2013.04.13の岡山国際サーキットでの近藤エンジニアリング走行会の走行ログ(
GPSロガー747Proにより取得)の解析の続き。
解析に使ったのは、
LAP+(=ラプラス=LaplaceView.net=LAP+View)。
1コーナー分析、
2コーナー分析に続く、図中
「C」のATWOOD CURVE(アトウッド・コーナー)~BACK STRETCH(バックストレート、裏ストレート)分析。
●総合
アトウッドでは、ラインの選択肢にかなりの自由度があり、私もいろいろ試していたのでラインに一貫性がない。
FP1(
青・
緑)は外回りのライン、FP2(
オレンジ、
茶色)はクリップに寄せるライン、Race(
ピンク)は脱出時に膨らまないライン。
コース図上のブレーキングポイントの矢印位置は一見バラバラに見えるが、時間軸を統一すると、ほぼ図中760の手前周辺に重なる。
・ブレーキング手前のトップスピードはベストラップが伸びていること(2コーナーの影響が大きい)
・アトウッドでのボトムスピードでもベストラップが高いこと
は読み取れる。
アトウッド前から裏ストレートのヘアピンの手前まででセクター分け(※上図車速グラフの、ピンクの縦線で区切られた区間)した区間タイムは以下。
ベストラップ(FP1 Lap10、2'20"756、青線):32.375(←2番目に速い)
2ndベスト(FP1 Lap9、2'21"038、緑線):32.733
FP2 Lap5(2'23"794、オレンジ):33.254
FP2 Lap6(2'23"459、茶色):32.911
Race Lap6(2'24"227、桃色):32.313(←最速)
ベストラップと
Race Lap6の区間タイムが速く、ともに他よりもボトムスピードが高いが、ライン取りのアプローチは全く異なる。
この2ラップの詳細比較は後述する。
●ベストラップ(FP1 Lap10、2'20"756、青線)と2ndベスト(FP1 Lap9、2'21"038、緑線)の比較
上図ではわかりにくいが、実はブレーキングポイントは
ベストラップ(青)の方が手前。
2ndベスト(FP1 Lap9)がコース図の780位置でブレーキングを開始しているのに対し、
ベストラップのブレーキングポイントを探ると、760手前。
ベストラップは20mも手前でブレーキングを開始しているにも関わらず、2ndベストよりもブレーキング直前の車速が伸びている。
いかに2コーナーのコーナリングスピード→脱出速度が重要か・・・が良くわかる。
5速→4速→3速のヒール・アンド・トゥはキレイに成功しているようだ。(加減速Gのグラフも確認したがキレイだった)
ボトムスピードも
ベストラップの方が高いのだが、
裏ストレートでは2ndベストの方が圧倒的に速く、裏ストレートの途中でベストラップを追い越している
のがわかる。
2ndベストはベストラップの前のラップなのだが、この1周の差で、リアタイヤのタレが決定的になったと考えるべきなんだろうか?燃料残量は当然2ndベストの方が多くて不利なハズなので・・・。
エンジンのセンも考えられなくはないが・・・・違う気がする。
FP1のタイヤ空気圧は
F運転席側: 開始前冷間1.75 → FP1終了直後温間2.00
F助手席側: 開始前冷間1.75 → FP1終了直後温間2.00
R運転席側: 開始前冷間2.00 → FP1終了直後温間2.30(何故?)
R助手席側: 開始前冷間1.95 → FP1終了直後温間2.20(何故?)
4/13の走行会ではリアタイヤの空気圧2.15~2.20あたりがもっともタイムが出ていたので、Lap8(=クーリングラップ)、
Lap9(=2ndベスト)あたりが一番コンディションが良かったのかもしれない。
なんとなく「タイヤのグリップ」というと、「コーナリング時に滑る・滑らない」なイメージが強いが、縦方向のグリップがこれだけ加速スピードに影響すると考えるとタイヤの重要度が見に染みて良くわかる。
(※いや、このデータはたぶんタイヤじゃないよ・・・的な反論・アドバイスがあれば是非お願い致します)
裏ストレートのWOT区間での加減速Gで比較すると、
ベストラップも
2ndベストもそんなに大差なく見えるのだが、これはグラフのYスケーリングが不適切だと解釈すべきなのだろう。実際、車速傾斜にはモロに表れているワケで・・・。
●ベストラップ(FP1 Lap10、2'20"756、青線)とRace Lap6(2'24"227、桃色)の比較
区間タイムでは僅差で最速だった
Race Lap6(桃色)と、
ベストラップ(青)の比較
ブレーキングポイントは
ベストラップの方がちょっと奥。
ただし、ブレーキングポイント云々と関係なく、
ベストラップはモスS終わりでのトップスピードがダントツに高い。
繰り返しになるが、2コーナーの旋回速度・脱出速度の差。
ボトムスピードも似たようなもんだが、
ライン取りは異なる。
Race Lap6(桃色)では
ベストラップよりもアウト・イン・アウトとなっており、クリップにつけている。
同じ旋回速度で、もっとタイトに回れる(※無駄な走行距離を省ける)ことを示している。
別の言い方をすると、
ベストラップのラインを取るなら、もっと高い旋回速度とすることも可能なワケで、加速性能の低い非力なビートでは、もっとタイム短縮を目指すならそういうアプローチがベターなのかもしれない。(リスキーだし怖いケド)
・・・いや、でも、アトウッドの旋回~脱出は思いっきり上り坂なので、非力なビートとしては大回りせず、少しでも登り坂区間の走行距離を短くした方が良いのかな?
裏ストレートでの車速上昇の傾斜は似たようなものだが、やや
ベストラップの方がストレートスピードが出ている。
(※
Race Lap6は、FP2からほとんど間髪なく続けて走ったし、路面温度も高かった。FP2後半はタイヤがかなりタレていたが、FP2とRaceの間の空気圧調整が割と的を得ていたので、大きなダメージにはならなかったと考えている)
ただし、シフトポイントは異なり、
Race Lap6(桃色)が9000rpmまで引っ張っているのに対し、
ベストラップの方が早め(たぶん8500rpmぐらい)にシフトアップしている。
この比較を見ている限りでは、早めのシフトアップがダメージになっておらず、エンジンの安全を考えると9000rpmまで引っ張るよりも8500rpmあたりでシフトアップした方がベターに思えるが、車速データはエンジン・ギア比だけでなくタイヤコンディションが密接に絡んでいるため、断定はできない。
●バックストレート加速の比較
一番バックストレートの車速上昇勾配が急(加速が優れている)
2ndベスト(FP1 Lap9、2'21"038、緑線)と、一気にタイヤがダメになる直前の
FP2 Lap5(2'23"794、オレンジ)
FP2 Lap6(2'23"459、茶色)
のストレート区間比較。
FP2 Lap5、
Lap6では車速グラフのように、ストレートエンドで5速に入れているが、次のラップからはストレートエンドまでに4速9000rpmまで引っ張れず、5速に入れることができなくなった。同様に、モスS~アトウッド手前でも5速にもっていけず、メインストレートでも5速までもっていけなくなり、マイクナイト手前でも3速9000rpmまでもっていけず4速に入らなくなった。
どんどん伸びなくなるので、その後ピットインしたら、リアタイヤの空気圧は両方2.30だった。
2ndベスト(FP1 Lap9)はおそらく2.15~2.20ぐらいだと思うので、
タイヤコンディションの差かな、やっぱり。
車重の違いもあるかもしれない。
FP2ではテンパータイヤを下ろしているのだが、燃料残量は
2ndベスト(FP1 Lap9)の方が少ないハズなので(FP2は続けてRaceも走るので多めに燃料を入れてた)、この比較評価は難しいなあ・・・。大事なところなのだが。
●考察まとめ
アトウッド攻略は、ボトムスピードをもっと上げる。(・・・なんの考察にもなってないな)
登り坂なので非力なビートには、ラインはもっとインに付けて旋回距離を短くした方がベター?
アンダーが出てもアウトに膨らむ分には問題がないし。
B4のときに、前走者をオーバーテイクする際にインから進入してスピンした経験があるので、早くにインに付けるのを嫌っていたが、ビートではなかなかオーバーステアにはならないので、もっと鋭くインに寄せても良いのかも。
ベストラップ(FP1 Lap10、青線)、
2ndベスト(FP1 Lap9、緑線)のラインより、
FP2 Lap5(オレンジ)、
FP2 Lap6(茶色)、
Race Lap6(桃色)のラインの方がベターだろう・・・とは思うが、
ターンインを更に手前にもってきて、もっと手前でインにつけるべきかどうかは悩みどころ(アドバイスが欲しいデス)。
バックストレートは基本的にアクセルベタ踏みなので、タイヤコンディション、コースコンディションに依存するが、想像以上にタイアコンディションが直線加速にもモロに影響するので、
・良いタイヤを履く。
・空気圧管理を徹底。
・・・するしかない。
いろいろお金を使ってアップデートしたいネタがあるのだが、本当にタイムだけを追求するなら、毎回新品タイヤ(今は日本製ラジアルならネオバAD07よりもDIREZZA ZⅡなんだろうなあ・・・。ヨコハマ好きだケド)にお金を使った方がベターなんだろう。
もっとも、私は競技をしているワケではないし、タイヤだけにお金をつぎ込むのが面白いとも思えないので、そうはしない予定だが、タイヤの重要性は身に染みたので、タイヤのことはもっと勉強しよう。
昨秋の走行会ではタイヤに熱が入らないのを問題にしていたので、Sタイヤなんてもってのほか・・・と考えていたが、今回の走行会ではタイヤコンディションの目まぐるしい変化が問題になったので、Sタイヤでも走ってみたくなった。
●サーキット走行 関連目次はこちら
●ビート(PP1)関連目次はこちら
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Posted at
2013/04/26 22:58:22