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イイね!
2007年12月30日

シフトアップ時のダブルクラッチ

シフトアップ時のダブルクラッチ 少し前のネタで、旧車乗りやMTドライビングに精通した人には当たり前の話かもしれないんですが・・・・・



スバルのECUをイジっている人以外には馴染みのない言葉で「IAM(Advanced Multipler)」というパラメータが存在する。

IAMはノッキングを検出すると値が下がっていく。
IAMが下がるとそれに伴い点火時期の進角も少なくなり、結果Fail Safeとなる仕組み。
IAMがあるスレッショルドを露骨に下回ると、Wastegate Dutyも0となり、ブースト圧が0.5以上に上がらなくなったりもする。


以前にも書いたことがあるが、IAMが降下するタイミングは実走ログを見ると、おおよそベタ踏み時のときではなく、シフトアップのときだった。

図のログのように、シフトアップ時にアクセルを戻して(Idle Switch == 1)、クラッチを切る(Clutch Switch == 1)と、その間燃料カットによりA/Fが20.33(ログ上限値なので実際にはもっと大きい)という超リーン状態となる。
ここで、クラッチを繋ぎながらスロットルを開くと、図のログの6行目のように

 ・回転数:5186[rpm]
 ・負荷:2.29[g/rev](高い!)
 ・ブースト圧:0.9[bar]

という高負荷にも関わらず、

 ・燃調:15.39[AFR](リーン!)

という状態になってしまう。
で、結果としてノッキングを生じIAMの低下を招いてしまう。


この現象は、私の経験からは、より負荷・ブーストの高い3→4速、4→5速で発生しやすく、ストリートではIAM降下が起こらなくても高速道路走行で発生したりしていた。


当時は、アクセル変化量に対して燃料を足してやる「Throttle Tip-in Enrichment」を増量してみたり、よくIAM降下が生じている4800~5600[rpm]付近の「Open Loop Fueling」をリッチ化してみたり、点火時期をノーマルよりも遅角化させたりしてみていた。
しかし、症状が発生するのはベタ踏みによる高負荷ではなく、シフトアップ時に一回燃料カットされるのが原因なので、なかなか解決に至らない。4800~5600[rpm]は「IAMが生じやすい回転数」ではなく、「7000[rpm]台まで回してシフトアップしたときの回転数」なのだ。


で、ドライビングスタイルを見直すことにした。

シフトアップ時のスロットルOFF、クラッチを繋いでからのスロットルONが速すぎるのか・・・・と、アクセルコントロールをいろいろと試してみていた。
はじめのうちは手探りなので、ギクシャクとした操作となってしまい、大きなシフトショックを発生させてしまったり・・・。

そんな折、
「そういえば、シフトアップ時も本当はダブルクラッチした方がよいって何かで読んだなあ・・・」
と思い出した。

シフトダウン時は、昔からダブルクラッチをきちんと使っていた。ヒール・アンド・トゥの際もダブルクラッチを行い、ニュートラルにクラッチを繋いだ状態で空吹かしを入れていた。

が、シフトアップ時のクラッチ操作は一回で済ましていた。
確かにそれでは、クラッチを切った状態でエンジン回転数は下がっても、シンクロの回転数は下がらない。
で、シフトアップ時もダブルクラッチを使うようにしてみた。
2→3速へのシフトアップ時には、

 2速
 ↓
 スロットル閉
 ↓
 クラッチ切断
 ↓
 シフトをニュートラルへ
 ↓
 クラッチ接続(半クラは使わない)
 ↓
 回転数降下を待つ(短時間。もちろん空吹かしは入れない)
 ↓
 クラッチ切断
 ↓
 シフトを3速へ
 ↓
 クラッチ接続(半クラは使わない)
 ↓
 スロットル開

という操作を行うわけだ。

操作手順は増えるが、クラッチの接続時に半クラを使わずに「スパンッ」と接続してもシフトショックはなく、シフトアップは自然な感じとなった!

もちろん、減速比が離れているギアへのシフトアップ時はニュートラル状態での待ち時間は長くとる。
シフトチェンジ前のスロットル開度が大きかった場合も同様。
そうでないときは、「スパン、スパン」と素早い動作での切り替えとなる。
はじめのうちは待ち時間の読み違いもあったが、2週間ぐらい実践してたら、だいたい考えなくとも狙い通りの気持ちのよいシフトアップができるようになった。


で、肝心のIAM問題。
シフトアップ時のダブルクラッチを徹底するようになってから、全く降下することがなくなった!!!



「ダブルクラッチは、シンクロ無き時代の遺物だが、シンクロをいたわるためには現在もするに越したことはない」
と一部で言われたり、
「現代のクルマはシンクロが優秀かつ丈夫だからそんなもん必要ない」
と言われたり・・・・で、いろんな考え方があるみたいだが、少なくともレガシィの燃調アルゴリズムにはシフトアップ時のダブルクラッチを行うことが有効なようだ。

まさか、ECUセッティングと実走ログから、そんなことに気づき、10年以上続けていたドライビングを変えることになるとは思わなかった。
「ヒール・アンド・トゥ時の素早いダブルクラッチは腕の見せ所だけどシフトアップは初心者でもできるモノ」だと思っていた自分が恥ずかしい。
冒頭にも書いたように、旧車乗りやMT運転の達人には「10年も乗ってて知らなかったのか!」とツッコミが入りそうですが・・・・^_^;


以前に、Alfa GTのセレスピードを試乗したときに、シフトアップ時の異様に長い間に
「なんて不出来なんだ!!」
とツッコミまくったもんだった(DSG試乗より後だったし)。
しかし実際には、シフトアップ時の回転合わせにはそれ相応の時間がかかるので、仕方のないものだ・・・ということを、今さらながらに実感。

う~ん、クルマって奥が深い。




●レガシィB4(BL5A)のECUチューン関連目次はこちら
●レガシィB4(BL5A) 関連目次はこちら
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Posted at 2007/12/30 13:10:30

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この記事へのコメント

2007年12月30日 13:29
はじめまして 最新式でも見えないところに苦労がある
のですネ。こちらはシンクロが渋いのとクラッチがヤバイ
ので何気なくやってますが。
                   HKY@AA63
コメントへの返答
2007年12月30日 16:22
はじめまして。コメントありがとうございます!
秒殺で旧車乗りの方にコメント頂けるとは6(^_^;;)

歴代セリカの中でもAA63という選択が渋すぎっすね!
泉州ではST200、ZZT230は見かけるけど、それ以前のモデルは全く見ないす。たま~に初代は目撃したりしますが。

最新式といっても、シンクロが全て吸収してるように見えて、実は結構負担をかけてる・・・・肝心な部分をうまく誤魔化してしまってるとも言えますよね。
私もB4をトコトン長く乗りたいので、シンクロに負担をかけないドライビングを心がけます!

2007年12月30日 16:58
シフトアップ時ですが、私の場合アクセル切って回転が若干落ち始めた瞬間にクラッチを切って落ち始めの勢いでエンジンの回転を落としてからクラッチをつないでいます。
結構タイミングが難しいですが、タイミングが合えばエンジン回転がシフトアップのギアの回転にあいますよ(^^)
加速的には一瞬エンブレをかけるような感触ですが、回転はすぐにあうので車にはやさしいと思います。
ほんの一瞬エンブレをかけてからクラッチを切るというか、エンブレがかかる瞬間にクラッチをバンと切るのではなくてすっと切るというか・・・。
うまくいくとATに負けないシフトアップですよ(^^)
(大げさかも・・・。)
コメントへの返答
2007年12月30日 17:19
なるほど!
クラッチOFFだと慣性で回転下降が遅いから、あえてクラッチ切断前にエンブレを効かすわけですね。
みなさん、いろいろ考えられてるんですね・・・・
面白そうなので、試してみます!
2007年12月30日 21:49
某全日本ラリードライバから入れ知恵されてから,加速時にクラッチミートしたままシフトを抜くという練習をたまにやっています.シフトを入れるときはクラッチを切ります.シフトを抜くときのアクセルコントロールにコツが要ります.エンブレが効くまでは行かないのですが,その瞬間,加速を止めて等速度運動にするようなイメージです(加速中は抜こうと思っても抜けません).狙うところは,はそさんのと似ているのかも.
コメントへの返答
2007年12月30日 22:44
ダブルクラッチではないけど、ニュートラルには一度繋ぐ・・・
というわけですね。

「クラッチミートしたままシフトを抜く」は私も聞いたことがあります・・・が、クルマには大丈夫なのかなあ・・・・と実践したことはないです。
どんなもんなんでしょ??

加速時でなく、減速して信号で停止するときなどにクラッチ繋いだままニュートラルに、という操作は昔、ズボラ運転で結構やってたんですが、B4ではやってないです。

これまた面白そうなので、私もトライしてみます!

燃料カットはClutch SwitchでなくIdle Switchに依存していて、これはスロットルの開閉に依存していることはログから明白なので、やっぱり鍵はアクセルコントロールですね。

> 某全日本ラリードライバから入れ知恵

↑ここが羨ましいです^_^
2007年12月31日 0:43
はじめまして
バルタイ関連でアクセスしました。

ダブルクラチッチですか・・・。
私もmistbahnさんと同様な症例に悩んだ次期がありました。
私の場合は、
①アクセルOFF
②クラッチ切らずギヤ抜く
③若干の間置いて、クラッチ切り
④以降同様


極端な場合(急いで加速中等)
①,②上記同
③アクセルハーフで回転合わせ
 その間に入れたい場所へ軽くシフトを当てて待機
(決して、ギャリギャリ云わせない事)
④回転合うとクラッチ切らずそのままスコッっと・・・。


てなことを実践してます。
コレが一番気持ちよく加速していきます。
ちなみに、アクセルOFFでギヤ抜いてもなんら問題発生しておりません。
これをやり初めて8万kmになります。

以上、ご参考まで・・・。
コメントへの返答
2007年12月31日 2:15
コメントありがとうございます!
すごいハンドルネームすね(^_^;)

同じ症状・・・やっぱりあるんすねえ。
ECUでは一般的な現象なのか、スバル・クオリティならではなのか・・・・。

シフトアップ、SAもなもなさんのアドバイスと同じ手法っすね!
この手法でシフトアップされてる人って実は多いんでしょうか?

背中を押されました。チャレンジしてみます!!
2008年1月1日 23:27
はじめまして。
最近OpenECUを導入致しまして、色々と参考にさせて頂いています。
うちの車はクラッチスタートキャンセル用のコネクターを付けていますので、クラッチペダルの操作がECU制御に影響するというのは少々ショッキングな事実でした。

ちなみにシフトアップ時は上でもコメントが付いているように、レバーをニュートラル側にテンションを掛けておきながらアクセルオフし、クラッチを切りつつ次のギアに放り込むというのがよさげですね。私は不精なので、Wクラはシフトダウン時のみです。
もっともGDBならシンクロは強力なので、ノークラでのシフトアップは楽勝だったりしますが。

ただIAMによる制御変化の閾値を超えなければ、少々のIAM値変化が起きても実害はないような気がするのですが。そのあたりは実際問題としていかがなんでしょうかね(^^
コメントへの返答
2008年1月1日 23:42
はじめまして!
コメントありがとうございます。

皆さんにご意見頂いたので、昨日・今日とちょっろとしたお出かけでシフトアップを試行錯誤中ですが・・・・ギコチないので、家族を乗せての年末年始は従来通りのダブルクラッチでのシフトアップとすべきかなあ・・・と考えたりしてます。

> IAMによる制御変化の閾値を超えなければ、少々のIAM値変化が起きても実害はないような気が

IAMは、確かにある閾値以下とならなければブースト0.5病の原因とはならないですが、点火時期は「Base Timing」に「Timing Advance」×IAMが加算されるので、IAM降下で点火時期進角量が少なくなり(ノッキング対策)、トルクとフィーリングが悪くなります。
それ以前に、IAMはノッキング検知で下がっていく仕組みなので、IAMの降下は軽視すべきでないと私は考えてます。

プロフィール

「HAOC 鈴鹿ツイン。
ベストは1枠目の1分11秒141。

自己ベストはコンマ3秒更新できたケド、絶好のコンディションにも関わらず、目標の1分10秒を叩き出せず残念感炸裂😩

3枠目、4枠目と走りのアジャストは進むのにタイムは11秒5、11秒8とズルズル下がった😓」
何シテル?   11/24 17:43
ビート(PP1)、アコード・ユーロR(CL7)、三菱アイに乗っています。 ビートでのサーキット走行(タイムアタック)とチューニングを続けています。 鈴鹿...
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