ロアアームの交換とタイヤローテーション作業を行ってもらってる間に乗ってきた。
スバルの新ミニバン「エクシーガ」。
3人の子をもつ私には「イケてるミニバン」の調査はひとつの避けて通れない課題なので、以前から発表・試乗は楽しみだった。
■エクステリア
はっきり言って、ダサいと思う。
全体にモッサリしており、シルエット化したフォルムも、構成ライン、面処理、ディテール、どれを取ってもイケてないと思う。
友人から
「BP・BLや最近のスバルのデザインに抵抗のあるBE・BH派にウケているらしい」
という話も聞いたが、うーむ。。。。
BE・BHは今にして思えば当時提携があったGMの影響の強いデザインながら、私もとくにBE型B4には強烈なスバルのアイデンティティと男気を感じ、全く洗練されていないデザインだが、カッコ良いと思う。
BEの形状は、デザインを無視して5ナンバー枠を最大限に活かした結果だと思えるが、エクシーガにはそういう機能美は存在しない。
BE・BH支持派が
「デザインが洗練されていないのがスバル」
「ダサくてこそスバル」
とでも思ってエクシーガを支持しているのならば、それは確かに相通ずるところかもしれないが、私個人としては、エクシーガにBE・BHの機能美(「美」とは言えないか)やアイデンティティは感じることができない。
多くのみんカラ友人のブログやコメントでトヨタ色の強さを指摘されている。
タイミング的にもそういうコメントが多くなるのは当然の流れながら、
「安易なコメントだよなあ・・・・」
と思っていたが、それらのコメントは確かに的を得ていて、実物をマジマジと見て、トヨタっぽいと思わずにはいられなかった。

テールランプはアルファードにそっくりで、これまた残念極まりない。
ちなみに、クルマのコンセプトとエクシーガのイチオシ色のこの青が全く似合っていないあたりもスバルのデザイナーなのか首脳陣なのかのセンスを疑う。

こっちのNAモデルの試乗車のカメリア・レッド・パールの方がだいぶ似合っていると思う。
はじめのうちはかなり否定したGHインプレッサのデザインだが、最近は見慣れてカッコ良く見えるようになった。
まあ、走りの面でクルマの出来が良いとデザインも良く見えてくるもので、そういう意味では、GHインプと対照的に、
デビュー時に絶賛したデミオのデザインはクルマが退屈だったこともあり、見慣れた現在はデザインにもあまり魅力を感じることができない。
GH・GRBインプレッサも見慣れてきて、BL・BPレガシィとの共通項の多さもあって好きになった。
SH5フォレスターも、出た当時はフォードっぽさ、三菱っぽさに抵抗感を覚えたが、見慣れてきて、また、BL・BPレガシィ、GH・GRBインプレッサとの共通項も確認できてきて、好きになってきた。
スプレッド・ウイング・グリルをトライして止めたスバルの迷走ぷりは、過去のブログ「
【書籍】空力とカーデザイン」でも嘆いたが、無難な方向でありながらも、GH・GRBインプ、SH5フォレは、着実にデザイン・クオリティをアップさせてきており、また、地味ながらもちゃんとブランド・イメージの統一化を行おうとしているフシが見える。
が、一見レガシィによく似ているエクシーガには、GH・GRBインプレッサやSH5フォレスターでの「デザインの洗練」に対しての努力の跡を全く感じることができないし、BL・BP~GH・GRB~SH5と続くブランド・イメージの統一化も断ち切られた感がある。
と、いうわけで、個人的にはエクシーガのデザインは全否定。
ただし、スバルのデザインは
「最初嫌いだったけど、時間が経って見慣れてから・・・」
というパターンが多いので、今後は静観しよう。
・・・デザインだけで随分と長くなってしまった。
■インテリア
デザインの方向性には賛否あると思うが、新車種を出すたびにクオリティアップしていくスバルの内装。
エクシーガでも大きく前進した感がある。

センターコンソールのブラックの木目調プリントにはトヨタ色を強く感じた。
私: 「このあたりがトヨタっぽいよね」
同乗の営業の女の子: 「でもスバルなんです(笑)」
うん、いい答えだ。
掲示板系では、
「スバルにはトヨタの内装を見習って欲しい」
という意見をたくさん見てきたので、そういうイミではエクシーガは及第点だと思うが、個人的にはダサいと思う。嫌い。
■運転してみて
今回は、担当営業さんが接客・商談でやたら忙しかったので、今春に入社したばかりのホヤホヤの新人の女の子が同乗だった(ラッキーだった)。
クルマ好きの娘なのもあって、試乗中はあんましエクシーガの話をすることもなく、ほとんどひたすら「クルマ好きの女の子とのデート」のような盛り上がりトークで終始してしまった。
20代前半の女の子なんて、すっかり無縁となってしまっているので、オッサンとしては自然な流れだったと思う。
学生時代から親父さんのセリカを借りていろいろ山にドライブに行ってたらしい。
で、GRBのSTIが欲しいらしい。
好感度高し。
と、いうか、これこそがスバルの一番ステキなところかな。
ディーラーに並ぶクルマは客車、店員のクルマを含めておおよそ「走りのクルマ」で、クルマ好きが本当に集まってる。
で、エクシーガ自体がどうだったのかというと・・・・
よく言えば「とてもナチュラル」。
悪く言えば「特徴がなくて退屈」。
タイヤの違いもあるのかもしれないが、以前のブログ「
【試乗】Impreza S-GT (CBA-GH8)」や「
【試乗】Subaru Impreza WRX STI (CBA-GRB)」で書いた、SIシャシーの圧倒的なサスペンションのしなやかさ、吸い付き感はエクシーガでは全く体感できなかった。
かと言って、悪いサスでもなく、乗り心地もいいし、かと言ってトヨタ車のような大きなピッチングもなかった。
ただ、インフォメーションが少なく、退屈ではあった。
こないだ試乗した
Outback 2.5XT (BPH)に近いかな。
Legacy Touring Wagon B-Sport (BP5D)とも似てるかな。
ただし、ホンダ オデッセイ(RB1/2)の
「ステアリングを切ると完全にリアが遅れてついてくる感じ」
や、マツダ 現行MPVの
「とにかく大きいのが運転しにくい」
と言った、ミニバンそれぞれのネガティブな要素は感じられず、D型以降のBPレガシィ・ツーリングワゴンやアウトバックと同じような感じで乗れるのは、ミニバンとしてはかなり評価できるポイントだと個人的には思う。
もっとも、現行ストリームなんかは未試乗なので、一度乗ってみなくちゃな。
エンジンは出力を抑え(225[ps]、33.2[kg・m])、中低回転のトルクを重視したセッティングのEJ20ターボ。
確かに中低回転域でのトルクの細さはなく、とても乗りやすい。ATとも相性が良さそうだ。
ただし、
GHインプレッサS-GTや、
GRBインプレッサSTIでは、BP・BLレガシィとも違い、GDBインプとも違う、なんとも素晴らしい爽快感とレスポンスを感じることのできた、最近のEJ20ターボだが、エクシーガではそういう印象は全く持つことができなかった。
トルク不足はないし、静かだが、モッサリしていてレスポンスはイマイチ。
そして、何より、ターボ車ならでの「ワープ航法」に入るドラマチックな演出がない。
悪くないけど、退屈だ。
このターボエンジンとATとの相性は良いと思うが、やはり国産トルコンATのフィーリングは依然として解決されてないな、と思った。
ドイツ車のティプトロは総じてだいぶフィーリングがいいのだが・・・・。
■総評
オデッセイ、MPVなどと比較して、ミニバンとしては評価できるナチュラルな走りだと思う。
BPレガシィ後期型やアウトバックと乗り較べても大きく違わないフィーリングは凄いことだと思う。
けど、正直あらゆる角度から魅力を感じる部分はなかった。
ミニバンとしては、3列目をほとんど緊急用とするならば、過去の試乗車ではやはり
シトロエンC4ピカソ(B58RFJ)が個人的には圧倒的に魅力的だ。
ただ、今回の試乗は、隣がクルマ好きの若い女の子だということで、今までのスバル車の試乗よりもあるイミとても楽しかった。
↓試乗記念に頂きました(ありがとうございます)
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