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2014年01月08日 イイね!

【書籍】auto sport(オートスポーツ) 2014/1/17号(No.1372)

【書籍】auto sport(オートスポーツ) 2014/1/17号(No.1372) 2013/11/15号(No.1368)のレビューで「退屈になった」と書いたauto sport。

退屈ながらも前号と今号の2冊を惰性で買ったのだが、今号は面白かった!


■auto sport(オートスポーツ) 2014/1/17号(No.1372)

出版:三栄書房 (2013/12)


2014年は各カテゴリーのレギュレーションが派手に変更となる活気的なりセット・イヤーなのだが、その特集。



●2014年GT500車両 共通パーツカタログ

GT500はモノコックをはじめとして約60点が「共通パーツ」となるそうだ。
で、「共通パーツ」なので、企業秘密などなく、「隠す必要がない」からこその、写真集とのこと。



私はスーパーGTのファンではないが、この「共通パーツ」の写真集だけでも、本誌を買う価値があるなあ・・・と感じた。

見応えアリ!

ただし、

・ブレーキ: ap racing
・ギヤボックス: ヒューランド
・クラッチ: ZF
・ダンパー: マルチマチック(※カナダね)
・燃料タンク: ATL
・電装: BOSCH

・・・と、紹介されている全てのパーツが海外製なのが残念だった。
DTMとの共通規格化があるとはいえ、これで良いのか?日本メーカー・・・・・。





●燃料流量計「精度」に問題アリ

2014年は、F1もWECも「燃料流量制限」となる。(GTやスーパーフォーミュラもか)

で、燃料流量計の出番となるワケだが、このセンサの精度が低く、問題になっているとのこと。



センサメーカは「ジル・センサーズ」社。

mistbahnはセンサをいろいろ使う仕事をしており、ドイツ製のデバイスなんかも使うことがあるのだが、このメーカは知らなかった。

このジル・センサーズが元々0.15%精度のセンサを完成させていたが、同社の中心人物の退社により再設計が必要となり、現状1.7%という低い精度のものとなっているそうな。
危険回避のための「スイッチ」としてはそういう粗い精度のものを使うこともないワケではないが、1.7%は酷いな。

(※備考)本誌には明記されていないが、センサにおける精度[%]は、計測フルスケールに対しての精度。

私は仕事では「精度は犠牲にしても価格優先」とされる場合に±0.5%のセンサを選定・採用することはある(※0.5%がひとつの基準)が、Audiでも「0.5%」がひとつに基準らしく、Audiのエンジン設計チームのウルリッヒ・バレツキーが「0.5%」という数字を引合に出して語っている。

"0.5%の偏差であっても、仮に総使用量を2000Lとすれば最大で50Lの違いになる。これだけの差があるともう勝負にならない。"

そりゃそうだろう。


圧力センサ、温度センサ、トルクセンサ・・・などいろいろなセンサがあるが、流量センサって基本的に高価。

エンジン評価ベンチの燃料流量計測に良く使われる流量計にも±0.2%精度のものや、±0.5%精度のものがあるが、±0.2%のものが使われるのは結構上等なベンチで、おおよそのベンチには±0.5%のものが使われている印象。
それでもアンプやとセットで100万円程度するんだよね。。。(±0.2%はモチロンもっと高価)


流量を、ある程度まとまった時間での積算流量とするならなんかしら方法はあると思うが、レースの舞台で、瞬時流量センサでの規制を行うのは無理があるだろう。

この一年、ずっと「燃料リストリクタ」という言葉が飛び交っていたので、もっとメカ的な流量制限方式をイメージしていたのだが・・・・。


さて、どうなるのかな?もう時間もないケド。気になるところだ。




●当事者に聞く「2014年F1パワーユニット戦争」



新レギュレーションの話題(主にV6ターボ、ERS)はこの一年以上、飽きるほどいろんな媒体で読んできたが、ぼちぼち「レギュレーション紹介」も落ち着いてきて、そのレギュレーションに則した突っ込んだ話題になってきた。


●Interview ルカ・マルモリーニ(※フェラーリのエンジン&KERS部門責任者)

フェラーリは

"KERS(※この呼び方は古いのでは?)に定量の出力を供給するためにバッテリーを「バイパスする」手法にかなりの勢力を注いでいるらしい。"

"ドライバーがKERS(※この呼び方は古いのでは?)を回収モードにした際には、強力な電流が流れ、これが一種の電気代のブレーキとして機能する。つまりブレーキングパワーをそのまま電気エネルギーに変換。瞬時にエクストラの出力として活用する最善の応報を、カレラは新規約攻略の柱に・・・"


とのこと。


減速時の回生エネルギーを減速後の加速に即座に使用するための「バイパス」に関してはイメージできなくはないが、「瞬時に」と言っても、全く時間差がないワケではないので、どうするつもりなんだろうか?

レスポンスは重要なので、レースではトヨタなんかも、電気の出し入れをスピーディーに行うためにバッテリーの代わりにキャパシタを採用したりしているが、それではまだレスポンス不足なのだろうか?


そもそも、ライターは理解して書いてるのかなあ?

ハイブリッドにおいてブレーキング=電源回生(つまり発電)は昔からの常識で、

「回収(=充電)する際にブレーキとして機能する」

というよりは

「ブレーキ(=減速)時に回収(=充電)する」

だと思うのだが・・・・。




●Interview 今井弘(※マクラーレンの上席エンジニア)



元BSの人ね。

2014年のレギュレーションではレブリミットは15000rpmだが、そこまで回す意味はないとのこと。

"具体的には10500回転ですね。14年の燃料流量規制では、リニアに増えていく流量が、10500回転で固定になる。なので、それ以上回しても燃料流量は同じなのでトルクは増えない。逆に回転数が上がることでフリクションが増えていくので、トルクは下がってしまう。効率が落ちるということです。"

ふむふむ。
ロマンはないがリアリティはあるな。。。




●Interview エイドリアン・ムーア/ピーター・ディグビー(※Xtrac 2014 F1ギアボックス テクニカル・ディレクター)



嬉しかったのは、この記事。

この1~2年、2014年のF1レギュレーションの話題と言えば、前述のようにV6ターボとERSでもちきりだったが、ギアボックスに着目して掘り下げた記事を掲載したauto sport誌がステキだ。

話題にならないのは当然で、大きなレギュレーション変更はないらしいが、ギアの数は2013年は7枚、2014年は8枚に増えるそうな。




どちらかというと技術レギュレーションよりも「スポーティング・レギュレーション」の変更が大きいとのこと。

"13年の場合、ギヤボックスは5戦にわたって封印・・(中略)・・2750kmに相当・・(中略)・・・。14年、ギヤボックスは1基で6戦あるいは3300kmをカバーしなければならない。"

"14年のF1用ギヤボックスは、ル・マンで必要とされるものに較べてもそれほど大差はなく、その要求水準はかなり厳しい"

"13年の場合、各チームが使えるギヤ比は30種類に制限されていた。しかもシーズン開幕戦の前にそれを指定しなければならなかった。10年より以前は、シーズンを通して70~80種類のギヤ比を使っていて、頻繁にそれを換えていたんだけどね"


"(14年の場合)開幕戦で各チームは自分たちが使いたい8速のギヤ比を申告する。そして彼らはシーズン最後までそのギヤ比を使い続けなければならない。モナコでもモンツァでも、あるいはスパでもシンガポールでも同じ8速のギヤを使うことになる。"

"この変更の理由だが、ひとつには製造コストとF1カーを走らせる運用コストを下げることにある。ギヤ比の数を制限すれば必要な在庫も減らせるというわけだ。また各チームが購入するギヤの数も減る。Xトラックの私たちにとってこれはそれほど良いことではないが、しかしマシンを走らせる全体のコストを考えれば良いことと言える"


・・・・なるほど。

全サーキットで共通のギヤ比というのは衝撃だな。

我々、クラブマンレーサー(・・・というほどカッコイイものか?)と変わらないではないか・・・。

最後の「Xトラックの私たちにとってこれはそれほど良いことではない」というコメントももっともで、正直で微笑ましい。


普段、F1を観ていてもギヤボックスは

「ギヤボックス交換によるペナルティで5グリッドダウン(※フェラーリ×マッサの場合は戦略上ワザと)」

というぐらいにしか登場しないので、この記事は新鮮で面白かった。




●フォーミュラE

アラン・プロストや、マーク・プレストン(スーパーアグリ・フォーミュラEチーム代表)などのインタビューを掲載されている。



フォーミュラE、マシンもチームラインナップも形になってきたな。

マシンの形状は美しく、未来的だと思う。

とりあえず、なるべく先入観をもたずに開幕戦(9/13)をTV観戦したいと思う。



●まとめ

とりとめもなく所感を書いたが、個人的には久々にとても面白い号だった。





●自動車 書籍レビュー関連目次はこちら
Posted at 2014/01/08 00:26:07 | コメント(4) | トラックバック(1) | 書籍 | クルマ

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