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ちょこば(旧chocovanilla)のブログ一覧

2013年05月14日 イイね!

「しらせ」に使われているスーパーステンレス

■海水における孔食問題については既に触れた。


■実は、北極海航路等にも、スーパーステンレスは絡んでいる問題だったりする。
と言うか日本が誇る砕氷船しらせにはスーパーステンレスの
クラッド鋼が使われていたりする。


ここでフィンランドが出てくるのがちょっと興味深くて
船体に塗ると量も少なく出来るから、
実は環境にもちょっと優しい技術だったりする。
(漁船とか普通の船はFRPが多いと思うのでまた別物ですけどね)

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■さて、そのクラッド鋼と言う物は一体何か?
爆着だったり圧延だったりして鉄の上に
ステンレスがコーティングされた金属である。
強みは強度がSSの粘り強さを持つ事で、安定して確保できるという事にある。

実はステンレスをはじめとする合金は、特定の温度で脆化(もろく)なる。


その為無垢材に比べて特に安いとまでは言えないものの
強度が確保された上に、耐食性の強いクラッド鋼は
例えば原発の圧力容器などでも定番だったりする。

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■そんな訳で、クラッド鋼を張れば、錆びないし万全、と思いたくなるのですが
異種金属をくっつけると…、電位差が生じて卑な金属がさびてしまう
と言うのがメッキな仕組みの訳で、鉄とステンレスもくっつけておくと電位差が生じて
結局電気によって、金属が食われる場合があるので

電気防食の仕組が

 
しらせにも採用されている。


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■何気にこの辺りの技術は、将来温暖化かどうかは別にして
温水は水面に滞留するので、北極の氷は長い目では薄くなるのはやむを得ない。
また、真水の量自体が人の利用で減れば、融点が下がるからやはり氷は薄くなる。
その為今北極海航路は非常に着目されていたりする。

もちろん全ての船で使うにはクラッド鋼はあまりに高すぎるのだけど
この技術自体は非常に優れたもので、そう言った技術の深化を進める為にも
前のしらせはまだ使える状態だったが(確かウェザーニュースが購入したはず)
新しいしらせができたというのは、あまり着目されないんですけど
ひそかに凄いニュースだったりします。

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■と言う訳で、ここまでがスーパーステンレスのお話です。
次は、主な合金の種類とそのレシピについて
触れていこうと思います。

度々出てきているアロイ系=ニッケル系合金も説明してみようかと思ってます。
スーパーステンレスは最新のステンレスの話ですが
原発とステンレスの関りにちょっと軸足をずらしてみます。
Posted at 2013/05/14 00:03:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 材料とか工業とか | 日記
2013年05月13日 イイね!

【羽田空港】海で大活躍のスーパーステンレスその1

■羽田空港の滑走路にも使われ出したスーパーステンレス。


もはや画期的発明です。PSコンクリート等を使わなくても
鋼製で海もカバーできる、
確かこの方式は普天間移設でもちょっと注目を浴びた様な気がします。
とは言え東京湾と、沖縄の海を一緒にしちゃ駄目ですけど^^;

海洋国家日本にとってはとても大事な技術です。
戦争ではなくインフラの為ですが、
もちろんインフラはとても重要なのは
皆様良くご存じかと思ってます。

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■実は前回頂いたコメントは、その次の方向性を示していたりしますが
(ドキリとした)
今回は、スーパーステンレスの活躍の場と、防食について続けていきます。



■プラントの塩化物環境で絶大な人気を誇る329J4L
実はステンレスは性能がよくなれば良くなるほど、暴露試験に時間がかかります。
そりゃそうですさびないからこそどの時点でさびるのかが凄くポイントな訳です。

その採用が大々的に進んだのは大体10年前、
2相系の話をされて、当時はまだ???でした。

それから10年、画期的なプロジェクトとして、羽田空港で
使われることとなりました。

■その性能はまさに驚異的、
全くさびない…という恐るべき性能です。


■試験も塩水をかけて実験します。
これも色々面白い物がありますが次々回くらいかな??


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■さて、スーパーステンはもちろん海でも実験されました。
そして316L等からのもらいさびもガードする事が分かっています。
もう一つ面白いのは溶接棒がアロイ系である事。

【追記】わわ、絵が抜けてました


【追記終】

もちろんアロイ系からの代替及び
チタンに対する(チタンは隙間腐食等溶接部に難点あり)強みを示しています。

アロイ系とステンレスの間をつなぐ(アロイ系だと鬼の様な価格ですし)
そういう価格ポジションなんだなと思います。
いずれにしても本当に錆びない鉄が出来たのですが、
異種金属同士の電池効果による錆を防がなくてはいけません。

その辺はアルミ合金との組み合わせで、陽極かませて
一種の電気防食をかけています。

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■と言う訳で次は電気防食を兼ねた、日本ならではのアイデアと技術のご紹介
そしてその次の次で、ブログ内容に絡んでくるお話もちょっと出てきます。
新しい技術を見るとホントワクワクします。

もっともまだまだ、実績重視の段階で、今後10年経てば
冶金関係は変化があるんじゃないのかなと思ってます。

意外とHV車なんかは、電気防食にも向いていたりして。


何気に伸びしろがまだある分野だったりします。
未だに鉄は国家なり、なんですよ。

と言う訳で次は電気防食を使った、斬新な試みのお話を
進めたいと思います。次の次くらいには
「SUSの進歩は、原発の進歩」と言う話ができるかと思います。

同時に難点もそこにあったりしますし…
Posted at 2013/05/13 19:44:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 材料とか工業とか | 日記
2013年05月13日 イイね!

ステンレスの話をしてみよう【暮らしを支える?ステンレス】

■身の回りを沢山彩るステンレス、
とは言っても車には重たいのであんまり使われません、
それとどうしても異種金属だと金属同士の電位差で
電池になってしまうので、錆が出やすいので…

そう言えばキッチンのステンレス、大分304系が増えてきましたよね。
前はマルテンサイト系で磁性があったのに…
と言っても普通の人には、はぁ、だと思いますし
自分もそんなに詳しい訳じゃありませんが、最近の多品種化
高機能化は目を見張ります。

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■スーパーステンなどはアロイをも凌駕する性能を発揮する、場合もあります。
本当はもうちょっと単純な所から書きたいなと思ったんですが…
凄くいい資料のページに出会ってしまったので、
いきなり中級編でございます。

重たいですが東北大学の資料が凄く分かりやすいです。

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■まず、色々な条件によってステンレスはいくつもの種類があります。
フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系、そして二相系
あとは固さが自慢の析出硬化系、色々と用途によって異なっているんですよね。

この辺りのレシピは残念ながら未だに、ヨーロッパそれも北欧が一定の強さがあります。
今一番大きいのはフィンランドのオートクンプ…じゃないかと。

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■とはいっても一般的に良くつかわれるのは、
オーステナイト系、SUS304,316L(ローカーボン)
稀にSUS316を欲しがる例もありますが今ローカーボンタイプしかありません。
(これは強度の問題でちょっとローカーボンじゃない方が頑丈なんです)。


あとは二相系やスーパー二相というマルテンサイトとオーステナイトの良いとこどり
(値段も高いですが…)があって、
最近特にそのスーパーステンが注目されているんですよね。

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■と言ってもそのステンレスにも弱点があります。
一つは弱くなってしまう温度があるという事
脆化って言います。

溶接もしっかりと溶し込みができないと
弱くなります。でも馬鹿みたいに熱をかけると熱応力で変形してしまいます。
この辺りは原発の弱点にもつながるんですが
腕でカバーは出来るんですがその腕がねえ…


あと鋭敏化って言って、合金成分にも変化が出ちゃいます。
だからSUSの溶接は何度もするとうまくいかなくなっちゃうんですよ。
よってSUSの溶接を綺麗に漏れなく出来るかと言うのは
職人さんの腕前になります^^

日本の職人さんのじいさんはその辺りが優れていて、安心できるって訳。
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■でもSUSにだって立派な弱点があります。
その一つが応力腐食割れ、何のこっちゃと思いますけど
熱をかけると鉄とかSUSって変形しちゃうんです。
反るっていうのかな??そんな感じです。
その変形の応力を計算しないと、やがて溶接面にずれが生じます。
だからレントゲンで撮ったりするんですよね。

そしてずれると…その断面に沿って腐食が進んで割れる時があります。


原発の細管溶接なんかは、応力がしっかり取れてないとこれが起きちゃうんです。
全体は綺麗でも、溶接個所だけがパッキーンってある日割れる、
大変ですよね?
だから原発の弱点は熱交換器だ(溶接個所が一杯あるから)
と言う事でこの部分の検査は物凄く慎重に行われています。

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■次に怖いのは孔食。海水環境、すなわち塩素イオンが悪さをします。
一度穴があくとあっという間に腐食が進みます。
チタンもこれには弱いんですよね。



自分は塩素環境下でのボルトで体験があります。
わずかな所から、振動等があるとあっという間にクラックが入ってバッキーン。

めったに起きる物ではなく、主には海水環境でさびるってわけです。
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■最後に粒界腐食


これはどっちかと言えば鋭敏化にも近いと言えば近い
溶接の腕が要求される所です。でも溶接で注意すべきに、
応力腐食割れがあってそちらはゆっくり冷やすのが対処
と言う訳で、極めて相性が逆なので
最近はローカーボン、つまり炭素を冷やして防ぐようにしています。
【追記】冷やしてどうする冷やして^^;減らして↑の間違いですね、【追記終】


要するにSUSは適当な溶接をすると、
継ぎ目が弱点になりますよ、と言うのが一つの目安と言えるのかもしれませんね。

精密な溶接を要求されると、アルゴンなどのバックシールの徹底も
必要になる場合もありますが、それは設備や要求グレード次第
と言えるのかもしれません。

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冶金の世界も意外と奥が深くて、どんな温度でどうやって作るか
こういったレシピがあります。
鉄もSUSもそういうレシピの中で工夫して、開発が進むのですが
そういうのを新日鉄からポスコと言う韓国の製鉄会社が泥棒して
大問題になりました。

今は金属分析ができるので、全然楽なのですが昔は
その配合比率のレシピを、実験して、苦労して
ノウハウとして手に入れていたんですよね。

色んな配合割合に基づいて
その性質が決まってくるのもSUSの面白い所です。


もうちょっと安ければありがたいんですが
今はk当り320-350円程度、鉄の3倍程度します。
前はもうちょっと安かったんですが、SUSは随分と高くなっちゃいました。

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■そんなステンレスの世界で今注目を浴びているのが
スーパーステン、あるいはスーパー二相と言われる物です。

最近では羽田空港の橋脚に使われて非常に話題を呼びました。


それまでも二相SUS、すなわち329J4Lなんかは
使われ出していたんですけど、それにしてもスーパーステンは
ちょっとした画期的事件でもあったんですよね。

お値段は確かキロ1500円クラスだったような?ちょっと漁ってみるか…

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■と言う訳でさびない鉄SUSについては、
温度であったりイオンであったり、そういう物の条件によって
腐食が違ってくるというお話ですが、
羽田空港についてはもうちょっと、特集してみましょうかね?

ちなみに、高いからベストと言う訳ではありませんので
それぞれ特性があって、強い弱いがあるという事は
申しあげておかないといけません。

温度、PH、暴露環境とかそう言った色々な環境について
様々なノウハウや経験、また、技術革新に基づいて
私達の身の回りのインフラは支えられていて、
中国系韓国系が盗んだり買収したりで猛追していますが
日本は、必死でそういう分野でも頑張ってきていて
層が厚いとは言いませんが、馬鹿にするような業界ではありません。

■時代とともに技術は変わります。
その技術を絶やさない様に、ちょっと理解をする、
常識があっと言う発想で入れ替わる、
そういうのが自分は大好きです。

そんなお話でした。
Posted at 2013/05/13 01:33:25 | コメント(1) | トラックバック(0) | 材料とか工業とか | 日記

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「サイトカインによる死者続出とか結構共通点があるんだよね。GIGAZINE人類史上最悪の伝染病「1918年インフルエンザ」に関する10の誤解
https://gigazine.net/news/20200330-10-misconceptions-about-1918-flu/
何シテル?   04/01 12:44
chocovanilla改め「ちょこば」です。(短くしただけ) チョコラ+バニラの二匹が発祥だが彼らは登場しません。ドライブブログかなと思っていたのですが、原...
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