2012年01月25日22:00 16cmの鋼板も溶ければ小さな穴が開くのでは?ーーいいえ。残り2 cm迄溶けた時に、圧力容器の底全体が、ドスンと、抜け落ちる
クスッとしてしまいました。
最近こちらのブログを拝見しています。
科学的に対応しようと言う、そのお考えは正しいのですが、
科学が全てとなるとこれまた現場との乖離が生じます。
もちろん私等よりも物理関係の計算については
はるかに賢い方です。
でもこれでは机上の空論になっているような気がいたします。
私の場合は逆に現場で教えて頂いただけなので
アバウトな話になります。
どうぞ話半分で。
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1)熱応力関係が分からない
熱応力と言うものをご存じない?
要するに熱を忘れています。
熱エネルギーもまた応力なんです。
具体的には金属の変形(曲がり)が代表です。
均等に熱をかけないと、冷える時に変形するんです。
恐らくやわらかく(溶けた)時に
ゲル上で変形しているから実は形や密度が変化してしまう
と言うところから、冷えた時に違う形になろうとして
歪みが生じるんだとおもうんですが、違うんでしょうか?
尚、その歪みは電位を生み、腐食につながる場合もあります
場合によっては、母材をもろくして破壊する事もある
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2)溶けたり、熱を受けたりする(熱応力)
で、計算どおりの力を発揮できなくなる。
化繊にタバコの火を押し付けると、へこみます
ステンレスに溶融ウランも同様のはずです。
ちょっとの凹みでいいのです。
凹みに溶融ウランが入り込めば液体の中で比重の重い溶融ウランは沈みます。
そしてまた凹みの底部を溶かします。
だからミミズの穴みたいな凹みが、実際は溶融ウランの開けた穴になります。
凹みが生じた点で、既に違う形になっているので
応力のかかり方が変わってくるのです。
つまり変形すると、変形によって最適設計形状ではなくなります。
きれいに穴は開かないのです。
(その事を分かりやすくすると
チャイナシンドロームともいえますね)
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3)鋭敏化
ステンレスや合金に良く見られる現象です
均等に混ぜる為のノウハウは実は企業が持っています。
SUS304とか316とかはあくまでレシピであって、その細部は
各社が握っているのです。
ところが合金を溶かすと、均等ではなくなってきます。固まった金属は
元通りではないのです。
そのためステンレスであれば、硬く、もろく、さびやすくなります。
また焼きなましになるので、性質が大きく変わってしまいます。
同じ箇所を溶接などしますと、溶接棒との材質のさもありますが
一般的に割れやすくなります。
もちろん上記の熱応力もありますので、一度溶けた金属は元に戻りません。
とは言っても溶かして鋳型で作るものも沢山あります
SUS304の場合はSCS13(鋳造)がその対応です。
例えばSUS304のバルブ(弁)は一般的に公式には存在しないんですよ。
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4)BWRの容器下部には可動部がある。
詳しい部分は分かりませんが、
燃料棒は下部から出し入れしています
設計安全性よりも操作性を優先したというのもありますし
上部は蒸気及び気水分離の為燃料棒を入れられないというのもあります
最初っから穴が開いているので、非常に力や熱応力、ひいては熱そのものが
不均等にかかります。
そうなると、可動部に水が漏れない為の「シール」部に、当然熱が集中するでしょう。
一箇所が破れれば、後は「流れ」ができますので、水あめのように続くと考えれますし
あるいはデブリ上の燃料がぽとぽと落ちる事も考えられます
(実は穴が開けばそこを水が通りますので、(冷却されて)
穴はそこまで大きくならないはずです)
だから残る燃料もあれば、溶け落ちる燃料もあるのは当たり前の事です。
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厄介なのはある程度の塊になった場合です。
溶融ウランが溶岩状になって
どういう動きをするかなんてちょっと分かりません。
スリーマイルはデブリ状で容器下部に固まりました。
今回は人類初ですので
正直将来的にもっと細長い内視鏡で
見てみるしかないと思います。
格納容器底部に水があるのかないのかも重要です。
容器底部に水があるとしたら、水が何らかの影響で抜けると、
放射線量が急上昇します。
(放射線には遮蔽効果がありますから)
今は「冷温停止」と言うことで水を絞っていますが
絞りすぎると、容器内に残ったデブリの上部が顔を出して
かえって放射線量が上る、なんてことも考えられます。
彼らは圧力容器の下部温度計周りが冷温停止したといっているだけで
それ以外はデータすらありません。
一方で溶融燃料に、地下水めがけてドリルのように突き進む力がある
ともまた思えないのです。
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このように想像するのは楽しいのですが
その通りに物事が起きているかどうかといわれれば
「さあ?」としかいえません。
しかも崩壊によって自ら熱を出すのですから
もう、訳が分かりません。
失敗すらできない、失敗に備える事自体が空想に基づく
その点が原子力の恐ろしいところで、
BWR初期型は思ったよりは、
はるかに対応力を持っていたなと言うのが正直な感想です。
焼け石に水をかけ続けたわけで、
それでとりあえず落ち着いているのですからたいしたものです。
ただ、有毒ガスのようなプルームを
今後も容器が放出する可能性は、量を問わなければ
まだまだあるというのも事実ですし、冷温停止
と銘打った以上、もし東電が発表する意図があっても
発表する機会すら失われました。
「収束」とは情報公開の「収束」と言う意味合いで
ドジョウの決意表明だったのだと思います。
Posted at 2012/01/26 13:51:25 | |
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