■おはようございます。
地震予報はめでたく外れました^^
デスブログじゃないようでいい事です。
■とはいえ、地震の深さと破壊の仕方が、今後の大地震の予想に繋がります。
慶長と言う時代と地震から、今回の地震を学ぶ
と言うエントリーで、深さが関連すると言う話をしました。
今日はそれをもう少しだけ掘下げます。
■アサヒコムで
断層破壊「深部→浅い場所→また深部」 東大チーム解析
と言う記事がありました。非常に興味深い記事です。
東日本大震災の津波を起こした巨大地震は、震源からの断層破壊が地下深い方向に進んだ後、浅い方向に戻り、再び深い方向に進むという、これまで未確認の過程だったとみられることがわかった。東京大などのグループが突き止めた。20日付米科学誌サイエンス電子版に報告する。
今回の地震は、海側と陸側のプレート(岩板)の境界がずれる「プレート境界型」地震。東大の井出哲准教授(地震学)らは3月11日に観測されたマグニチュード9.0の本震や、前震や余震で観測されたデータを解析した。
その結果、発生直後3秒間に地下20キロ付近で断層の破壊が始まり、40秒後にかけて深部で破壊が進んだ。その後、再び60秒後にかけて浅いところで一気に破壊が起こった。この破壊が急激だったため、蓄積されたひずみ量以上に動いた。この時に海底が変動して巨大津波をうみだしたとみられる。さらに、地震は90秒後にかけて深部に向かって破壊が進んだ。
■マグニチュードは対数です、2つ上がると1000倍だったと思います。
と言う事は1つ上がると、恐らく約32倍と言うのが想定です。
一応裏を取りますと、ウィキにこのような表現がありました。
マグニチュードは地震のエネルギーの対数と線形関係にあり、マグニチュードが2増えるとエネルギーは1000倍になる。
■大事なのは、深さの破壊の仕方です。
なぜかというと、マグニチュードと津波地震、この2つを併せ持った地震であったからです。
■参考になるのがこちらです。

尚慶長三陸地震はM8程度、今回の地震の「20分の1」くらいの大きさです。
この地震は慶長大地震といわれる、1605年(6年前)に起きたM8の
東海、南海、東南海連動地震と関連があると、私は想定しています。
【追記】サンケイニュースに、
より良い記事がありました。
立体的な地震であった事が伺われます。
■一方、今回の地震発生域については、
こちらから引用しましょう。
■今回は宮城沖+茨城沖+岩手沖のコラボレーションですが、
破壊エネルギー分布を考える上では大きな意味合いがあります。
何故なら、モーメントマグニチュードは、運動量、即ちプレートの動いたエネルギーを表したものです。
その元になったエネルギー及び、そのエネルギーが解放されたことで
一体どこが次はストレスを受けるのか、実は工学的にも通じます。
■何故なら、エネルギーは一番弱い所を破壊するのです。
機械で、振動機械と言う物があります。振動モーターを使って、トラフ
即ち機体にエネルギーを与え、中の物を移動したり、乾燥したりするものです。
もし設計に何らかの疎漏があれば、
それは、角であったり、溶接箇所であったり、応力集中点を破壊します。
【追記】振動エネルギーを嘗めてはいけません。
液状化だって、振動エネルギーが変化した物なんですよ【追記終】
■少々小難しくなりましたが、
様はエネルギーは一番弱い所を狙い撃ちにするのです。
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■話を戻しましょう。宮城沖のエネルギーは膨大で、宮城沖の深さ20キロの岩盤を破壊しつつ
深さ20キロの茨城から八戸沖までの岩盤を破壊しました。
太平洋プレートがマントルに落ち込んだ、ともいえるでしょう。
その
巨大エネルギーはその直上の浅い地域をも破壊しました。
これによって巨大津波が起きたのではないか、と言うのが東大チームの仮説となります。
■この事は3つのことを示唆します。
1)広義での余震は、八戸沖、茨城沖における、津波地震となる可能性がある。
何故なら、八戸、茨城沖では、地下20キロ→破壊、浅い部分未破壊だからだ。
ただ、これがいつ起きるか、と言うのは予知が難しい。

一つのスパンが100年であると思われる。
実は津波地震である、慶長大地震の折だけ、南海地震系の間隔が縮まったのだ。
急に100年になった。
深部系と、浅部系、これらは連動しているが一緒に動く事は少ないと言う事だ。
2)深さ20キロ系統の地下世界では大変なストレス革命が起きた。
関東の下にはプレートの破片が支えている、と言う説がある。
割れたプレートが浮力を持って、関東の平野を支えている、と言うわけだ。
東北で受けたストレスが、地下20キロの世界でどのように、
東海、東南海、南海系統に伝播するかは分からないが、
やはり次回の東海、東南海、南海系は深さ20キロの世界で起きると思われる。
3)プレートの融解は、マグマの生産を誘発する。
長期的に見て、東北の火山活動は活発化する。
■そして、東海、東南海、南海地震系統にもこの事は大きな明かりを当てているのです。
即ち今まで南海地震系が均等に起きているのは、
あくまで結果的なことであって、
実際には、超巨大東南海地震の余震or前震にしか過ぎないのではないか?
■この示唆は、巨大地震同士が、様々なストレスの相関関係の中で繋がっていて
単純に何年に一度起きるなんて予想できるものではない、
そういう、日本列島とともに綿々と続いてきた営みの一部に過ぎないのではないか
と言う事を私たちに教えてくれる、と感じています。
■地震予知については、地下水が結局は確実なようです。
南海地震については道後温泉の枯渇、これに全てがかかりそうですね。
【追記】サンケイニュース
「すべり過ぎ」で津波巨大化 東大解明
2011.5.20 07:21
東日本大震災で壊滅的な被害をもたらした大津波は、日本海溝付近のプレート(岩板)境界で起きた「すべり過ぎ現象」によって巨大化したことを、東京大学大学院理学系研究科の井出哲准教授らが地震波の分析で解明した。
マグニチュード(M)9・0の巨大地震は、地面をガタガタ揺らした深部(陸寄り)の断層破壊と、大津波を起こした浅部(海溝付近)の大きな断層すべりの“
2つの顔”を持つという。20日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。
井出准教授らは、全世界のデジタル地震観測網の地震波記録を分析。(1)最初の3秒間はゆるやかな破壊(2)次の40秒間に陸地方向に破壊が進行(3)この後に、海溝付近で約60秒間の大きなすべりが発生(4)再び陸寄りで90秒間の深部破壊-の4段階で震源断層の破壊が進んだことを解き明かした。
巨大津波を起こしたのは(3)の段階で、このとき震源断層に蓄積されていた地震エネルギーが100%放出されただけでなく、ダイナミックオーバーシュート(動的過剰すべり)と呼ばれるすべり過ぎ現象が発生。陸側プレートの先端が変形しながら大きく跳ね上がり、津波の規模を巨大化させた。すべり量は、蓄積したエネルギーの2倍に相当するという。一方、人が感じるような周期の短い地震波(ガタガタ地震)は、(2)と(4)の深部の破壊過程からしか放出されていない。
津波地震として知られる明治三陸地震は、(3)のような静かで大きな断層破壊だったと考えられるという。井出准教授は、「東日本大震災は、深部のガタガタ地震が海溝付近の津波地震を誘発したようだ。このような連鎖は頻度は低いが、地震・津波を巨大化させる普遍的なメカニズムと考えられる」と話している。