■Motor Fan illustrated vol.80~究極のNA Engine~
このNA特集よりも、過給エンジン特集や、ハイブリッド特集の方が前にリリースされており、読み終えているのだが、会社に置いてあるので、またの機会に感想文を書こう。
●MFi; technical report 「BOXER+モーター組込 リニアトロニックがスバルのHEV」
5月に「人とくるまのテクノロジー展」で見た、Subaru リニアトロニックHVの簡単解説が載ってた。
↑の写真は「人とくるまのテクノロジー展」で撮影したモノ。
トルコンもCVTも含まれている構造に、トルコンが苦手でCVTも苦手な私はアレルギーを起こしてしまいそうだが、それでも試乗は楽しみ。
なるべく事前に偏見を取り払って試乗したいところ。
今週末、試乗に行けたら・・・と思っていたが、残念。また来週以降で。
●究極のNA
過給ダウンサイジングをゴリ押ししている本誌が「究極のNA」なんて白々しいタイトルの特集を組んだ。
自動車メーカからの圧力なのか、読者層からの批判なのか・・・。
いずれにしても、私の所有しているプジョー307SWのEW10/Dも、ビートのE07AもNAエンジン。
特にE07Aは「究極のNA」のひとつだと思っているので、今号も読まないワケには行かない。
Chapter1は
「エンジニアリング会社が考えるNAの将来」という特集。
特に欧州では、自動車メーカやサプライヤが開発・設計をアウトソーシングすることが多い。
日本でも、特にトヨタはアウトソーシング比率が非常に高いが、
「下請けメーカ(トヨタ車体、ダイハツ工業、富士重工業、関東自動車工業、日野自動車・・・・)への丸投げ」
とか
「派遣・・・に近い形で、アウトソーシング業者がトヨタ研究所内に常駐」
といったトヨタのスタイルと、欧州のそれとは少し違う印象。
・・・もっとも、欧州でのメーカとエンジニアリング会社の付き合い方については、まだまだ不勉強なので、実際にはトヨタと近いのかもしれない。
今号ではエンジニアリング会社として
AVL(オーストリア)、
リカルド(英国)、
IAV(ドイツ)の研究・開発する将来のNAエンジンが紹介されているが、たまたま本誌で取り上げられていないエンジニアリング会社としては他に
FEV(ドイツ)、
iFP(フランス)などがある。
AVLのページには、三元触媒は空燃比と触媒活性化温度で、浄化性能が露骨に変わるのだが、気筒休止しても触媒温度を一定に保つ制御の紹介など紹介されている。
リカルドのページには、燃焼解析技術なんかが紹介されているが、豆知識として、リカルドが手がけた市販NAエンジンが小さく紹介されている。
以前のブログエントリで紹介したMcLaren MP4-12Cのエンジン(V8ツインターボ)はリカルド開発なのだが、NAエンジンとしてはランボルギーニのV12なんかもリカルドらしい。(搭載車種?)
IAVのページでの、ガソリンNAのリーンバーンによるNOx増加に対しても、ディーゼル同様に尿素SCRを用いてやる・・・という思想も、とても自然な発想なのだが、これまでにそういうアプローチをしているのを見たことがないのでちょっと面白い。
(ただし、本誌には書かれていないが、問題はコストだろう。尿素SCRはあまりに高価なので・・・)
Chapter2は
「究極のエンジン」という特集で、
・LEXUS 1LR-GUE(レクサスLFA搭載のヤマハ発動機のエンジン)
・TOYOTA 2ZR-FXE(プリウスのTHSの全域ストイキのエンジン)
・HONDA K20A(言うまでもなく世界最強の直4 NAエンジン)
・MITSUBISHI 3A90(ミラージュ搭載)
・MAZDA SKYACTIV-G(CX-5、アテンザ)
が取り上げられ、掘り下げられている。
1LR-GUE(レクサスLFA)には読みどころが多かった。
↑の写真は、
ヤマハ コミュニケーションプラザで撮影した1LR-GUE。
「高回転ローギヤード」をコンセプトにされている。
実際の回転限界は9500rpmに設定されているとか。
ウチのビートもリミッターカットしたら普通に9500rpmぐらいまでは回っているので(サージングしていない。ただしタコメータを信用するのか?という問題アリ)、興味深い。
熱効率では1気筒あたり500cc(あるいは300~500cc)が理想的・・・というのは過去にもいろんな文献で読んだが、高回転型エンジンを目指すと、
高回転 → 短時間燃焼 → 燃焼室小
となり、軽自動車のエンジン(ビートのE07Aは1気筒あたり220cc)や、多気筒エンジンのような設計になる。
LFAのエンジンも燃焼室をコンパクトにする工夫がなされているとのこと。
ビートのE0Aのボア×ストロークが66.0×64.0に対し、1LR-GUEは88.0×79.0。
このサイズ差、ストローク差で同じだけ回してしまう1LR-GUEは大したもんだと思う。
しかもかなりの範囲がストイキ燃焼らしい。
私が以前乗っていたレガシィB4(BL5A)のエンジンEJ20Yも樹脂製のインマニだったが、以前になんかの書籍でインマニの樹脂化のメリットは「軽量化」「形成自由度」と書かれていたが、1LR-GUEでは更に「歩行者保護」(衝撃吸収)も狙っているとのこと。
また、独立スロットルにより、インマニ内の負圧が低いので、樹脂の肉厚も薄くできているそうだ。
超高級車のエンジンなので、EJ20Yと比較するのもアレだが、あまり表には出ない、悪い言い方をすると「地味技術」も日々進歩しているんだなあ・・・。(感心)
K20Aの特集記事は、素直に萌えて、二度読みなおした。
時代のニーズに反しても、やっぱり回転出力型のNAエンジンはロマンがあるし、実際、K20Aのフィーリング、レスポンスは直4としては神だと思う。
B18系から、ニューモデルリリースの度に、少しずつ改良を加えてFD2搭載仕様のK20Aに至った経緯が書かれている。
K20Aがお蔵入りになってしまったのは残念で仕方ない。
(「売れない」という理由だけでホンダがK20Aを引っ込めるとも考えにくいので、CAFEの絡みとかもある?)
●Supercar Chronicle HONDA CR-X(1989-92, EF6/7/8)
今号のスーパーカー・クロニクルはサイバー・スポーツCR-X。
中学生の頃から憧れ、20年ぐらい前にCR-Xに乗ってた私(残念ながらEF6だが)にとっては、今でも特別な1車種。
EF6でも高回転型で元気なエンジンだった。EF6は1500ccのエンジンを積みながら、890kgという超軽量だった。
FFなのと、ボディ剛性が極端に低いのが残念だった。
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