■セシウムの毒性に切り込んでいく前
壊すために原発を作って人材を確保しなければいけない、
そう言い続けて来ました。
少なくとも古い原発から真先に止めなくてはいけない、
不安全な原発よりは新しい、安全な原発を作って置き換えよう。
その考え方の基本は変わりません。
■しかし、セシウムの毒性関係を考えると、原発を更新して
運転するリスクもやはり考えなくてはいけません。
この辺りは国民的な議題となるはずなので、
今は愚かしい選択であっても、
国民が決めるべきだと思っています。
■プラントは止めた後が大変です。
止めて閉鎖されたプラントを移設したい、
そんな話はたまにある話です。
ですが、大抵はぼろぼろ、
日本の工業地帯は海岸沿いが多いので
文字通り
腐ります。
■ところがそんな話に限って、「保証は移設側で」
出来る訳がありません。
大抵は移設と言う名の新設なのでしょう。
わずか2,3年で本当にぼろぼろになるのは
見ていてびっくりします。
たいていの場合はそんな話は
丁重にお断りすることになります。
■
そんなわけで原発は止めた後が肝心です。
原発を止めればバラ色
と言うお花畑は、とっとと止めて頂きたい。
更新しながら原発を減らすことが
出来ないとすれば
一体どうすればいいのか?
そこの答えは誰も何も提示がありません。
私も答えすら用意できない。
電力会社や政治家のせいにするだけでは
絶対に解決しません。
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前にも少し取り上げましたが、ちょっと触れておきましょう。
■
平井憲夫さん(元・原発監督)の遺書手記 原発の真実を暴露
そして、
原発がどういうものか知って欲しい
なんだか一部誰かの手がこの文章入っている様な気がするんですよね。
普通の人が読み解けば、
原発はこんなにひどいと思うのかもしれませんね。
でも何を抜かしているのかと思うところも多少あります。
正直な感想はこんなものでしょう?
これで鬼の首を取ったように思うのは
「現場」を知らない夢想主義者じゃないの?
と冷たくそう思います。
■例えば、
>私は建設中に六回も呼ばれて行きました。というのは、所長とか監督とか職人とか、元の部下だった人たちがもんじゅの担当もしているので、何か困ったことがあると私を呼ぶんですね。もう会社を辞めていましたが、原発だけは事故が起きたら取り返しがつきませんから、放っては置けないので行くのです。
ある時、電話がかかって、「配管がどうしても合わないから来てくれ」という。行って見ますと、特別に作った配管も既製品の配管もすべて図面どおり、寸法通りになっている。でも、合わない。どうして合わないのか、いろいろ考えましたが、なかなか分からなかった。一晩考えてようやく分かりました。もんじゅは、日立、東芝、三菱、富士電機などの寄せ集めのメーカーで造ったもので、それぞれの会社の設計基準が違っていたのです。
図面を引くときに、
私が居た日立は〇・五mm切り捨て、東芝と三菱は〇・五mm切上げ、日本原研は〇・五mm切下げなんです。たった〇・五mmですが、百カ所も集まると大変な違いになるのです。だから、数字も線も合っているのに合わなかったのですね。
これではダメだということで、みんな作り直させました。何しろ国の威信がかかっていますから、お金は掛けるんです。
これは設計が悪いんです。
公差があって、大体金属には伸び縮みがあるわけで、
ぴったり合うわけがない。日立の設計陣をDISれなかったので
ボカしただけです。現場を知らないエリートがCADで
設計をしてしまっただけのこと(苦笑)
頭の中で設計をする人が往々にしてしでかすミスです。
それかその程度の「調整」が出来ない危険なプラントか、
後者が正しいのかもしれませんね。
一晩かかったのですね・・・
■他にもあります。
>世間一般に、原発や新幹線、高速道路などは官庁検査によって、きびしい検査が行われていると思われています。しかし、新幹線の橋脚部のコンクリートの中には型枠の木片が入っていたし、高速道路の支柱の鉄骨の溶接は溶け込み不良でした。一見、溶接がされているように見えていても、溶接そのものがなされていなくて、溶接部が全部はずれてしまっていました。
なぜ、このような事が起きてしまったのでしょうか。その根本は、余りにも机上の設計ばかりに重点を置いていて、現場の施工、管理を怠ったためです。それが直接の原因ではなくても、このような事故が起きてしまうのです。
笑えます。
現場がきちっとやれば事故は起きない?
日本の耐震設計をこの方は知らないのでしょう。
残念ながら、日本の耐震設計は水平体力(横揺れ)に
重きが置かれ、縦ゆれは、法律上の縛りはありません。
設計耐力もプラントはあまり高くない場合が多い。
「溶接の溶け込み不良があるかもしれない」
そこを考えない設計がまかり通っているところがアホです。
確かに施工管理は重要です。
じゃあすべての溶接線を現場でPT検査できるのか?
出来る訳がない。
危ない部分のプレハブをサボって
現場に投げたからそんなことになるのです。
■この辺りもその辺りの不備が出ています。
>この事故は、二ミリくらいの細い配管についている触れ止め金具、
何千本もある細管が振動で触れ合わないようにしてある金具が設計通りに入っていなかったのが原因でした。施工ミスです。そのことが二十年近い何回もの定検でも見つからなかったんですから、定検のいい加減さがばれた事故でもあった。入らなければ切って捨てる、合わなければ引っ張るという、設計者がまさかと思うようなことが、現場では当たり前に行われているということが分かった事故でもあったんです。
この方は古いです。何千本もの細管の触止金具が、
すべて設計どおりにセットされる、これが完全に行われます。
定検ですべてチェックして、ミスったら現場の責任です?
あくまで私の思い込みですが、この方は
監督として、間違いなく
現場にミスを押し付けてきた、と感じます。
ゼネコンやメーカーの現場監督さんですから、怒鳴って怒鳴って
「テメーのせいだ、下請けでやり直せ」
恐らくそういう方法をしていたのではないでしょうか
仕事ほしさに、協力会社は、必死についていったのでしょう。
■設計がどんなに困難でも、
職人たちに怒鳴れば何とかして設計品質を維持できる。
現場がそんなに甘ければ苦労は要りません。
「あわねーじゃねーか!!!!」
ここからが「現場」です
協議して、上を説得して、お客さんを説得して
必要なものの手配をかけて、職人が遊ばないように
代替の仕事を入れて、スケジュールを調整する。
■公差で合わない配管が、
合わないと言うことが発覚するまで
設計まで話があがってこない、
この事の方が余程問題ではないでしょうか?
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■実際は、その辺りの設計も甘いと言う話を、
この方はしたと思います。
ですが現場が杜撰だから原発は杜撰と言う
話のほうが分かりやすいから、誘導したんじゃないでしょうか?
メーカーの責任も出にくいですしね。
何故素人みたいな職人しか集まらないか?
考えれば結論は簡単です。現場を軽視して、人材を育てず、
コストを削ったから、そして地元の会社を重視せずに
メーカーやゼネコンに丸投げしたからで、
現場の責任に転嫁していますが、メーカーや電力会社の責任が大です。
> 仮に、自分の家を建てる時に、立派な一級建築士に設計をしてもらっても、大工や左官屋の腕が悪かったら、雨漏りはする、建具は合わなくなったりしますが、残念ながら、これが日本の原発なのです。
ひとむかし前までは、現場作業には、
棒心(ぼうしん)と呼ばれる職人、現場の若い監督以上の経験を積んだ職人が班長として必ずいました。職人は自分の仕事にプライドを持っていて、事故や手抜きは恥だと考えていましたし、事故の恐ろしさもよく知っていました。それが十年くらい前から、現場に職人がいなくなりました。全くの素人を経験不問という形で募集しています。素人の人は事故の怖さを知らない、なにが不正工事やら手抜きかも、全く知らないで作業しています。それが今の原発の実情です。
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■設計と施工がばらばらでは思うようなものは出来ないですし
残念ながら日本では設計ばかりがもてはやされて
コンクリートの打ちっぱなしの耐震性の低い、
とにかく奇抜なデザインの、
建築家が威張っているのが現状です。
塗装しないコンクリートはひび割れて、水を吸って楽しいことになります。
腕が悪ければ最初っからクラックが入ります。
ひび割れハウスになるわけです。
高級住宅地の打ちっぱなしの家があれば、目を凝らしてみてください。
大抵残念なひび割れがありますから。
設計神話に浸るのも結構ですが
物事の本質はこのサイトでは見えてきません。
素人しか派遣してもらえない、
そんな付合いをメーカーがしたと言うことです。
協力業者さんにかけるべきお金を
別にまわしたと言うことです。
■現場軽視の時代はもう終わるべきです。
だいたい、震災瓦礫の問題も、
一番困る人は誰ですか?
避難民じゃないはずです、
そこの市民の健康でもないはずです。
清掃センターで働いている職員さんじゃありませんか?
清掃センターで工事やメンテをしている
職人さんじゃありませんか?
そういった配慮もなしに、
瓦礫を燃やせば、市民が死ぬ、避難民がどこに行けばいい?
はあ?と思うのです。
「清掃工場の職員さんの命を守ろう」のほうが余程現実的です。
でもそれじゃあ人は集まらない。(笑)
暇なお金持ちのパトロンもゲットできない。
所詮は、パフォーマンスですから。
■
今こうしてクリスマスイブであっても
福島第一で働いている作業員さんたちがいます。
今一度、現場に責任を押し付けず、
現場でのトラブルの原因を抑える設計は出来ないか?
すべてにおいて利用者の視点だけではなく
それを支える方々の苦労や、目線を
少しでも理解しようと言う姿勢を
失いたくないなと思うのでした。
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原発の将来 | 日記
Posted at
2011/12/24 23:05:55