするにはこれぐらいが扱いやすいのか?)
排気量: 1797[cc]
最高出力: 100[kW](136[ps])@6000[rpm]
最大トルク: 175[Nm](17.8[kgf・m])@4400[rpm]
トヨタのルミオンのエンジンのページを見ると、デュアルVVT-i(可変バルタイ)に加え、可変バルブリフトの「バルブマチック」搭載と書かれており、エンジンヘッドのカバーには誇らしげに「VALVE MATIC」のエンボスがある。
ところが、この代車のエンジンヘッドカバーには「DUAL VVT-i」としか書かれていない。
バルブマチックは2009年のマイチェンに搭載されたとのことで、この代車は2007年仕様なので、残念ながらバルタイのみ。(・・・もっとも、バルブマチックのクルマにも乗ったことがあるが、何も感じるところはなかったが・・・・)
凡庸な直4エンジンだった。
芯がなく、太くもなく、薄っぺらな感じ。
直4にありがちな安い雑味・・・・だが、クルマ総合で言うと、エンジン雑音よりも風切り音の方がデカくてエンジン音はあまり問題にならなかった。
予想外に感心したのはCVT。
マニュアルモードではなく、いわゆるATモードで使用したときのフィーリングがまず良い。
かつてのトヨタのCVTは、加速するためにアクセルペダルを踏んだときにエンジン回転数が一定のまま車速だけが上昇したり(変速比のコントロール)・・・・と、生理的に気持ちの悪い制御がなされていたが、このルミオンのCVTでは、加速時はきちんとエンジン回転数が5000~6000rpmまで上昇する。ナチュラルだ。
で、アクセルペダルをフッと離すと、エンジンブレーキが効かずに、エンジン回転数は瞬時に1000rpmあたりまでスッと落ち、でも車速は一定のまま巡航される。
ここはMTとは根本的に異なる動きなのだが、違和感のないキレイな制御だ。
で、パドルシフトによる段付きマニュアルモード。7速。
スバルR1なんかにもCVTにも段付きマニュアルモードが付いていたが、個人的には
「せっかくの無段階変速に何でワザワザ、段をつけるんだ??」
と思っていたが、操作してみたら、トルコンATのマニュアルモード(=ティプトロ)なんかと較べ、むしろずっとイケてた(笑)。
パドルで変速したときのレスポンスがとても良い。
レスポンスが良いが、「ガツン」とシフトショックがあったりするワケではない。
速い比例ゲインでの制御に対して、オーバーシュートや矩形波的な制御ではなく、CVTだからこそできる、素早く適切な「角を丸くする」制御が実現できている。
パドル操作が予想外に楽しく、気持よかった。
●足回り
タイヤはヨコハマ S70A 195/65R15。
トヨタにしてはシッカリした足。
踏ん張る。
ドイツ足調。
かつてのトヨタの大きすぎるピッチング、収まらずに繰り返すピッチングはルミオンでは感じることができなかた。
踏ん張るケド、シャープな足ではない。
固有振動数では説明しにくいな。
実際の数値はわかんないが、ワイドトレッド感がある。
これもドッシリとした印象に貢献している。
「○○のステージで無類の気持ちよさ」みたいなサムシング・エルスはないが、まあ、嫌いじゃない足だった。
あえて言うと、前荷重状態からのブレーキリリースで、急に荷重が戻るので、フロントの伸び側の減衰はもっと高めだとイイと思う。
でも、これはウチの307SWも同じ問題を抱えているし、フロントヘビーなクルマの宿命なんだろうか。
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