ミトコンドリアと、光合成細菌の類似、面白い物です^^
実はそれについてはもうネタ話を下書きで作りましたけど、
トンデモ路線にふっているので、まだ出しません。
■今日は共生を好む、アルファプロテオバクテリア族のお話をします。
いずれも光合成細菌のおなかまで、どうも根粒菌(大豆などの根でチッソ固定する物)
なんも広くそのお仲間のようですよ。
ま、彼らには彼らなりの意図があるわけで、ボランティアじゃないんですけどね。
■そんないくつかの共生例を紹介しましょう。
αプロテオバクテリア族の不思議な特性、
さあ、どのように結びつくのでしょうか?
(ミトコンドリアに次話でつながります)
2011年06月30日
太古から続く動物と細菌の共生
背景:
細菌を含む微生物は多くの動物や植物と共生関係にある。もっとも身近なものでは、哺乳類の腸内細菌が挙げられ、宿主の消化吸収や免疫機能など様々な利点をもたらしている。
要約:
1970年代の前半に、
Paracatenulaという扁平動物が発見された。熱帯の海から地中海地方へと広く分布するこの動物は、口も肛門もないため、どのように栄養を得ているのか分かっていなかった。そこでこの度、オーストリアにあるウィーン大学のJorg Ott博士率いる研究チームによって、Paracatenulaは細菌と共生することで栄養を得ていることが分かった。 Riegeriaと呼ばれるこの細菌は、
硫黄化合物を酸化することでエネルギーを得、無機炭素化合物を有機炭素化合物へと合成しているようだ。この共生生物の高い生産性によって、Paracatenulaは生きるのに必要な栄養を全てそこからまかなっているようだ。
様々な門に属する多くの動物が、このような共生関係にあることは知られている。宿主の大きな多様性に比べて、殆どの共生生物はガンマプロテオバクテリアとイプシロンプロテオバクテリアのみに限られている。しかし
今回発見された細菌は、アルファプロテオバクテリアであった。
アルファプロテオバクテリアの他の例では、ミトコンドリアがこのグループの細菌が由来だと考えられ、また
マメ科の植物の根に住むものや、チフスを引き起こす細菌などが知られている。最近の研究では、
細菌との共生関係は感染と殆ど、または全く同じメカニズムであると考えられている。
今回発見されたParacatenulaとRiegeriaの共生関係を研究することで、他のアルファプロテオバクテリアがどのように動物内に進入したのかなど、基本的なメカニズムの解明に繋がるだろうという。
RiegeriaはParacatenulaの組織の50%以上の細胞内で共生しており、これは既知の動物と細菌のどんな共生関係よりも高く、またDNAなどから推定した共生の始まりは5億年前と、既知のどんな共生関係よりも古いことが分かった。更に、この共生生物は宿主の子孫にそのまま受け継がれ、5億年もの間共生生物の入れ替えはなかったようだ。
補足:
プロテオバクテリアというのは、真正細菌の巨大な門の1つで、大腸菌やサルモネラ菌などを含む多種多様な細菌が属する。他の生物に共生や寄生するものや、自由生活性のものなど大きな多様性を持つ。
■そう、ミトコンドリアは感染して生き延びていたようなんですよね。
まるで蜂の卵を芋虫に産み付けるようにね。
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2009年12月22日 発表
トコジラミに必須栄養素を供給する細胞内共生細菌ボルバキアの発見
独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ゲノムファクトリー研究部門【研究部門長 鎌形 洋一】生物共生進化機構研究グループ 深津 武馬 研究グループ長、細川 貴弘 産総研特別研究員らは、吸血衛生害虫として古くから知られ、近年の殺虫剤耐性や先進国での再興が問題となっているトコジラミ(別名 南京虫)にとって、ボルバキアという共生細菌が生存に必須であり、その生理機能が必須栄養素ビタミンB類の供給にあることを解明した。
ボルバキアは多種多様な昆虫類に存在する共生細菌だが、その影響は一般に寄生的、すなわち宿主にはメリットが無いというのが従来の常識であった。トコジラミが特殊化した細胞から成る専用の共生器官を構築して、その細胞内だけにボルバキアをすまわせ、必須栄養素を作らせるという高度な相利共生関係の発見であり、「寄生」関係が「相利共生」関係の進化的起源となったことを実証した。またボルバキアが吸血衛生害虫であるトコジラミの生存に必須な共生細菌ということで、防除や制御の新規標的としても有望であり、応用的な展開も期待される。
この研究成果は米国の学術専門誌「Proceedings of the National Academy of Sciences USA」(米国科学アカデミー紀要)のウェブサイトで2009年12月22日午前5時(日本時間)に掲載される。
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私たちは、日本産3系統、オーストラリア産2系統のトコジラミから精巣や卵巣の近傍にある一対の共生器官を解剖摘出してDNAを抽出し、細菌遺伝子の検出をおこなった。その結果、調べた105個体すべてからボルバキアが検出された。一方でγプロテオバクテリアは56個体(53 %)からしか検出されなかった。特に、日本産の1系統については、まったくγプロテオバクテリアが存在しなかった。すべての個体から検出されるのではないことから、従来の見解に反し、このγプロテオバクテリアはトコジラミの生存に必須な共生細菌ではないことが示唆された。
定量的PCR法によってトコジラミの組織別のボルバキア感染密度を調べたところ、共生器官および雌の卵巣のみに高密度で存在することがわかった。In situハイブリダイゼーション法で体内局在を可視化したところ、雌雄ともにボルバキア感染は腹部に存在する一対の共生器官に限られていることがわかった(図3A、B)。また、雌の卵巣内で卵が形成されていく過程で卵の端にボルバキアが感染して、親から子への垂直伝達が行われ、卵の受精後、胚発生の段階で共生器官に局在していく(図3C)ことが判明した。
それでは本当にこのボルバキアがトコジラミの生存や繁殖に必須な共生細菌なのだろうか?ボルバキアのみに感染しているトコジラミ系統に、抗生物質入りのウサギ血液を人工給餌装置(図4A、 B)を用いて投与することにより、ボルバキア感染を除去した虫を作成した。成虫に抗生物質を与えてボルバキアを除去した場合は、卵の孵化率が激減した(図4C)。幼虫を抗生物質処理した場合は、幼虫期間が有意に延長し(図4D)、成虫まで到達できたものはわずかであった(図4E)。すなわち、ボルバキア感染が確かにトコジラミの正常な成長や繁殖に重要であることが示された。
それではトコジラミの成長や繁殖においてボルバキアが担う必須機能の実体は何なのか?脊椎動物の血液は栄養豊富なように思えるが、虫にとって必要なある種の栄養素、特にビタミンB類が欠乏している。そこで人工給餌装置で与えるウサギ血液にビタミンB群を添加したところ、抗生物質処理によってボルバキア感染を除去したトコジラミでも、卵孵化率、幼虫期間、成虫羽化率においてボルバキア除去の悪影響から完全に回復した(図4C-E)。これらの実験結果より、トコジラミの唯一の食物である血液中に不足するビタミンB群の供給が、共生細菌ボルバキアの担う主要な生物機能であることが示された。
この研究により、従来は寄生的な共生細菌であると考えられてきたボルバキアが、トコジラミにおいては特殊化した共生器官の細胞内に局在し、宿主昆虫に必須な生物機能を果たす相利共生細菌に進化したことが実証された。
◆γプロテオバクテリア
グラム陰性細菌の1グループ。有名なγプロテオバクテリアのメンバーとしては、大腸菌やコレラ菌などがある。アブラムシの細胞内共生細菌ブフネラや、ツェツェバエの細胞内共生細菌ウィグルスワーシアもγプロテオバクテリアに属する。
ちなみにボルバキアはαプロテオバクテリアという異なるグループのメンバーである。[戻る]
【おまけ】 迷走神経系もなかなか面白い物です。
かと言ってむやみにEMXを飲むのはお勧めしないなあ。
あいつら何食ってるか分からないんだもん。
スカベンジャーだとは思うんだけど・・
腸内細菌と心臓発作背景:
腸内細菌は宿主に対して様々な効能を与えており、消化吸収や免疫系だけではなく、他にも様々な影響を与えていると考えられている。
要約:
ウィスコンシン医科大学のJonh E. Baker博士らによって、腸内細菌の量や種類から人々が心臓発作を起こす可能性を予測し、またそれらを制御することによって心臓発作のリスクを軽減することができる可能性が示された。
Baker博士によると、この発見は心臓発作の予防や治療にとても大きな役割を果たすだろうという。腸内細菌、その代謝産物、心臓への傷の生化学的な繋がりが心臓発作からの死亡リスクを減らし、またヒトに好影響を与える微生物群であるプロバイオティックと共に、心血管系の健康を増進させることが出来る。
この実験では3つのグループに分けられたラットが使用された。1つめのグループは通常の餌、2つめのグループは抗生物質であるバンコマイシン、3つめのグループはプロバイオティックとして乳酸菌の一種が与えられた。
すると抗生物質を与えられたグループのラットは通常の餌を与えられたグループに比べて、レプチンと呼ばれる食欲や代謝をコントロールするタンパク質の量が減り、心臓発作の程度が弱まり、またそこからの回復も早かった。
このラットの体内では抗生物質が総腸内細菌量を減らし、特定の細菌や真菌の量が増えたようだ。またこのグループのラットにレプチンを与えると、抗生物質による効果が相殺された。
またプロバイオティックを与えられたグループにも特定の細菌や真菌の量が増え、レプチンの生成量が減少し、抗生物質を与えられてたグループと同様の効果を示した。またレプチンを与えた時にも同様に、プロバイオティックによる効果が相殺された。
論文誌の編集者であるGerald Weissmann博士によると、心臓発作の予防にヨーグルトを処方できるわけではないが、この研究によって腸内細菌が体内の傷にどのように影響するのかという理解が深まることになるという。現在医者が患者のコレステロール値や血圧を心臓発作のリスク管理に利用しているように、腸内細菌によってもそれが可能になるだろう。
Posted at 2012/01/27 22:50:54 | |
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ちょっと一服(光合成細菌) | 日記