
横須賀~宇都宮の1週間の出張から昨夜帰阪し、今日は休日出社。
帰り道にあるマツダのディーラーの前を通るとき、
「発売されたてのNDロードスター、試乗は無理でも、実車を見れたら良いな」
とのぞいてみたら、試乗車があった!(ただしAT)。
S660試乗のときのホンダDラーの残念な若い営業とは正反対で、
マツダのDラーの営業マンも、とても若い方(まだ1~2年生って印象)だったが、とても感じが良かった。
土曜の閉店前の、おそらくお疲れであろう時間のアポ無し訪問にも関わらず、とても明るく親切で、いろいろ話にも付き合ってくれた。
今回は短評なのでホッとしてください。
■Mazda Roadster (ND5RC) 6EC-AT
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●エクステリア
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この形が発表されてから、いろんな方のブログやツイートを眺めてきたが、本当にアンチが少なくて、圧倒的に評価の高いエクステリア。
実車を見ても、素晴らしかったが、写真とは結構印象が違った。
※
サイドビューは、ホイールハウスのデカさと小さいタイヤがアンバランスで、隙間が大きいのがブサイクだったが、些細な問題だと思う。
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これまで公開されてきた写真で見ると、スリムながら大胆で丹精なライン・・・という印象だったが、
実車を間近で見ると、かなりボリューム感があり、押しの強いデザインだった。
ロードスターは歴代、イギリス車を強く意識したデザインで、このND5RCロードスターも
テールランプ、テール周辺の意匠など、Jaguar F-TYPEのモロパクリなのだが・・・
・・・でも、
大胆なボリューム感と、際立ったエッジ・・・から、まるでクリス・バングルの手が入ってるかのような印象を受けた。
クラシカルなFRフォルムに、アヴァンギャルドな味付けを加えているあたり、本当にバングルデザインのZ4を連想した。
クラシカルとアヴァンギャルドの同居・・・は個人的には好きなテーマ。
●インテリア
マツダは大昔からインテリアデザインをうまくまとめるメーカなので、このND5RCロードスターも良くまとまっているし、運転していて適度なコックピット感もあるのだが・・・
・・・でも、
インテリアデザインは先代のNCロードスターの方がセンス良かったと思う。
ちょっとゴテゴテしてしまった印象。
内装デザインは、個人的に、
ND5RCロードスター >>
S660
で、
ロータス・エリーゼCR(フェーズ3) >>>> ND5RCロードスター
シートはアンコが結構柔らかく、座ると腰・背中がズーンと沈む。
コレはコレで、体にフィットして座り心地は悪くナイのだが、
スポーツカーとしてのホールド性は低い。
そして、上質な感じはなく、
ちょっと安っぽい。
S660(比較的シッカリしていて、かつ質も高いシート)とは対照的。
イイのだ、シートなんて好きなモノに交換すれば。
ステアリングの握り心地、EPS(電動パワステ)の出来は、
S660 >> ND5RCロードスター。
でも、S660の出来が良すぎるだけで、ND5RCロードスターのステアリングホイールの握り心地や、電動パワステもイマドキのクルマにしては変な味付けがなく、とても素直で良いと思う。
ただし、その「素直」路線で言うと、
ロータス・エリーゼCR(フェーズ3) >> ND5RCロードスター
だなあ。
ND5RCと
エリーゼCRって、本当に思想、方向性が近いと思うので、
エリーゼCRとの比較がわかりやすい。
エリーゼは所詮イギリス車なので、造りが雑な部分もあるらしいケド、マン・マシン・インターフェースや走りに関しては本当に丁寧に煮詰めて造られている印象。
ND5RCロードスターも、ステアリングやペダルタッチなどひとつひとつ、
「味付けなく、素直に!」という思想・方向性に思えるが、
ちょっと雑というか、煮詰めきれてない印象で、そのあたり、
エリーゼCRは本当に素晴らしかったと思う。
↑各ニュースソース、雑誌媒体ではあまり紹介されていないように思うが、ボンネットの両サイド・・・
・・・というか、
ボンネットとフェンダーの境目が、かなりエッジの効いた盛り上がり方となっている。
これは
ロータス・エリーゼのモロパクリだと思うのだが、ロードスターというクルマはNAの頃から、イギリス車のパロディがコンセプトなので、それで良いのだとも思う。
個人的には、ロードスターに限らず、マツダは昔からデザインのパクリが多いと思うが、パクリ方が秀逸で、きちんと消化して自分のデザインに昇華している印象。
ここんとこ(アテンザ、アクセラ、デミオなど)、その消化っぷりが本当に洗練されて、元ネタを完全に凌駕して、オリジナリティを発揮してきたと思う。
で、このエリーゼ・パクリの
フェンダー処理なのだが、運転中、モロに視界に入り、ちょっとヤル気にさせる。
●エンジン、ドライブトレーン
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エンジン型式: P5-VPR[RS]
種類: 水冷直列4気筒16バルブ
燃料供給装置: 直噴
総排気量: 1496[cc]
ボア×ストローク: 74.5×85.8
(ロングストロークだなあ・・・)
圧縮比: 13
(結構ハイコンプ・・・は、スカイアクティブの真骨頂か)
最高出力: 96[kW](131[ps])@7000[rpm]
最大トルク: 150[Nm](15.3[kgfm])@4800[rpm]
スカイアクティブになったとは言え、基本的には歴代のロードスターのエンジンの方向性を引き継いているのかな?という印象。
S660はパワーはあったが、排気音はどうしようもなかった(ターボだし)。
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ND5RCは↑ノーマル・マフラーでも、NAらしい気持ちの良いサウンドで、
線は細いケド、
気持よく回る。
でも、タコメータの変化、車速メータを見ていると、
あんまし速くナイ。
もちろん
加速Gもあまり感じることができない。
だからといって、特に不満はなく、気持ち良いのでコレで良いと思う(問題は飽きないか・・・だな)。
NCロードスターのときは、
「線は細くてパワーのないエンジンだけど、レブまで回して、シフトアップする・・・という作法をクルマから要求されることで、クルマとの対話が成立する」
という印象を抱いた。
ND5RCロードスターでもNCと方向性は同じだが、スカイアクティブがイケてるのか、上まできっちり回さず、
ある程度ズボラ運転でも、そこそこ走る。
空吹かししたときの、回転上昇、針落ちは、鋭くナイが、モッサリし過ぎているワケでもナイ。
「可もなく不可もなし」。
1.5L NAということで、ここでも、
ロータス・エリーゼCR(=1.6L)と近い。
HMIなんかは
ロータス・エリーゼCRの方が良く煮詰めてあって完成度が高いという印象だが、
エンジンはND5RCロードスターの方がフィーリングが良いと思う。
エリーゼに、この程度(スカイアクティブ)のエンジンが載っていればイイのになあ・・・と思う。
いずれにしても、先代までのロードスターが「2L NA FRオープンカー」というジャンルで、サーキットでは同じクラスとは思えないほど、S2000(エンジン=F20C)には大きく離され続けてきたワケだが(BRZ、86のFA20も、ホンダのK20AやF20Cと比較するとタコすぎる)・・・
・・・
ホンダの直4NAと較べると、やはりこのスカイアクティブもプアなのだが、
2L NAから1.5Lに格下げしたことで、直接比較はされなくなるのかな?
まあ、パワーはともかく、軽く回って、気持ち良く走れるエンジンではある・・・・
・・・が、悶絶はできないか。
6MTではなくAT試乗は残念だったが、パドルシフトでの切り替えも使いやすく、切り替わり動作も素直で良かった。
●ステアリングとか足回りとかボディとか?
タイヤはアドバン・スポーツ。
クルマの軽さを売りにしていることと、先代NCロードスターからテイストを継承していること・・・
・・・で、
運転していて、とにかく「軽い」「軽快」に感じる。(演出もあると思う)
クルマから
剛性感アピールがナイのも、先代NCロードスターと同じ。
街乗りしていてもなかなか楽しい。
重心位置が低いので運転が楽しい。怖くない。
ただ・・・・
・・・前述のように、
イマイチ、煮詰められた感じはナイ。
足に落ち着きがナイ。
たぶんバネレートはかなり低いんだろう。
落ち着きはナイが、
ロールやピッチングが特に大きいという印象はない(重心低いからかな?)。
「とにかく軽く作ることで、いたずらに高いバネレートにしない」
・・・というのは、ロータスと同じ思想で、それはそれでOKだと思うのだが、
個人的にはバネよりも減衰が低すぎて、あまりに足に落ち着きがナイ印象。
やはりここも、
ロータス・エリーゼCRと較べて、煮詰められてないと思う。
上り坂のキツめのコーナリングをちょっとシッカリ走らせてみたのだが、
意外とアンダーステア気味だった。
上り坂でフロント荷重が確保できていないから・・・というのも支配的なんだろうが、
あんましグイグイ曲がる印象ではなく、どちらかというと前が逃げ気味な印象。
まあ、コレはコレでネガティブな印象は皆無で、これぐらいの方がサーキットではシッカリ踏めるハズ。
足回り+ボディで言うと、
S660 >>> ND5RCロードスター
ロータス・エリーゼCR >>> ND5RCロードスター
かなあ。
S660は、AD08Rのグリップに耐える、硬い足だケド、ハーシュネスは少ない(=ボディ剛性が高いから足が良く動いてる?)と思う。
エリーゼCRは、ND5RCロードスターと同じ路線だが、もっと熟成されていて、本当に無駄のない素直な動きだと思う。
裏を返すと、ND5RCロードスターは、この2車種と異なり、
サーキットで走るには、
1) ハイグリップタイヤへの換装が必要。
2) アドバン・スポーツでも落ち着かない足だから、ハイグリップタイヤに合わせてバネレートをUP、減衰をUPした車高調が必要
3) ボディ補強は必要となる?
・・・という当たり前の手順が必要に思えた。
要は「イジってナンボ」「イジる余地・楽しみがある」・・・と。
ブレーキは、限界時にどんだけ効くのか?とか、熱に対してどうか?とかはわからないが、タッチ、フィーリングは良かった。
●総評
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S660とは、走りの面で、多くの方向性が異なると思う。
ドッシリ、剛性感アリ、パワフル、モータースポーツ即戦力・・・で、シッカリ熟成されているのはS660。
ちなみに、世間のデザインの評価が ND5RCロードスター > S660 なのは理解できるが、両方を生で見た上で、個人的にはS660のデザインの方が心惹かれる。
クルマの思想、方向性は明らかにエリーゼCR。
エンジンはエリーゼCRよりステキだと思うが、全体に煮詰められておらず、少しバタつく。
でも、価格はエリーゼの半分ほどなので、コストパフォーマンス面ではND5RCは非常に魅力的。
もちろん、ND5RCを街乗り用途とされる、女子やご年輩も多いと思うが、ポスト・エリーゼとして、ND5RCにいろいろ手を入れてサーキットに出てくる方も増えそうだ。
楽しみ。
●試乗記関連目次はこちら
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試乗記 | クルマ
Posted at
2015/05/24 01:07:57