
長いこと「乗ってみたい!!」と思い続けてきたRX-8に遂に試乗した。
グレードはベーシックなやつ。Type EとかType Sとかじゃなく、同じエンジンだけど210馬力にデチューン(?)されているモデル。
RX-8
型式:ABA-SE3P
5MT
FR
エンジン:13B-MSP
最大出力:210[ps]/7200[rpm]
最大トルク:22.6[kg・m]/5000[rpm]
車重:1310[kg]
結論から先に言うと、とにかくインターフェース(最近の言い回しだと「マン・マシン・インーフェース」)がとにかくステキ。
FDのインパネまわりもやたらとカッコ良かったが、RX-8もかなりカッコ良い。
しかも、オリジナリティがある。
ロードスターでもグッとツボに入ったピアノブラック仕上げのセンターコンソールがRX-8でもやはりツボにハマりまくった。
やっぱし私のB4も
センターコンソールのイメチェン構想を実現に移そうかなあ・・・・。サイドパネルはレザー化したことだし。
RX-8の運転席は「コックピット」なのである。
タイト。つまりは狭いのだが、この狭さが心地よい。
少なくとも私のシートアレンジにはドンピシャで、オーダーメイドされた空間のようだ。
エンジンを始動する前からワクワクする。この感覚は、ポルシェ(ケイマンSに乗った)に通ずる。
ABCペダルは、それぞれのペダル間が非常に狭い。
これは、エンジン・トランスミッション位置の都合で仕方なくなったレイアウトらしいが、左足ブレーキを多用する私には、B・Cペダルが近いのはむしろOK。
ABCペダルの前後位置も、他車よりも距離差がなく、これが嬉しい。
クラッチペダルはストロークやや短め。
各ペダル、遊びは少ないのだが、最近のクルマに多い「ちょっとブレーキペダルを踏むとガクンと効いてしまう」ということはなく、運転時のペダルフィーリングはかなり扱いやすく気持ちよく仕上げられている。
左足ブレーキを多用する私は、シートポジションをかなり後ろ目にとって、代わりに背もたれを目一杯起こすのだが、およそのクルマはこのときにステアリングホイールが遠くなる。
が、RX-8ではバッチリとポジションが決まった。
う~む。本当にオーダーメイドのようだ。
FRフロントミッドシップという形態を取るために、車内はかなり潔く狭い。
プロペラシャフトがズガンと真ん中を通っているため、後部座席は完全に左右に区切られ、結果5人乗りではなく4人乗りに。
そして、トランスミッションが運転席と助手席の間に大きく割りこんでいるため、ABCペダルはだいぶ右寄り位置となっており、言うなれば運転手は下半身をクルマ前方よりも右側に曲げた状態での運転を強いられる。
「重量バランス」のために、人間をかなり犠牲にしたレイアウトだが、これはこれで潔くて私はシビれた。
そして、シフトノブ。これがまた気持ち良すぎ。
スポーツカーらしい、かなりのショートシフトなのだが、コクコクと気持ちよく入る。すごく操作しやすい。
ステアリングホイールも気持ち大きいが、グリップ感とかイイ感じ。
シートもノーマルでバケットタイプで、気持ちのよいホールド感であった。
メータは、中央がタコで、タコメータの一部にデジタル数値表示の速度計が位置する。
速度計は慣れないとちょっと見難いかも。
さて、走り出してみて・・・・
シュルシュルと表現すべきなのか、過給気のようなCVTのようなモータのような、ロータリー特有のアイドリング音が不思議な感じ。
低回転域のトルクは細めなのだが、レガシィのターボも3000[rpm]以下はノーマルだと使いものにならんぐらい細いので、細いなりにも1000[rpm]から使えるRX-8の方が上かな?
中域は、トルクは出ているようだが、音(高調波)の線が細いので「トルク感」はあんましない。このあたり、人間の感覚はいい加減だと思う。
噂どおり、本当にスムーズに低回転域から高回転域までスーッと滑らかに上昇するのだが、ガバッとアクセルを踏み込むと途中でガツンというドッカンターボのような加速をする箇所がある。これはエンジンの特性なのか、ECUのセッティングなのか不明。
ロータリーの宇宙的な感覚、私は面白いけどもひとつ「自分の好みじゃないな」という感想だが、これはこれだと思う。
というか、ロータリー乗りなら、ハイブリッドスポーツカーなんかが登場しても結構フィーリングは受け入れられるのではないか(偏見を捨てれば)・・・と思った(ただし、ハイブリッド機構による無段階変速ではもの足りず、ハイブリッド+トランスミッションか)。
個人的には、宇宙的なサスペンションやステアリング感のシトロエンとロータリーを組み合わせてみたい。
コックピットのタイト感は走りにも現れていて、ポルシェと同じような「凝縮感」がある。
重量物が中央に集まっている恩恵で、ピッチングや、遠心力によるヨーの発生が皆無である。
個人的にはも少し重めが好みだが、ステアリングは変にアシストされすぎず、とてもタイトかつナチュラル。
クイック目なセッティングとなっているが、Alfa Romeoのような過剰演出はないので、安心して狙い通りの操作ができる。
気持ちよい。
足も本当によくできていて、前述のように、ピッチング・ヨー・ロールが発生しない。
タイトで、すごくショートストロークのような感じだが、路面の継ぎ目や段差は吸収している。
新型インプのような軽快でしなやかな足とはまた違うのだが、トラクション感とインフォメーションはキープしつつ段差はいなす、素晴らしいサスだと思った。
個人的にはケイマンSのサスよりよくできてるんじゃないかと思う。この車格のクルマで知る限りではベスト。ひとつの完成形だと思う。
FRの恩恵で、コーナリングの挙動も最高だった。
そんなこんなで、ロータリーが自分好みじゃなかったことを抜きにしたら、かなりベタ惚れしてしまうクルマであった。
デザインは、発売当時「変なデザイン」「カッコイイのかコレ?」と、かなり否定的だった。
真正面から見たデザインなんかは結構好きなのだが、サイドビューのバランスの悪さ、リアビューがどうにもカッコ悪く思える。
変にノッチバックっぽくせずに、S30Z、トヨタ2000GTなんかのように、テールに向かって流れるようなピラー・リア窓にしてくれたらカッコ良くなったように思うのだが、RXシリーズの伝統的にノッチバック風味にしておかねばならんかったのかな??
私はアンチ・リアスポイラー派なのだが、RX-8のリア部のカッコ悪さを誤魔化すには、F40調の派手なスポイラーを付けたくなる。
あと、Type Sの18インチ以外は16インチなのだが、このクルマに16インチホイールが凄まじく似合っていない。
私ならクルマを買ったその足で、UP GARAGEかオートバックス・セコハン市場へ行き、17インチの中古を買うであろう。スピードラインなんかは最近人気ないのか、17インチ中古が4本セットで2万円ぐらいだったりするし・・・。
RX-8でかなり結構盛り上がってからB4で帰宅。B4のネガが目立つかと思ったが・・・、走り始めたて瞬間、「イケてんなあ、オレのB4・・・」と。
ECUチューンにより、低回転・低負荷域からドスの効いたトルク感、ステアリング小径化やタワーバーも含めた重めだけどダイレクト感のあるステア、ゴツゴツしてるけど好みの足、重量感はあるけどなんか好みなボディ、シフトレバーぶった切りで短くなったシフトノブ・・・・。
今まで少しずつイジってきた内容によって、随分と好みのクルマに仕上がってきてるんだなあ・・・と少し感激。
RX-8の素晴らしいコックピット、素晴らしい足回り・ステアリングを十分にリスペクトしつつも、私は私のB4を溺愛!幸せなことです。
※ちなみに下の写真は、本日洗いものをした、BRAUN製のミキサーのヘッド。ロータリーそっくり。
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