
ブログエントリ:「
【オーナーズレビュー】Honda Civic TYPE R (FD2) 前編」 の続き。
「走ってみて」編。
■Honda Civic TYPE R (FD2) 後編
●エンジン+ドライブトレイン
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世界一の直4NAエンジンと信じて疑わない、K20Aの最終到達点。
エンジン型式: K20A
エンジン種類: 水冷直列4気筒横置
弁機構: DOHC チェーン駆動 吸気2 排気2
総排気量:1,998cc
内径×行程: 86.0mm×86.0mm
圧縮比:11.7
最高出力: 165kW[225ps]/8,000rpm
最大トルク: 215N・m[21.9kg・m]/6,100rpm
K20Aにもいろいろ仕様違いがあり、
・
以前、いろは坂を試乗させて頂いた、アコード・ユーロR(CL7)
は、アコードというクルマの位置付けから
バランサーシャフトが存在する(振動少ないケド、レスポンス低)。
吸排気はFD2のK20Aに近いらしい。
・
以前試乗させて頂いたインテグラ・タイプR(DC5)
は
バランサーレスだケド、吸排気などはFD2ほど最適化されていないみたい。
CL7、DC5、どちらも、本当に素晴らしいクルマで、この2台の試乗により、私はK20Aへの強い憧れを抱くようになった。
FD2のK20Aは、CL7、DC5と較べて、数字の上でもトルク、出力ともに高いのだが、数字の上でのピークトルク、ピークパワーなんて知らなくても、全域でトルクフルなのが良くわかる。
CL7、DC5と較べて、
全域で線が太い。(「線が細いケド高回転型」が昔ながらのホンダらしさだが・・・)
あと、先日試乗させて頂いたNSXなどと違って、
VTECのローカム、ハイカムの切り換えが露骨じゃない。
VTECのローカム側でも、十分トルクがあり、パンチがある。
10年近く前に試乗した、S2000(AP2)のF22Cに近いフィーリング。
本当にパワフルで速い。圧倒的。
スバルの今のSTiのEJ20と較べても、体感的には全然負けてない・・・か、むしろ速く感じる。
ウチのプジョー307SW
だって、2L 直4 NAだケド、FD2を運転した後だと「壊れた?」と思うぐらいトルク無いし(K20Aよりロングストロークだケド、低回転域からプア)・・・・・
NCロードスター
だって2L 直4 NAでオープンFRだケド、S2000とは同じクラス扱いされないぐらいパワー差があり、同様にFD2のK20Aとも全く比較ができないほどの差があるし・・・
スバルBRZ
、トヨタ86のFA20エンジン(2L 水平対向4気筒NA)も、K20Aとボア×ストロークまで同じ(スクエア、86×86)なのに、本当にプアなエンジンだし・・・
・・・
「2L NAエンジンとは何なのか?」・・・・・という、観念、常識自体が崩壊していく感じ。
ホンダってスゴい。
↑コレってECUだよね。
エンジンルーム内、エアクリBOXとバッテリーの間。
ノーマルK20Aのパフォーマンスに、何の不満もナイので、ROMチューンしたいとも思わないのだケド、
「何やってるか、どうやっているかは知りたい」ので、
HONDATA(純正ECUと通信して、ロギングしたり、マップ書き換えするツール)欲しいなあ・・・
スバル車向けのOpenECUと違って、OBD2を使用するフリーウェアが転がっていないので、HONDATAになるワケだケド、HONDATA、10万円ぐらいするんだよね。。。
中古でVPROを購入できてしまう。
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マフラーは、みんカラであまりに評判が良すぎる、3Q自動車のモリモリ管(Ver.11.5-MJ チタンテール青焼)。
「結構イカツイ音」と聞いてたケド、
インナーサイレンサーを付けてたら純正マフラーより静か。
インナーサイレンサー無しでも、3000rpm以下に留めて、トロトロ走ってたら、結構静か。(営業車なので助かった。)
「暖機時がウルサイ」的なコメントも散見するのだが、私はウルサイとは思わない。
ビート(E07A+オートマック製エキマニ+RSマッハ製N1マフラー+VPRO制御)の方が、エンジン始動時から、FD2のK20A+モリモリ管よりも、ガツンとパンチのある爆音を奏でる。
アイドリングから泣ける。(かなりご近所迷惑なのだが・・・)
そのビートに慣れているからか、FD2のK20A+モリモリ管は本当に静かだ。
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ただし、パーツレビューにも書いたが、5000rpmを超えてから、特にVTECが切り替わる5800rpmから上は・・・
「コレが本当に直4の音か!?」
と思えるほど、
甲高い音が鳴る。レーシングエンジンのよう。
コレは私のビートには出ない音。
低回転域の巡航時は静かで、普段は使わない、高回転域では神の音を奏でる!
営業車なので、とても有り難い仕様だ。
そんなこんなで、
街乗りは40~50km/hまでにトントントンと4速までシフトアップして2000rpm台で走っているし・・・
高速道路も80km/h=2450rpm程度でトロトロ走っている。
計算したワケじゃないケド、メータ目視で、
80km/h=6速2450rpm
100km/h=6速3040rpm
ぐらいの感じ。
(ちなみに、6速の2000rpm台から、ドンとアクセルを踏んでも、さすがに加速しない)
↑燃料レベルメータ(上部インパネの右端)の燃料がみるみる減っていくので、納車初日は、「極悪燃費車???」と思ったが、
燃料タンクが50Lしかナイのも理由。
オーディオレスのビート、オーディオが壊れて何年も経つ307SWと違って、FD2では同乗者がいないときも、音楽聴きながら運転することが多いので、そんなこんな
で、FD2では、今までの私の車歴の中で、もっとも、「ダウンスピーディング」「エコ走行」していると思う。
↑※エアクリBOX写真のようだケド、その下のトランスミッションを撮影したかった。
変速比:
1速: 3.266
2速: 2.130
3速: 1.517
4速: 1.147
5速: 0.921
6速: 0.738
減速比:5.062
6MTでファイナルが5.062なので、ギアはかなりクロス。
フライホイールが純正とは思えないほど低イナーシャで(※純正じゃない可能性もナイとは言い切れないが・・・)、
アクセルを軽く煽ってもビックリするぐらい吹け上がる。
レスポンスが超絶な上に、ギアがクロスなので、シフトダウン時のブリッピングにはかなり注意が必要(回転数合わせが難しい)。
街乗りで5→4→3速などシフトダウンするときは、本当にデリケートに、ブリッピングしているのかしていないのかわからない程度の煽りで丁度。
ただし、2速と3速の間だけがかなり離れているので、3速→2速へのシフトダウン時のみ、多めに空ぶかしする必要があり、これがまた運転操作の難易度を高めている。
BMW E30 M3
のS14エンジンが同じ傾向で、空ぶかし時のレスポンス、針落ちのレスポンスが超絶で、シフトワークに鍛錬の必要なクルマだった。
FD2+K20Aもかなり類する。
ところが、スポーツ走行で、
VTECのハイカム側作動域(5800~8500rpm)を維持して、2速~3速で走っているときは、そんなにデリケートなアクセルワークをしなくとも、だいたい辻褄が合う。
当たり前の話で、同じギア比なら高回転ほど、回転数合わせの際の差分回転数は大きくなるため、たくさん煽ってやる必要があるので。
●ボディとか足回りとかステアリングとか
納車されて、
あまりの乗り心地の悪さ(ハーシュネスがモロに刺さる)にビックリした。
・・・が、後からタイヤの空気圧を測ってみたところ、冷間で2.6k程度だった。
納車時に新品タイヤにして頂いたので、最初だから高めに張って頂いたのだろう。
FD2の車体に貼ってある推奨空気圧は、F: 2.0k、R: 1.9k 程度だったが、冬場なのもあり、
F: 2.3k、 R: 2.2k まで空気を抜いてみたところ、かなり乗り心地は改善された。
純正足とは思えないほど車高も低いし、バネが硬い。
「ノーマルでサーキット走行可能、横Gに対して踏ん張る足!」 という評価・表現もあるのかもしれないが、
最近のスポーツセダンって、踏ん張る足でも、ハーシュネスはうまくいなしているモノがほとんどなので、単純にホンダの足回りの開発能力、セットアップ能力の問題ではないか?・・・とも思う。
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スゴい車体剛性を感じるのだが、そもそも、自分は何をもって「剛性が高い」と感じているのだろうか?
・・・と疑問も覚える。
過去にビートを改造してきて、
・硬いバネの車高調を入れる
↓
・ボディが悲鳴を上げているのがわかる。タワーバー追加で落ち着く
↓
・更に6点ロールケージを投入。ボディがガッチリした分、「良く動く足」になり、乗り心地向上
という流れだった。
FD2の足がかなり硬く、それに対してボディが悲鳴を上げている感じはしないので、それが「剛性」を感じる理由なのかな?・・・とも思う。
でも、「ボディ剛性が高いから、足が良く動き、乗り心地良好」 という領域に至っているとは思えないので、これでもまだ改善の余地はあるのかな。(でも、重くするのはイヤだよな)
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ホイールは、
RAYS TE37SL “SEEKER SPECIAL”。
18インチ、8.5J、+51
で、純正足でほぼツライチになるヤツ。
ほんの少しツラウチだケド、フェンダーとの干渉を考えるとこんなモンかな、と。
少しツラウチに見えるのは、Z2 STAR SPECのショルダーが丸いから、というのもあると思う。
タイヤは、中古販売時のがツンツルテンだったので新品に。
ビートと同じ、ダンロップ・ディレッツァZ2☆。
前後225/40R18。
納車日に軽くワインディングを走ってみたところ、弱アンダーだったが、それは乗り心地の問題と同じく、単に新品タイヤなので、空気圧が冷間2.6kとかなり高かったから、だと後でわかった。
F2.3k、R2.2kまで下げてみて、ワインディングを走行してみたところ、特にアンダーもオーバーも出ず、軽快に走るケド、イマイチ、タイヤの存在感は希薄だった(タイヤ幅が細く感じる)。
(ただし、サイドウォール剛性やブロック剛性の低いタイヤの残念なフィーリングはモチロン皆無)
あと、特に問題があるワケではナイけど、やはり
フロントがリアに対してキャパ不足な感じがするので、サーキット派がフロントだけ255などにワイド化する気持ちはわかる。
また、フロントのトラクションを十分に感じにくいので、フロントに機械式LSDを入れると楽しそうだ。
ブレーキシステムはbrembo。
パッドは純正品。(ニッシンかな??)
レガシィに乗っていたときは、純正ブレーキシステムがプアで、すぐにフェードするし、ロクなモンじゃなかったので、ブレンボとか憧れたケド、今は特に憧れ、ナイ。
ビートが純正ブレーキシステムで十分で、むしろオーバークールを心配したりしている状況なので。
スバルのSTi系車種や、R32~34スカイラインのブレンボは実際には住友が作っているので「スミンボ」と呼ばれていて、モデルによっては、アルミではなく鉄製の場合もあるんだケド、FD2のブレンボはスミンボ?
鉄?アルミ??
新品タイヤにフラットスポットを作らないよう、無闇にフルブレーキングしていないのもあるが、ワインディングを走っていても、あまりブレーキの主張、存在感はナイ。
でも、不自然さもなく、コントローラブルなので、コレでOKだと思う。
フロントが容量不足にも少し思えたケド、ブレーキじゃなくタイヤだろう。
パワステは良い感じで重く、ダイレクト感がある。好み。
ただし、
最小回転半径がドン引きするぐらい大きい(=5.9m)。
車庫入れ、駐車場入れとか、トラックならともかく、車格からすると想定外に大きく回ってやる必要があり、ややこしい。
以前乗っていたレガシィB4(BL5A)と比較しても、ホイールベースもトレッドもFD2の方が大きいから当たり前か。
街乗りで軽いスポーツ走行を楽しみたい方、あるいはジムカーナな方?には、ショートホイールベースが好まれるが、
ブリヂストンのサイトで森脇氏が、レーシングにおけるロングホイールベースと、ワイドトレッドの優位性を語っているので、FD2はおそらくそういう思想で、ホイールベースとトレッドを目一杯の寸法に設定したんだろう。
街乗りだと、ガッチリしているのと、パワステが重めなので、あまり軽快感がナイよう誤解しがち。
(※「鈍重」という意味ではなく・・・)
(もちろん、エンジンをブン回したときの、加速感は半端ナイのだが)
1270kg「しか」ナイのだが・・・・。
※歴代シビック、インテグラと較べて重いと言われてるケド、
ターボ/NA問わず2Lクラスのスポーツセダン関連と較べると、100~150kgぐらい軽い。
「ガッチリした重めの乗り味(でもハーシュネス、キツい)」がFD2の特性かと思っていたが・・・
ワインディングでは違った。
タイトなS字が連続するような区間も、右に左に、驚くほど軽快にスイスイと自由自在に曲がる!
バネ定数が高い+クルマが軽い=固有振動数が高い=レスポンスが良い
・・・とはこういうことか!と。
ただし、残念ながら、スバルBRZ、トヨタ86、ホンダ・S2000、RX-8のような
「フロントミッドシップのFR車」と違って、重心高さは露骨に感じる。
特に大きいロールやピッチングがあるワケでもナイのだが、それでも人間ってちゃんと重心高さを感じとったりできるんだねえ。
重心高さを感じるので、タイトなS字の連続をスイスイと軽快に走っているときなんかは、モーグル選手な気分。
重心高さによる、不安感はナイ。
ワインディングを、VTECハイカム側を途切れさせないように、スイスイと軽快に走るのは楽しいクルマ。
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●総評
(普段、ビートに乗っているので)重心がやや高いこと、シート座面が高いことが気になるが、それ以外は、S2000のFF・セダン版という感じ。
コレ選んで良かった~!!!!
●試乗記関連目次はこちら
●ホンダ・シビック・タイプR(FD2)関連目次はこちら