鈴鹿南コースで一緒に走ったhanpeko-Rさんのご好意で、食事の後、なんとエリーゼCR(クラブレーサー)を試乗させて頂けた!!!
サーキットでやたらと見るようになってから一度乗ってみたいと思っていたエリーゼ、エキシージ。
いきなりPhase2ではなくPhase3試乗の機会を得るとは予想外で幸運だった。
本当にありがとうございます。
■Lotus Elise-CR (Phase3)
■エクステリア
没個性的だとかありがちなデザイン・・・ではなく、
シッカリとしたアイデンティティーがあるにも関わらず、無駄がなく、スッキリしていて美しいデザインだと思う。
「自然体」という印象。
・・・っていうか、
色、ステキ過ぎ。
妻に写真見せたら、「雑貨好き女子の好きな色やな」と言ってた。
以前、銀蓮111さんのブログで、
"ロータスのチーフデザイナーとしてドナト・ココ氏がフェラーリから移籍した"
と書かれていたが、確かに、フェラーリ・カリフォルニア(クラシカル・フェラーリの現代的解釈、アレンジ)なんかに相通ずるモノがある。
リアビューは歴代エリーゼの文法を継承してる印象。
「モデルチェンジしたから個性だしとかなくちゃ」的な無駄なアレンジがなく、
スゴく自然体で、スッキリまとめてあり、好感が持てる。
空力的処理1、
リア・ディフューザー。
黒いケド、アルミだそうだ。
カッコイイなあ。
ビートでも真似したいが、ビートではボトムが十分にフラットじゃないので、ここだけ真似しても、残念ながらカッコだけになってしまうだろうなあ・・・。
リアの重量増は避けたいところだし。
空力的処理2、
フロント・タイヤハウス内の5連?エアダクト。
レクサスやBMWなどでは、タイヤハウスの奥に、ブレーキ・クーリング用のダクト穴があるが、エリーゼCRのコレは全く別の目的。
各ダクトが、車体外側を向いており、タイヤハウス内の乱流・空気圧を積極的に、車体外側に排出する目的のようだ。(フロントタイヤハウス内の空気圧低減による揚力低減狙い)
フロントバンパーのカナードなんかで、タイヤハウス外側の流速を高めて、タイヤハウス内の空気を引っ張りだす思想はときどき見るケド、
エリーゼのこのアプローチは私自身はハジメテ見る手法で、とても興味深かった。
■インテリア
これまた、
無駄のないステキなインテリア。
ミニマリズムという点では
初代TTクーペなんかもそうだと思うのだが、TTクーペはメッキパーツなんかの使用をしているのに対し、エリーゼではそういった
装飾はナイ。
高級感やゴージャス感の演出はナイし、だからと言ってスパルタンさのゴリ押しもナイ。
すんごく自然体。
でも
キメ細やかで、クオリティ高く、安っぽさは全く感じないのがスゴい。
小径(何Φ?)のスエードのステアリングホイールの操作感がとても良い感じ。
私のビートはΦ350のレザー(スパルコ)だが、Φ330のスエードに交換したくなった。
重ステで、小径ステアリングなので、さすがに0速からのステアリング操作は重いが(コレはビートも)、動き始めるとむしろビートより軽い印象。
ペラペラの軽そうな助手席が純正品だそうだ。
スターウォーズEP2、EP3あたりに登場しそうなデザインで、シトロエンの内装センスにも通ずるものがあるテクノ感。大好きだ!
運転席はBRIDE ZODIAに交換されているとのこと。ロータスエンブレムの刺繍入り。
FRPのドアに、アルカンターラ張り。
デザインのステキさ、軽さの追究はもちろんのこと、触った感じもステキだ。
レガシィのときはドアの内張りを撤去してPP板で内張りを自作していたが、ビートではドア内側形状の複雑さから、まだドア内張りの軽量化アプローチに踏み切れていないが、良い参考になった。
ゆくゆくはビートにカーボンドアを投入したいが、内張りのあり方は検討しよう。
ABCペダル。
アクセルペダルがブレーキペダルに対して、結構、奥にあるので、実際に走る前に座ってペダル確認したときは、「ヒール・アンド・トゥ、スゴくし難いのでは???」と思ったのだが、ブレーキのペダルストロークが長いので、実際に走行してヒール・アンド・トゥを行ってみると、ちょうど良い位置にアクセルペダルがある。
ブレーキペダルとアクセルペダルの左右の位置関係も、写真で観たり、静的な状態よりも、走ってみると絶妙で、意外と距離が近く、アンド・トゥのときに、大きく右足をひねらなくても操作可能。
使いやすい。
クラッチペダルが純正クラッチやのに重い。
鈴鹿南のハードな走行後で左足疲れてるのかな?と思ったが、エリーゼCR走行後にビートに乗ったら別にクラッチ軽かったので、エリーゼのクラッチペダルが重いらしい(笑)
クラッチペダルもストロークが長く、リニアだ。
最初の最初は半クラポイントを探る必要があるが、すぐに把握できるし、フィーリングはとても良い。
ちなみに、ABCペダル写真の右側がフレーム部で、乗り降りにはコレを頑張ってまたぐ必要があるのだが、もちろんスポーツカー好きには楽しいイベント。
■エンジン・ドライブトレイン
型式: 1ZR-FAE(トヨタ)
DOHC 4 気筒 Dual VVT-i
ボア×ストローク: 80.5mm×78.5mm(
オーバースクエアでホッとしたが、それにしては高回転仕様ではナイの??)
圧縮比: 10.7:1(
イマドキにしては低い)
最高回転数: 6800rpm(
低い!!!!)
最高出力: 100kW(136ps)@6800rpm
最大トルク: 160Nm(16.3kg・m)@4400rpm
欧州版オーリスのエンジンだそうだ。
ひょっとして社用車のプロボックスも同じなのかな?と思ったが(VVT-iやし)、プロボックスは1NZ-FEで、そもそも1.5Lだし、ロングストロークだった。
エンジンに関しては、
良くも悪くも存在感がナイ。
トヨタの直4特有の安っぽい雑味とか、過負荷時の掃除機っぽい音もなく、極めて静かに、キレイに回っており、コレについては好評価。
ただ、ホンダF20Cなんかの血湧き肉踊る感じ、K20Aのハイチューンな感じなんかは存在しない。
997カレラ、カレラSはのエンジンには緊張感と高精度感があり、987ケイマンSは、背中のエンジンの存在感にゾクゾクしたが、そういうのもナイ。
BRZ・86のF20Aは個人的にはスポーツエンジンとしてEJ20より残念な水平対抗で、せっかくの水平対抗なんだから低振動でキレイに回しとけば良いのに、ホンダNAへのコンプレックスがあるかのごとく、MAHLEのサウンドクリエータなんかを使ったつまらない演出があった。
そういう
無駄な演出がなく、全てのベクトルを「自然体」で首尾一貫しているこのエリーゼCRは、コンセプチュアルで、それはそれでスゴいと思うのだ
が、個人的にはスポーツカーにおいては、エンジンの数字ではないドラマチックさ、フィーリングってとても大事だと思うので、そこには物足りなさを覚えた(ゴメンナサイ)。
ただし、トヨタの直4の安っぽい雑味はなくキレイに回っているので、マフラーひとつ換えるだけで、スゴくエエ音がしそうだ。
1.6Lだから・・・・というのもあるだろうが、
パワーはナイ。トルクもない。
ただし、
モッサリ感・ラグはなく、アクセルワークに対して、とてもリニアな動きをする。
静かながら、背中の後ろからエンジン音がすることでミッドシップに乗っていることを楽しむことができるのと、オーナーさんも言っていたが、
4000rpmを過ぎたあたりから、パワー感とともに、控えめながらもある程度、排気音も澄んだ太いエエ音がする。
まとめると、
個人的にはエンジンにはもちょっとパンチと味付け、それから高回転対応が欲しいなあ・・・・と。
ロータスの思想とは異なるのだろうが・・・。
ラジエターはフロントで、ボンネットダクトからの上抜き。
このあたりの処理はビートと違って
本気度が伺えるし、ステキだ。
空力的には絶対こうだよね。
市街地の試走なので、そんなに頻繁にシフトチェンジがあるワケではなく、1~3速(しかも3速では高回転回してない)が、クラッチペダルが重いこと以外に特徴はなく、ナチュラルだった。
個人的には、クルマの方向性的にはシフトストロークはもっと短い方が楽しいのかな?と思った。
■足回りとかボディとか
車両重量: 約900kg!
↑アルミのバスタブとか、ウイッシュボーンとかゾクゾクしますな。
「実は剛性高そうだな」とか感じないワケではないが、剛性感のゴリ押し演出もなく、また、軽量感のゴリ押し演出もなく、
ココでも「自然体」。
軽快だし、それが運転の楽しさに直結しているのだが、ゴリ押し感がナイんだよな。
ある意味、
悪く言えば無味無臭とも言えるが、
メルセデスなんかの高品質が故の無味無臭さ(=無機質さ)とはまた異なり、
矛盾をはらむが、「自然体」「ナチュラル(自然体と一緒だろ)」という「味」「臭い」があるとも言える。
ケミカルな感じとか、制御を介してる感じが全くナイのはステキなことだ。
加速時のピッチング、減速時のピッチング、右左折時のロール・・・・
いずれも、操作入力に対してのクルマの動きがラグなく、かつ、スゴくリニア。
ピーキーさはなく、でもダルじゃない。
とにかくナチュラル。爽やか。
そしてキメ細かい。
HMIとクルマの動きって、古今東西、こうあるべきだよな・・・・と考えさせられた。
高級車もエコカーも、制御過多であってもOKなのだが、
・発進時に負荷があるとアクセルペダルを踏んでもクルマが前に進まず、ペダル操作がスレッショルドを超えると急に加速する(Audi A1 Sportback 1.4 TFSI 8XCAX)
・交差点での右左折時に意図しない動作がある(Honda Accord Hybrid EX CR6)
・徐行時に過度にアイドリングストップ・スタートが連続する(Daihatsu Mira e:S LA300S)
・電動パワステのリニアリティの無さ、不感帯部分、低速時の不当な軽さ(Daihatsu Mira e:S LA300S、Honda N-One G JG1)
・ATのキックダウン時のタイムラグ(Lexus LS460 DBA-USF40-AEZQH)
・ブレーキング時の過度なノーズダイブと船酔いする収まらないピッチング揺動(Lexus LS460 DBA-USF40-AEZQH)
・・・・など、最近のクルマには不自然な動きが多すぎる。
エリーゼCRの、INPUTに対するOUTPUTのリニアリティ、ナチュラルさは、本当は特別なコトではなく、基本中の基本で、全ての車種のあるべき形だよなあ・・・・と。
ブラックスポークの純正鍛造ホイール、カッコイイですな。
タイヤは純正が ADVAN NEOVA AD07 LTSというAD07のロータス仕様(前 :175/55 ZR16 後 : 225/45 ZR17)だそうで、今履かれていたのはAD08R。
フロントを205/45R16に変更、かなり幅広にされたことで、
軽快感はかなりスポイルされたそうだが、ノーマルの状態を知らない私には十分軽快だと思えた。
ブレーキキャリパーはフロントがAPレーシング、リアがブレンボ。
ブランド品ですな。
ブレーキパッドはENDLESS MX72をお使いとのこと。
私もレガシィのときはサーキットでのブレーキの熱害に悩んで、いくつか試した中では最後に使ってたMX72が一番良かった。
純正の状態を知らないのでなんとも言えないが、
ブレーキペダルの長いストロークに対して、初期の遊びもなく、ストローク0~100%に対して、ブレーキの制動力が本当にリニアでコントローラブルなのが印象的だった。
オーナーさん曰く、ちょっとエア噛みされている状態とのことだったが、私にはフカフカ感を感じることができなかった。
■まとめ
想定外に、
演出がなく、「自然体」の首尾一貫・・・・というコンセプチュアルなクルマだった。
もっとスパルタンなモノを勝手にイメージしていた。
コレはイメージどうりだったのだが、エリーゼは純然たるスポーツカーであるが、スーパーカーではナイ。
プリミティブだが、ラフではなく、かなりキメ細かく丁寧に造りこまれた感じ。
全てがリニア。
方向性的にはノーマルのビートの良いところを洗練し、モッサリした部分も洗練させて正常進化させたような仕様だと思う。(エンジンはビートのE07Aの方がドラマチックだと思うが)
オーナーのhanpeko-Rさんも昔ビートに乗ってたそうだし、のり☆たまさんもエリーゼ(Phase2)とビートを共に所有されているし、仕事のお客様でエリーゼSCに乗られている方も過去にはビートオーナーだったと聞いている。
納得。
上述のように、
クルマという機械の当たり前のあり方について深く考えさせられた。
「自然体」、操作入力に対しての挙動がリニア・・・・という、ごくごく当たり前の、本来であれば「没個性」とも言える特性が、逆にこのクルマの「個性」となっている矛盾。
できれば自動車メーカの方々に、このクルマを一度運転してみて欲しい。
あと、「自然体」を徹底されている分、全く刺激的なクルマではなかったのに、試乗後に感激が止まらなかった。
クルマ自体に感激したのか、乗ってみたかったエリーゼに乗ってみることができたいことに感激したのか、その機会を与えてくれたhanpeko-Rさんに感激したのか・・・・自分でも良くわからない。(あるいはその全部か)
hanpeko-Rさん、貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。
●試乗記関連目次はこちら
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試乗記 | クルマ
Posted at
2014/05/06 12:34:40