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2012年03月29日

チェルノブイリフォーラムのページを特集するその3【3.5. 水相系における放射性核種 】

■水系における沈澱を利用せよ、という意見は
私が大声で叫ばずとも、
既にIAEAによっても取り上げられていた事が分かる。

問題は、知っているはずの人間たちが何も
口を開かない事にある。
短期的な水道での汚染の上昇、
コロイドなどを通じた沈殿物の有害性と移動


またキエフ貯水池における汚染と沈澱がやはり予想通り記載されている。
また沈澱過程を経ずに直接太平洋を汚染した訳で、
チェルノブイリでは影響がほとんどなかった(淡水系の影響が大きかった)
その辺りを比較すると、、太平洋への海水汚染は、
それ自体は恐ろしい事でもあるが、太平洋であったが故に希釈され
底生魚を除いては比較的早く回復することを示す







*****************************

ただ一つの懸念は
>小さな集水域では[3.67, 3.112, 3.113]、高い有機土壌(特に飽和した泥炭土壌)が、一部の鉱物土壌と比較して、最大1桁多くの放射性セシウムを方面水に放出する。したがって、集水域に広い湿潤な有機土壌の地域を持つフィンランドの河川は、集水域で鉱物土壌が多い河川よりも(放射能沈降の単位ごとに)高い放射能濃度を示している

日本の短く有機に飛んだ湿潤な水系は、
やや高い放射能濃度を反映するだろうという事である
特に水源におけるセシウム除去に失敗し、
その多くが腐葉土に含まれたため、ダムの少ない水系では
セシウムにおける環境半減期が大きく延長されると予測される。

■しかしこれらの未来はチェルノブイリのフォーラムで
すでに有識者によって討議されていた事である事が大きい。
こう言った当たり前の知識や情報が
マスコミによって報道されなかった事は、
事故の実態の隠蔽よりも罪深いことだと思う。

■あえて言えば、すでに短期崩壊核種は崩壊済みである。
3月15~21日、そして影響が出た、
3月~4月いっぱいにかけての
呼吸管理、飲水管理、食事管理、ここが肝であったと思われる。
「この時期に無防備だった人間」については
残念ながら今更気をつけてもという感は否めない。

また、放射性物質の崩壊はラジカルを生むから
ラジカル関係でアレルギーを起こした人間は
他の人からはほとんど理解されない、
体調不良に苦しむ事になると予想される。


以上私見です。
では以下引用部、重要部太字
***************************************
3.5.1 序論
 チェルノブイリからの放射性物質はヨーロッパの多くの地域で表面水系に影響を及ぼした。しかしながら、放射能降下の大部分はPripyat川の集水域に沈降した。この集水域は、ヨーロッパ最大の表面水系の一つであるドニエプル河貯水系の重要な構成要素をなす[3.13]。このため、事故後、黒海に至るおよそ1000kmの距離をカバーする貯水池のドニエプルカスケードに沿った地域での、上水道の汚染についての特別な懸念が生じた(図3.6-3.9を見よ)。ライン川やダニューブ河といったヨーロッパの他の大水系もまたフォールアウトの影響を被ったが、こうした河川での汚染レベルは放射線学的に重大な物ではなかった[3.5, 3.6]。
 ベラルーシ、ロシア連邦、およびウクライナの一部における河川水の当初の放射性核種濃度は、他のヨーロッパの河川、および飲料水中の放射性核種に関する安全基準双方と比較して有意に高かった。汚染は河川表面への直接の降下と集水域からの汚染の流出とに起因するものであった。事故後最初の数週間に、短寿命同位体の物理的崩壊と集水域土壌や水底沈殿物への放射性核種の吸収によって、河川水中の放射能濃度は急速に低下した。より長期間について見ると、長寿命の137Csや90Srが水相生態系の汚染の主要成分となった。河川中のこれら放射性核種のレベルは当初のピーク以後は低いものであったにも関わらず、Pripyat川の氾濫の際の放射能濃度の一時的上昇がドニエプルカスケードからの水を利用する地域で深刻な懸念を招いた。

 池や貯水池は水表面への降下と周辺集水地域からの放射性核種の移行とによって汚染された。水中の放射能濃度は、水の大量の流入や流出を伴う貯水池や湖(開放湖系)では速やかに低下した。しかしながら、中には、集水域の有機土壌からの流入のために放射性セシウムの活量濃度が相対的に高いままとどまったものもあった。これに加え、閉湖系(すなわち、ほとんど水の流入や流出がない湖)における放射性セシウムの内部循環によって、その水や水中生命相に、開湖や河川に通常見られるよりも非常に高い放射能濃度が生じた。

 放射性核種(特に放射性セシウム)の魚類中への生物濃縮によって、ケースによっては、消費許可レベルより相当高い放射能濃度が(最大被害地域および西ヨーロッパで)引き起こされた[3.89-3.94]。ベラルーシ、ロシア連邦およびウクライナのいくつかの湖では、こうした問題が現在まで継続しており、また予測可能な将来まで継続するかもしれない。汚染地域の多くの住民にとって淡水魚は重要な食料源であった。ウクライナのドニエプルカスケードにおいては、商業的水産業が年20,000トン以上の魚を収穫する。西ヨーロッパのいくつかの地域、特にスカンジナビアの一部では、魚類中の放射性セシウム活量濃度がいまだに相対的に高い[3.95]。

 チェルノブイリにもっとも近い海洋システムは黒海とバルト海で--双方とも現場から数百キロ離れている。これらの海の水および魚中の放射能はチェルノブイリ事故後集中的に調査された。こうした海への平均沈降量は相対的に低い物であったため、そして海洋システム中での大きな希釈によって、放射能濃度は淡水システムにおけるよりかなり低かった。

3.5.2 表面水中の放射性核種


3.5.2.1. 溶解相と粒子相間での放射性核種の分布

 集水土壌や河川および湖の堆積物による放射性核種沈降物の保持がその後の水相系への移行を決定するのに重要な役割を果たした。浮遊粒子に吸収された放射性核種の割合(表面水によって相当変化する)がその輸送と生物濃縮とに強い影響を与えた。ほとんどの90Srが溶解相で存在する(0.05-5%が固体相)が、近隣区域ではストロンチウム降下の大きな割合が燃料粒子の形態であった。CEZの土壌は90Srにによって重度に汚染されており(図7.7を見よ)、その一部は、低地エリアが浸水した洪水発生中に洗い出された。

 Pripyat川では、事故後最初の10年間におよそ40-60%の放射性セシウムが粒子相で[3.97]あったが、他のシステムでの推計[3.98]では、浮遊粒子の構成や濃度および水の化学的性質に応じて、4%から80%まで変化した。密粘土や沈泥粒子は、他のより大きく、反応性の小さい砂粒子より、効率的に放射性セシウムを吸収する。原子炉近くでさえ、砂状の河床は相対的にあまり汚染されなかったが、密粒子は放射性セシウムを相対的に長い距離輸送した。キエフ貯水池の深部への密粒子の沈下によって、湖底沈殿物の高レベルの汚染が生じた

 Pripyat川の水における溶解相と粒子層との間の放射性核種の配分の測定によって、浮遊粒子への吸収の強度が90Sr、137Cs、超ウラン元素(239, 240Pu, 241Am)の順に増加することが示された[3.100]。自然の有機コロイドが表面水中の、そして汚染土壌からの移送される際の、超ウラン元素の安定性を決定する。こうしたコロイドは、137Csと比べると、90Srに対して効果が小さい[3.101]。

 一般的に海洋システムでは、低い粒子吸収能と高い競合イオン濃度(すなわち高塩分濃度)によって、淡水中と比較した場合、放射性核種の粒子吸収があまり重要ではないものとなる。チェルノブイリ事故後のバルト海では、粒子に結合していた137Csは10%以下で、吸収された粒子の平均割合はおよび1%であった[3.102, 3.103]。黒海では137Csの粒子結合割合は3%以下であった[3.96]。

3.5.2.2. 河川中の放射能

 チェルノブイリ付近の河川(Pripyat, Teterev, IrpenおよびDrieper川)における当初の放射能濃度は主に河川表面への放射能の直接の沈降によるものであった。放射性核種の最高濃度はチェルノブイリのPripyat川で観測されたが、そこでは131I放射能濃度は4440Bq/Lまで達した(表3.7)。あらゆる水塊で、放射能レベルは、短寿命同位体の崩壊と核種の集水域土壌や河床堆積物への吸収によって、最初の数週間で急速に低下した

 フォールアウトが生じて以後より長い期間にかけては、集水域の土壌中に貯留された長寿命の90Srと137Csが、土壌粒子の浸食や土壌からの脱着によって河川の水にゆっくりと移行する。移行率は土壌浸食の程度、集水域土壌への放射性核種の結合強度、そして土柱への下降に左右される。チェルノブイリ近くのPripyat川の水における90Srおよび137Cs放射能濃度の時系列の一例を図3.45に示す。

 チェルノブイリ事故後、立ち入り禁止区域内および主要河川沿いに、放射能濃度とそのトータルの流量を割り出すために、水の監視所が設置された。こうした監視所での測定結果によって、90Srや137CsのCEZ内への流量やCEZから外への流量の推測が可能になった。137Csの移動は時間とともに目立って低下し、CEZの上流から下流に至るまで相対的に非常に小さな変化しか見られていない(図3.46(a)を見よ)。

 これと対照的に、90Srの境界を越えての移動は、Pripyat川堤防沿いの年間洪水量に依存して、年ごとに大きく変動した。CEZからの大きな流量も存在し--区域から下流への流量の方が、上流への流量よりも非常に大きかった。しかしながら、河川システムによる放射性核種のウォッシュアウトの量は、集水域地域に含まれる総量全体においては非常に小さいパーセンテージに過ぎないものであることに注意しておこう

 90Srおよび137Csの放射能濃度の低下は、チェルノブイリ近隣の様々な河川および西ヨーロッパの河川において、同じような速さで生じた[3.108]。様々なヨーロッパの河川での137Cs放射能測定結果は(図3.47)、降下物の差違が考慮されたとしても、およそ30倍の範囲を示している。小さな集水域では[3.67, 3.112, 3.113]、高い有機土壌(特に飽和した泥炭土壌)が、一部の鉱物土壌と比較して、最大1桁多くの放射性セシウムを方面水に放出する。したがって、集水域に広い湿潤な有機土壌の地域を持つフィンランドの河川は、集水域で鉱物土壌が多い河川よりも(放射能沈降の単位ごとに)高い放射能濃度を示している[3.109, 3.111]。




3.5.2.3. 湖および貯水池における放射能


 ベラルーシ、ロシア連邦およびウクライナの被害地域において、多数の湖が放射性核種によって著しく汚染された。多くの湖で放射性核種はフォールアウトが発生した後最初の数日から数週の間に湖水全般に混和された。しかしながら、チューリッヒ湖(平均水深143m)のような深い湖では、垂直方向の完全な混和が生じるのに数ヶ月かかった[3.114]。北ヨーロッパにおけるいくつかの地域では、湖は事故当時氷に覆われており、湖水中の最大放射能濃度は氷が融解した後に観測された。

 湖あるいは貯水池に沈降した放射性核種は、水の流出を通じてやや河床堆積物への移行によって除去された。河川においてと同様に、湖の放射性セシウム活量濃度は、フォールアウト後最初の数週から数ヶ月の間に相対的には急速に低下した。これにつづいて、放射性セシウムが集水域土壌や湖の堆積物により強く吸収され、そして土壌や堆積物中のより深い層に移動するにともなって、数年にわたるより遅い低下が生じた。図3.48は、ドイツの浅い湖であるVorses湖からの測定結果を用いた、137Cs放射能濃度の経時的な変化を示している。

 湖への流入は、汚染された集水土壌からの放射性核種の移行からも生じる。より長期間(第二相)でいうと、Vorsee湖の137Cs放射能濃度は、集水域の有機土壌からの137Csの流入や河床堆積物からの再移動のために、Vorsee湖の137Cs放射能濃度は他の多くの湖よりもかなり高いものにとどまった。Devoke湖(英国)では、有機集水土壌から流入する放射性セシウムによって、湖水中の放射能濃度が、鉱物集水域の近隣の湖とよりおよそ1桁高い値を維持した[3.112]。いくつかのケースでは、西ヨーロッパの有機的集水域をもつ湖における水および魚中の放射能濃度が、ベラルーシおよびウクライナのより高度に汚染された湖と近い値を示した

 長期的な汚染は河床堆積物からの放射性核種の再移動によっても生じうる[3.115]。水の大きな表面流入も流出も持たないいくつかの浅い湖では、河床堆積物が水中の放射性核種活量濃度を制御するのに主要な役割を果たした。こうした湖は「閉」湖と呼ばれてきた[3.105, 3.116]。チェルノブイリ被害地域においてさらに高度に汚染された水塊はCEZ内のPripyat氾濫原のいくつかの閉湖であった。1991年の間にこれらn湖における137Cs放射能濃度は最大74Bq/L(Glubokoye湖)であり、90Sr放射能濃度は、調査された17の水塊のうちの6つで100から370Bq/Lの間であった[3.105]。事故17年経過したが、CEZ内[3.117]でも原子炉から非常に離れた場所でも、閉湖においてはいまだに相対的に高い放射能濃度が見られる。例えば、1996年、ロシア連邦のBryansk地域にあるKozhanovskoe湖およびSvyatoe湖(チェルノブイリからおよそ200km)は、0.6-1.5Bq/Lの90Srおよび10-20Bq/Lの137Csを含んでいた(図3.49)。これら閉湖における堆積物からの再移動のせいで、水中の放射能濃度はチェルノブイリに近い多くの湖よりも高い[3.116]。137Csで11Bq/Lというロシアの介入レベルが比較のため示されている。

(a) チェルノブイリ冷却池

 チェルノブイリ冷却池はおよそ23km2の範囲を覆い、およそ149x106m3の水を含んでいる。この池は級チェルノブイリ原子力発電所とPripyat川の間に位置する。池中の放射性核種の総量は200TBq (訳80%が137Cs、10%が90Sr、10%が241Puで、238Pu、239Pu、240Puおよび241Amがそれぞれ0.5%以下)を超えており、深部の堆積物に放射能の大部分が含まれている。貯水池から地下水を通じてのPripyat川への90Srの年間の流入量は最近の研究で0.37TBq [3.120]と推定されている。これは近年のPripyat川への90Srの年間総流入量の、10-300倍小さいものである。したがって、冷却池はPripyat川の90Sr汚染の重大な源ではない。冷却池の水中の放射性核種活量濃度(図3.50)は現在低く、1-2Bq/Lである。137Cs濃度の季節性の変化は藻や植物性プランクトンの生物量によって生じる[3.121]。

(b) ドニエプルカスケードの貯水池

 貯水池のドニエプルカスケードは、大気からの降下物と汚染地域からの河川による流入とによって強く汚染された(図3.6を見よ)。137Csと90Srとの浮遊物質への親和性の差違が、ドニエプルシステムを通じたそれらの輸送を左右した。セシウム-137は粘土堆積物上に固定される傾向があり、それが、特にキエフ貯水池(図3.51)で、貯水池のより深い区域に沈降した。このプロセスのせいで、貯水池カスケードを通り抜けて137Csが流れることはほとんどなく、その結果黒海に流入する現在の濃度は背景レベルと区別できない。

 しかし、90Srの放射能濃度は放出源からの距離に応じて減少する(主に希釈によって)とはいえ、約40-60%がカスケードを通り抜け、黒海に届く。図3.52は事故以来のドニエプル貯水池における90Sr放射能濃度の年平均の動向を示している。137Csは貯水池システムの堆積物にトラップされているため、システムのより下流地域(Novaya Kakhovka)における放射能濃度は、キエフの貯水池(Vishgorod)におけるものより数桁低い。これと対照的に、90Srは堆積物よって強くは結合されず、河川-貯水池システムの下流における放射能濃度は、キエフの貯水池において測定された物と同じようなものである。

 ドニエプルカスケードの貯水池における90Sr放射能濃度の最大値(図3.52)は、CEZのもっとも汚染された氾濫原の洪水によって引き起こされた。例えば、1990-1991年の冬に川が凍りでせき止められたことで生じたPripyat川の洪水は、このシステムの90Srの重大な一時的増加を招いたが、137Csレベルには大きく影響しなかった。川水中の90Sr放射能濃度は8から10日間にわたって1から8Bq/Lに増加した[3.105]。同様の出来事が1994年冬の構図の間、1993年7月の夏の降雨の間、そして1999年の春の大きな洪水の間にに生じた[3.122]。

(c) 集水域土壌からの放射性各種流出

 少量の放射性核種が土壌から浸食され河川、湖、そして最後には海洋システムに移行した。こうした移行は表面土壌粒子の浸食や溶解状態での流出によって生じた。核実験やチェルノブイリの河川中90Srの調査[3.109、3.110、3.123、3.124]は、河川の陸上環境からは約1-2%/年あるいはそれ以下の長期的な喪失率を示唆している。したがって、長期的に見ると、放射性核種の流出は河川および湖系の(低レベルの)持続的汚染を招くものの、他方でその流出が陸上システムの放射能の量を有意に低下させることはない。

3.5.2.4. 淡水堆積物中の放射性核種

 河床堆積物は放射性核種の重要な長期的貯蔵庫である。放射性核種は湖中の浮遊粒子に付着しうるが、それがその後降下し河床堆積物に定着する。湖水中の放射性核種はまた河床堆積物まで拡散しうる。湖水からの放射性核種除去のこうしたプロセスは、湖あるいは貯水池の「セルフクリーニング」と呼ばれてきた。

 チェルノブイリ冷却池において事故のおよそ一ヶ月後にはほとんどの放射性核種が湖底堆積物中に見出された[3.91, 3.97]。長期的には、湖中の放射性セシウムのおよそ99%が、通常は湖底堆積物中に見出された。Svyatoe湖(ベラルーシのKostiukovichy地区)での1997年の測定では、3 x 109Bqの137Csが水中にあり、2.5 x 1011Bqが堆積物中にあった[3.125]。ロシア連邦のKozhanovskoe湖では、1993-1994年に、放射性セシウムのおよそ90%が湖底堆積物中に見出された。

 急速に蓄積したキエフの貯水池の堆積物においては、最大の放射性セシウム濃度の層は、今や堆積物表面の数十センチメートル下に埋まっている(図3.53)。しかしながら、よりゆっくり蓄積する堆積物においては、放射性セシウム放射能濃度のピークは堆積物表面近くにとどまっている。1988年と1993年の堆積物層の汚染のピークは、夏期の高度の降雨の夥しい流入と土壌浸食の結果を反映している。

 チェルノブイリ近くでは、沈降した放射性物質の高割合が燃料粒子の形であった(セクション3.1を見よ)。燃料粒子として沈降した放射性核種は一般的に、溶解形式で沈降したものより動きにくい。1993年にGlubokoye湖の堆積物中では、ほとんどの燃料粒子が堆積物の表面5cm以内に残っていた[3.126]。湖堆積物中での燃料粒子の崩壊は土壌中と比較して非常に遅かった。冷却池中の調査によれば、堆積物中の燃料粒子の半減期はおよそ30年であり、このため2056年(チェルノブイリ事故後70年)までに、冷却池に燃料粒子として沈降した放射性物質の1/4が、まだ燃料粒子の形で残ることになるだろう。




3.5.3. 淡水魚への放射性核種の取り込み


 淡水魚の消費は、放射性核種の人間への移行の水経路の重要部である。放射性核種の魚への移行は多くの国で研究されているが、ここでは注意の大部分はベラルーシ、ロシア連邦およびウクライナにフォーカスされる。これらの地域での水塊のより高度の汚染ゆえである。


3.5.3.1 淡水魚におけるヨウ素-131

魚類中の131Iに関しては限られたデータしかない。キエフ貯水池ではヨウ素-131は魚類に急速に吸収され、1986年5月はじめに魚類中の最高濃度が観測された[3.91]。魚の筋肉中の放射能濃度は1986年5月1日の6000Bq/kg性体重前後から、1986年6月20日の50Bq/kg生態十まで低下した。これは131Iの物理的崩壊の速度に近い低減率を表現している。速い物理的崩壊ゆえに、魚類中の131I放射能濃度は、事故数ヶ月後には重要なものでなくなった。



3.5.3.2 魚類および他の水生生物相中のセシウム-137


 チェルノブイリ事故に続く年月に、淡水魚中の放射性セシウム汚染のレベルに関する多くの研究がなされた。放射性セシウムの高い生物濃縮係数の結果として、いくつかの地域では、水中の放射性セシウムレベルが低いにも関わらず、魚類の汚染が続いた。小型魚への放射性セシウムの取り込みは相対的に急速で、最高濃度は事故後2~3週で観察された[3.93, 3.95]。大型の捕食性の魚(カワカマスやウナギ)における放射性セシウムの遅い取り込み速度に起因して、最高放射能濃度はフォールアウトイベントの6から12ヶ月後になって観察された[3.93, 3.127] (図3.48)。

 チェルノブイリ冷却池では、コイやヘダイ、パーチおよびパイクの137Cs放射能濃度が1986年には100 kBq/kg 生体重で、これが1990年に数十kBq/kgに [3.89, 3.91]、2001年には2-6 kBq/kg に低下した。チェルノブイリ原子力発電所近傍のいくつかの閉湖では[3.121]、事故15年後の捕食性の魚の137Cs放射能濃度は10-27 kBq/kg 生体重であった。事故後16年にわたる、2つの魚種での137Csの典型的な経時的変化が、図3.54に描かれる。

 キエフ貯水池では、魚類中の137Cs放射能濃度は0.6-1.6 kBq/kg 生体重 (1987年) および0.2-0.8 kBq/kg生体重 (1990-1995)であり、2002年に非捕食性の成魚で0.2kBq/kgあるいはそれ以下まで低下した。捕食性の魚種についての値は1987年に1-7kBq/kgであり、1990から1995年には0.2-1.2 kBq/kgであった[3.106]。

 チェルノブイリから約200km離れたロシア連邦のBryansk地域の湖では、多くの魚種中の137Cs放射能濃度は1990-1992年に0.2-19kBq/kg生体重の範囲で変化した [3.126, 3.150]。Kozhanovskoe湖(ロシア連邦のBryansk地区)やSvyatoe湖(ベラルーシのKostiukovichy地区)ような浅い閉湖では、魚類中の137Cs放射能濃度は、湖水中の137Cs放射能濃度の低下の遅さに起因して、河川や開湖系の魚に比べてゆっくりと下がった。

 西ヨーロッパででは、フィンランド、ノルウェーおよびスウェーデンの一部の湖が特に重度に汚染された。1987年にスウェーデンの約14,000の湖で魚類の137Cs放射能濃度が1500 Bq/kg 生体重(スウェーデンのガイドラインの値)を超えた[3.90]。ドイツのいくつかの高山湖では、カワカマスの137Cs放射能濃度がチェルノブイリ事故のすぐ後に5000 Bq/kg 生体重に達した[3.93]。英国湖水地方のDevoke湖は、1988年にパーチやブラウントラウトが1000 Bq/kg 生体重前後を含み、1993年の数百Bq/kgまでゆっくりと低下した [3.129]。

 魚類中の放射性セシウムの生物濃縮はいくつかの因子に左右される。セシウムとの化学的類似性ゆえに、湖あるいは河川中のカリウムの存在が魚類中の放射性セシウムの蓄積率に影響する[3.130]。核実験後[3.128, 3.130]とチェルノブイリ事故後[3.94]に、湖水中のカリウム濃度と魚類中の137Cs放射能濃度との間に強い逆比例関係が観察されている。長期的には、非捕食性の魚より捕食性の魚の放射能濃度が著しく高くなり、大型の魚は小型の魚より高い放射能濃度となる傾向がある。大型魚での高い放射能濃度は「サイズ効果」[3.127, 3.131]と呼ばれ、代謝および食事量の差違に起因するものである。加えて、より高齢で大型の魚は水中で若い小型の魚より高レベルの137Csに曝される。

 異なる魚種における放射性セシウムの生物濃縮の違いは、大きなものでありうる。例えば、ベラルーシのSvyatoe湖では、大型のパイクやパーチ(捕食性の魚)におけるレベルは、モロコのような非捕食性魚より5から10倍高かった。同様に、低カリウム濃度の湖での生物濃縮係数は、高カリウム濃度の湖におけるものより一桁高いものとなりうる。したがって、ベラルーシの農業地帯(そこではカリウム肥料からの流出が顕著であった)の湖で捕れた魚は、半自然地域の湖からn魚より低い生物濃縮係数を示した。

3.5.3.3. 淡水魚中のストロンチウム-90


ストロンチウムは、化学的および生物学的に、カルシウムと似た仕方で振る舞う。ストロンチウムは、低カルシウム(「軟」)水中で非常に強く生物濃縮される。相対的に低い90Srについての魚-水生物濃縮係数(102 L/kgのオーダー)と、この同位体の低い降下量は、魚類中の90Sr放射能濃度が通常は137Csのそれよりはるかに低いことを意味した。チェルノブイリ冷却池では、90Sr放射能濃度は1986年に2 kBq/kg (魚全体で)前後であり、他方で1993年に137Csは100kBq/kg前後であった[3.91]。2000年には、チェルノブイリ周辺のもっとも汚染された湖では、捕食性および非捕食性の魚の筋肉中の90Sr濃度は2から15 Bq/kg 生体重の間で変動した。2002から2003年に、ドニエプルカスケードの貯水池の魚における90Srは1-2 Bq/kgであり、チェルノブイリ前のレベルに近い。湛水中の軟体動物は魚類よりも顕著に高い90Srの生物濃縮を示すドニエプル川では、軟体動物はその組織中に魚類の筋肉よりもおよそ10倍多い90Srを含む[3.132]。同様に、90Srの魚の骨および皮膚への生物濃縮は、筋肉中と比較して、およそ10の係数で高い[3.130]。


3.5.4. 海洋生態系中の放射能


 原子炉にもっとも近い海が黒海(520km前後)およびバルト海(750km前後)であったため、海洋生態系はチェルノブイリからのフォールアウトによって重大な被害を受けなかった。こうした海の汚染の主な経路は大気からの降下で、事故後の何年にもわたって河川の輸送からより少ない流入も見られた。137Csの表面沈降量は黒海全体で2.8 PBq [3.96, 3.133]、バルト海全体で3.0 PBq [3.105]であった。


3.5.4.1. 海中の放射性核種の分布


 黒海表面への放射能降下は一様ではなく、主に1986年5月1から3日の間に発生した[3.105, 3.133]。黒海では表面水の137Cs濃度は、1986年の5~6月に15-500Bq/m3の間を変動した。1989年には、表面水の水平の混和によって、41-78 Bq/m3[3.105]という相対的に一様な濃度となり、これが2000年までに20から35 Bq/m3の間まで低下した[3.96]。

 セシウム同位体に加え、144Ceや106Ruといった短寿命放射性核種も観察された。チェルノブイリ沈降ぶつによる黒海の水中の137Csの総量は、大気中の核兵器実験からのグローバル・フォールアウトに由来する137Csの既存の総量を、およそ3100 TBqまで増加させた。チェルノブイリ以前の時期と比較して、90Srの量は19%増加し、約1760 TBqであると推定された [3.96, 3.105]。表面に沈降した放射能の垂直の混和もまた、フォールアウト後数ヶ月から数年にわたって水中で観測される最大濃度を低下させた。より深い水向けての放射能の除去は着実に黒海の表面(0-50m)層における137Cs放射能濃度を低下させた。黒海の海洋環境に関する現在の状況を、表3.8 [3.96] に示す。

 黒海の137Cs、90Srおよび239,240Puのかなりの割合がチェルノブイリ事故由来ではなく核兵器実験由来である。黒海への河川からの放射性核種流入は海水表面への大気からの直接の降下と比較すると重要性がかなり低かった。1986-2000年の期間に、137Csの河川からの流入は大気からの沈降の4-5%に過ぎなかった。とはいえ、90Srの河川からの流量はより重大で、大気沈降からの総入量のおよそ25%であった[3.96, 3.124]。バルト海についても、河川からの流入量は黒海と同様のレベルであり、137Csと90Srについて、大気降下のそれぞれおよそ4%、35%であった[3.135]。90Srの相対的により大きな河川流入は、集水域土壌および湖や河川堆積物へのその吸収が弱いことや、チェルノブイリ原子炉敷地から遠く離れた場所での(137Csと比較した場合に)90Srの大気からの降下量がより低いことに起因する。海洋環境での沈殿は、湛水環境においてと同様、水生態系の「自己純化」における重要なファクターである。しかしながら、黒海については沈殿率は相対的に低い[3.96]。

 図3.55に定時されたデータは、黒海の中央の深い海盆において、チェルノブイリの沈降物が、事故以来形成された1cm以下の層によってのみ覆われていることを示している。

 希釈と沈殿によって、137Cs濃度は速やかに下がり、1987年末の海水汚染を1986年夏に観察されたものより2から4倍低いものとした。参考文献[3.136]で推定された沈降以後当初の期間のバルト海での137Csの平均放射能濃度は約50 Bq/m3であり、海の一部の地域では2から4倍高い最大値が観察された。




3.5.4.2. 海生命相への放射性核種の移行


 海洋システムにおける放射性セシウムと放射性ストロンチウムの生物濃縮は、塩水中に競合イオンがはるかに多く含まれていたために、淡水におけるものより低かった。海洋システム中の137Csや90Srの低い生物濃縮、およびこれらのシステム中での高い希釈は、チェルノブイリ事故後の海洋生命相における放射能濃度が相対的に低いことを意味していた。表3.8は1998年から2001年の期間の、黒海の水および海洋生命相における137Cs, 90Srおよび239,241Puの例を示す。チェルノブイリ事故後の20年の間のバルト海の魚類の汚染に関する詳細なデータは参考文献[3.136]で入手できるが、それによれば多くの魚種において放射性セシウム汚染が相対的に低レベルで、ほとんどのケースで1995年に至るまでの期間、30-100 Bq/kgかあるいはそれ以下であった。


3.5.5. 地下水中の放射性核種


3.5.5.1. 地下水中の放射性核種。チェルノブイリ立入禁止区域

 被害地域の地下水のサンプル調査によって、放射性核種が表層土壌から地下水に移送されうることがわかった。しかしながら、ほとんどの地域(放射性廃棄物貯蔵所の区域とチェルノブイリシェルター工場地域を除いて)で地下水汚染のレベルは低い。さらに、土壌表面から地下水への移動率もまた非常に低い。CEZ内のいくつかの地域では、地形的に陥凹した場所で、相対的に速い放射性核種の帯水層への移行が見られ[3.137]。地下水の遅い流速と放射性核種の高い減速率のせいで、地下水中での放射性核種の水平方向への流動性もまた非常に低かった[3.138]。

 地下水の滞留時間が短寿命核種の物理的崩壊時間よりもはるかに長いため、短寿命放射性核種は地下水源に影響することはないと予測された。放射性核種の地下水への唯一の大きな移行は、CEZ内部で発生した。過去10年にいくつかの井戸で、137Cs放射能濃度は低下したが、90Srの濃度は浅部の地下水において上昇し続けた(図3.56)。放射性核種の地下水への以降はCEZ内の放射性廃棄物の処分所で発生した。事故後、FCMや放射性の瓦礫が一時的に発電所敷地およびPripyat川の氾濫原近くの地域に貯蔵された。これに加え、赤森からの木々が漏水処理なしの浅い溝に埋められた。これらの廃棄物処理用地において、地下水中の90Sr放射能濃度は、いくつかのケースで、1000 Bq/Lのオーダーである[3.140]。仮にこの地域に戻ったとして住民が地下水消費から受ける健康上のリスクは、しかしながら、外部被曝および食品摂取からの放射線線量と比較すると低い[3.138]。

 処分用地から放射性核種が敷地外に移送される可能性はあるものの、Bugaiら[3.138]は表面の沈降方謝意核種のウォッシュアウトと比較するとこれは重要な物にならないと結論づけた。研究によれば放射性核種の地下水の流れはPripyat川の方向を向いているが、放射性核種の移動率は非常に低く、ドニエプル貯水システムへの重大なリスクを提起してはいない。シェルター周囲の地下水汚染の敷地外への輸送も重要でない物と予測されている。シェルター内での放射能は地下水から5-6mの熱さの不飽和ゾーンで隔離されており、そして地下水の流速が非常に低いためである[3.138]。廃棄物処理用地から表面水塊への90Srの地表下における最大の輸送率は、事故後33から145年後に生じるだろう。上述の全ての源からの累積移送の最大値はおよそ100年に渡って130GBqと予測されており、汚染された集水域内の総量の0.02%/年である。300年の期間での放射性核種輸送の合計はBugaiら[3.138]によって15TBq、あるいは集水域内の放射性物質の当初の総量の3%と推定されている。

 チェルノブイリ冷却池の水位は、チェルノブイリ敷地周辺の地下水の流れを大きく左右する。現在、冷却池の水位は人為的に高く、Pripyat川における平均水位の6-7m上に保たれている。しかしながらこれは、チェルノブイリ原子力発電所の冷却システムが最終的に停止され、池への水のくみ上げが集結した時に変化する。池が乾くにつれ、堆積物は部分的に露出し散布される。最近の研究は、冷却池の修復のために最善の戦略は、ファイトレメディエーション技術を用いて二次的な風による再浮遊を防止するための限定された行動をとりつつ、水位が自然に低下するのを許すというものである[3.141]。

 冷却池の水位が川の水位レベルまで低下する時、それによってチェルノブイリ発電所敷地から川への地下水の流れの減少が生じる。これはまた、主要放射性廃棄物処理用地やシェルターからドニエプルカスケードへの放射性核種の流入を低減するだろう。チェルノブイリシェルターからPripyat川への90Srの地下水による流入は、シェルターの上に建設されるNSCについての環境影響アセスメントの枠組みにおいてモデル化された[3.142] (図3.58を見よ)。90SrがPripyat川に到達するまでにおよそ800年かかると予測されている。29.1年の半減期を考慮すると、この時間の間に90Srの活量は取るに足らないレベルまで低下するだろう。したがってシェルターからの90Srの浸透はPripyat川に有害な影響を引き起こさないだろう。セシウム-137は90Srよりはるかにゆっくり移動し、2000年後ですらそのプリュームはシェルターからたった200mのところにあると予測されている

 土壌マトリクスへの高い吸収のせいで、239Puは90Srあるいは137Csよりはるかに遅い速度で移動する。しかしながら、その半減期ははるかに長い(24,000年)。シェルターからPripyat川への地下水からの239Pu流入の最大量は2Bq/sになると予測されている。この流入が400 m3/sというPripyat川の平均排水量と混ざった場合、結果する河川中の239Pu濃度はたった0.005 Bq/m3となるだろうが、現在の239Puレベルは0.25Bq/m3である[3.142]。ウクライナでは、水中の239Puの規制限度は1 Bq/m3である。したがって、シェルターからの239Puの浸透は、NSCなしであってさえ、Pripyat川にいかなる有意味な影響も生じさせないであろう。


3.5.5.2. 地下水中の放射性核種。チェルノブイリ立入禁止区域の外

 (CEZを範囲をこえた)遠距離地域での地下水汚染についてのもっとも詳細な現在の研究[3.137, 3.143]は、当初の地表汚染から10年後、帯水層上端の地下水における137Csおよび90Srのレベルは、キエフ周辺で40-50 mBq/L、ロシア連邦のBryansk地域やベラルーシの汚染地域の大部分で20-50 Bq/Lであった。チェルノブイリ原子炉から遠く離れた(ベラルーシおよびロシア連邦の)これらの地域では、土壌の飽和帯における137Cs放射能濃度は、137Csの土壌沈降量と強く相関していた。研究された地域のほとんどで、地下水中の放射能濃度(137Csの土壌沈降量単位あたり)は多くの河川や湖システムにおいてよりもかなり低かった。全ての研究が、CEZ外の汚染地域における放射性核種濃度が水摂取の安全レベルを超えることはなかった、そして通常安全レベルより数桁下であったと報告している。

 核兵器事件からのフォールアウト後、デンマークの地下水中の90Srが表層の小川より10倍低いことが報告されている[3.144]。参考文献[3.144]も、チェルノブイリの事故後、小川には137Csの測定可能な量が存在したものの、地下水中の放射能濃度は検出限界を下回っていたことを明らかにしている。

3.5.5.3. 灌漑水


 ドニエプル川流域は、1.8 x 106ha以上の灌漑された農地が存在する。この地域のほぼ72%がKakhovka貯水池や他のドニエプル貯水池からの水で灌漑されている。灌漑によって導き入れられた放射性核種の根による取り込みを通じて、そしてスプリンクラーによる葉を通じた放射性核種の直接の体内取り込みによって、灌漑された田畑での植物における放射性核種の蓄積が生じうる。しかしながら、南ウクライナの灌漑された土地の場合、灌漑水中の放射性核種は、最初に大気からのフォールアウトで進行したものや、それに続いて土壌からその場所で取り込まれた物と比較した場合、作物に有意味な放射能を負荷しなかった[3.145]。

3.5.6. 将来の傾向


3.5.6.1. 淡水生態系

 ドニエプルシステムの河川や貯水池については、放射性核種の流出強度は徐々に低下する。最悪のケースシナリオでも、今後50年間の水文学的流出[3.146]は137CSおよび90Srの、事故前レベルに近づくような平均濃度を招くだろう。ドニエプル川中下流の水および主要消費魚類の汚染レベルは背景レベルに近づく(図3.59)。同時に、汚染地域の孤立した(閉じた)水塊では、水中および水生生命相中の137Cs含量が増加し、数十年間維持されるだろう

 最近のデータ[3.95, 3.147]によれば、現在、表面水および魚類における137Cs放射能濃度は非常にゆっくりと低下している。水および若い魚中の実効生態学的半減期は、事故後最初の5年間における1から4年から、最近の6から30年まで増加した。低減率には広い偏差があるものの、20年の実効生態学的半減期(Teff)を用いた水中及び魚類中の放射性セシウム濃度の長期的な低下の推計を用いて、将来の汚染レベルを推定することができる[3.125]。

水中の放射性セシウム活量濃度は、CEZや他の高度汚染地域の浅い閉湖を除くと、現在、相対的に低い (高々1 Bq/L)。放射能濃度は、来る数十年間ゆっくりと低下し続けると予測されている。いくつかの湖では、しかしながら、水中および魚類中の137Cs放射能濃度が、表3.9および3.10に描かれているように、数十年間相対的に高いままであることが予測されている。水中の90Sr放射能濃度もまた、20年の予測Teffを用いて推定された。この値もまた、少し保守的であるかもしれない。というのも兵器実験由来の90Srの長期的な低下率は、約10年のTeffであったためだ[3.148]。137Csと同様に、水中の90Sr放射能濃度は現在の低いレベルから来たる数十年間に低下すると予測されている(表3.11)。

 湖の堆積物においては、土壌においてよりも、燃料粒子の崩壊が非常に低い速さで生じる[3.149]。冷却池中の堆積物における燃料粒子の半減期はおよそ30年[3.39]で、したがって年流粒子中の放射性核種は長期間、その原型のままとどまることになる。

3.5.6.2. 海洋生態系

 現在、海洋システム中の放射性核種(主に放射性セシウム)は、淡水系で観察されるものよりも非常に低い濃度である。黒海における海水中および海洋生命相中の放射能濃度は、低下し続けると予測されている(表3.8を見よ)。これは主に物理的崩壊によるものであるが、海底堆積物への持続的な移行と一層の希釈ともまた、低下に貢献するだろう

ブログ一覧 | チェルノブイリ2 | 日記
Posted at 2012/03/29 01:12:04

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