• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2013年05月13日

ステンレスの話をしてみよう【暮らしを支える?ステンレス】

■身の回りを沢山彩るステンレス、
とは言っても車には重たいのであんまり使われません、
それとどうしても異種金属だと金属同士の電位差で
電池になってしまうので、錆が出やすいので…

そう言えばキッチンのステンレス、大分304系が増えてきましたよね。
前はマルテンサイト系で磁性があったのに…
と言っても普通の人には、はぁ、だと思いますし
自分もそんなに詳しい訳じゃありませんが、最近の多品種化
高機能化は目を見張ります。

*********************************
■スーパーステンなどはアロイをも凌駕する性能を発揮する、場合もあります。
本当はもうちょっと単純な所から書きたいなと思ったんですが…
凄くいい資料のページに出会ってしまったので、
いきなり中級編でございます。

重たいですが東北大学の資料が凄く分かりやすいです。

**********************************
■まず、色々な条件によってステンレスはいくつもの種類があります。
フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系、そして二相系
あとは固さが自慢の析出硬化系、色々と用途によって異なっているんですよね。

この辺りのレシピは残念ながら未だに、ヨーロッパそれも北欧が一定の強さがあります。
今一番大きいのはフィンランドのオートクンプ…じゃないかと。

*********************************
■とはいっても一般的に良くつかわれるのは、
オーステナイト系、SUS304,316L(ローカーボン)
稀にSUS316を欲しがる例もありますが今ローカーボンタイプしかありません。
(これは強度の問題でちょっとローカーボンじゃない方が頑丈なんです)。


あとは二相系やスーパー二相というマルテンサイトとオーステナイトの良いとこどり
(値段も高いですが…)があって、
最近特にそのスーパーステンが注目されているんですよね。

************************************
■と言ってもそのステンレスにも弱点があります。
一つは弱くなってしまう温度があるという事
脆化って言います。

溶接もしっかりと溶し込みができないと
弱くなります。でも馬鹿みたいに熱をかけると熱応力で変形してしまいます。
この辺りは原発の弱点にもつながるんですが
腕でカバーは出来るんですがその腕がねえ…


あと鋭敏化って言って、合金成分にも変化が出ちゃいます。
だからSUSの溶接は何度もするとうまくいかなくなっちゃうんですよ。
よってSUSの溶接を綺麗に漏れなく出来るかと言うのは
職人さんの腕前になります^^

日本の職人さんのじいさんはその辺りが優れていて、安心できるって訳。
**************************************
■でもSUSにだって立派な弱点があります。
その一つが応力腐食割れ、何のこっちゃと思いますけど
熱をかけると鉄とかSUSって変形しちゃうんです。
反るっていうのかな??そんな感じです。
その変形の応力を計算しないと、やがて溶接面にずれが生じます。
だからレントゲンで撮ったりするんですよね。

そしてずれると…その断面に沿って腐食が進んで割れる時があります。


原発の細管溶接なんかは、応力がしっかり取れてないとこれが起きちゃうんです。
全体は綺麗でも、溶接個所だけがパッキーンってある日割れる、
大変ですよね?
だから原発の弱点は熱交換器だ(溶接個所が一杯あるから)
と言う事でこの部分の検査は物凄く慎重に行われています。

***************************************
■次に怖いのは孔食。海水環境、すなわち塩素イオンが悪さをします。
一度穴があくとあっという間に腐食が進みます。
チタンもこれには弱いんですよね。



自分は塩素環境下でのボルトで体験があります。
わずかな所から、振動等があるとあっという間にクラックが入ってバッキーン。

めったに起きる物ではなく、主には海水環境でさびるってわけです。
***************************************
■最後に粒界腐食


これはどっちかと言えば鋭敏化にも近いと言えば近い
溶接の腕が要求される所です。でも溶接で注意すべきに、
応力腐食割れがあってそちらはゆっくり冷やすのが対処
と言う訳で、極めて相性が逆なので
最近はローカーボン、つまり炭素を冷やして防ぐようにしています。
【追記】冷やしてどうする冷やして^^;減らして↑の間違いですね、【追記終】


要するにSUSは適当な溶接をすると、
継ぎ目が弱点になりますよ、と言うのが一つの目安と言えるのかもしれませんね。

精密な溶接を要求されると、アルゴンなどのバックシールの徹底も
必要になる場合もありますが、それは設備や要求グレード次第
と言えるのかもしれません。

***************************************
冶金の世界も意外と奥が深くて、どんな温度でどうやって作るか
こういったレシピがあります。
鉄もSUSもそういうレシピの中で工夫して、開発が進むのですが
そういうのを新日鉄からポスコと言う韓国の製鉄会社が泥棒して
大問題になりました。

今は金属分析ができるので、全然楽なのですが昔は
その配合比率のレシピを、実験して、苦労して
ノウハウとして手に入れていたんですよね。

色んな配合割合に基づいて
その性質が決まってくるのもSUSの面白い所です。


もうちょっと安ければありがたいんですが
今はk当り320-350円程度、鉄の3倍程度します。
前はもうちょっと安かったんですが、SUSは随分と高くなっちゃいました。

********************************************
■そんなステンレスの世界で今注目を浴びているのが
スーパーステン、あるいはスーパー二相と言われる物です。

最近では羽田空港の橋脚に使われて非常に話題を呼びました。


それまでも二相SUS、すなわち329J4Lなんかは
使われ出していたんですけど、それにしてもスーパーステンは
ちょっとした画期的事件でもあったんですよね。

お値段は確かキロ1500円クラスだったような?ちょっと漁ってみるか…

******************************************
■と言う訳でさびない鉄SUSについては、
温度であったりイオンであったり、そういう物の条件によって
腐食が違ってくるというお話ですが、
羽田空港についてはもうちょっと、特集してみましょうかね?

ちなみに、高いからベストと言う訳ではありませんので
それぞれ特性があって、強い弱いがあるという事は
申しあげておかないといけません。

温度、PH、暴露環境とかそう言った色々な環境について
様々なノウハウや経験、また、技術革新に基づいて
私達の身の回りのインフラは支えられていて、
中国系韓国系が盗んだり買収したりで猛追していますが
日本は、必死でそういう分野でも頑張ってきていて
層が厚いとは言いませんが、馬鹿にするような業界ではありません。

■時代とともに技術は変わります。
その技術を絶やさない様に、ちょっと理解をする、
常識があっと言う発想で入れ替わる、
そういうのが自分は大好きです。

そんなお話でした。
ブログ一覧 | 材料とか工業とか | 日記
Posted at 2013/05/13 01:33:25

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

ルノースポールでミーティングのその ...
Takeyuuさん

春の星座🎶
Kenonesさん

Crystal Waters - ...
kazoo zzさん

【汎用アイテム】あの隙間、、前から ...
YOURSさん

キリ番
ハチナナさん

秋曇りセーブ加減の週半ば
CSDJPさん

この記事へのコメント

2013年5月13日 12:40
初めまして!コメント失礼します!!ww

ステンレス・・・・私は630系や316L系を数多く加工していますね。ちょこばさんなら何処のパーツか分かってしまうと思いますけど(^^;

ステライトの溶接にしても、最近のレヴェルは段々堕ちてきていると感じます。
上手に出来る人が、年齢でどんどん居なくなってしまっていますね。技術継承が出来ていない現状を憂います。
コメントへの返答
2013年5月13日 17:30
こちらこそ、はじめましてww!!

630系や316L系、手間がかかる(と言うより腕が光る)溶接ばっかりですね。
とんでもないです、自分もこれはここあそこと相談に走りまわる様な物ですし^^;

最近のレベルは、ってステライトだと溶接もですが加工だって大変ですよね。溶接は結局加工とも関りますし、溶接加工とメッキなんかはセットですもんね。

その辺りを、丸投げにする流れはちょっともったいないというかもっと職人やそういう人を育てて欲しいと思います。
確かに偏屈じいが多いですが(笑)打ち解けるといい人ばっかり。
たまにただの偏屈もいますけど^^;物作りに関るとより近くにいる人をホント尊敬してしまいます。

どうも溶接の腕の見込みはない様なので…(苦笑)でもきれいなビードを見るとうっとりしますよ。

ありがとうございます。

プロフィール

「サイトカインによる死者続出とか結構共通点があるんだよね。GIGAZINE人類史上最悪の伝染病「1918年インフルエンザ」に関する10の誤解
https://gigazine.net/news/20200330-10-misconceptions-about-1918-flu/
何シテル?   04/01 12:44
chocovanilla改め「ちょこば」です。(短くしただけ) チョコラ+バニラの二匹が発祥だが彼らは登場しません。ドライブブログかなと思っていたのですが、原...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
1011 1213141516
17181920212223
24252627282930
31      

ブログカテゴリー

リンク・クリップ

ちょっと、お墓参りにいってくる 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/08/19 20:33:09
レッカー・・・orz 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/03/13 20:55:46
中東に悩む 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/02/02 08:15:15

愛車一覧

日産 ADバン 日産 ADバン
日産 ADエキスパートに乗っています。(単身往復マシン) 足回りカッチカチで楽しいです。
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation