■コメントそれなりに言葉を尽くして書いてみました。
もちろん未熟な部分はあると思います。
ご協力ありがとうございました。
いいねをつけてくださる方も伺わなくてはと思いつつ、
気がつけば引きこもりがちになるので、
ちょこっと申し訳ないなあと思ってもいます。
2013年05月14日
【合金達】アロイ、モネル、ハステロイ、インコネル!!【ステンレスの仲間】
の続きですけど、
原発のお話の前に
もう一度ステンレスの進化とそのデータを見ることで、
何故どういう意図でステンレスの進化が進んだのかと言うのに触れてみたいと思います。
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■
羽田空港や
■
しらせに使われて、
■ついに
錆びないに近づきつつある、ステンレス、
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■
ステンレスには孔食と言うコーティングが破れた所だけ
錆が次々と進んでいくという弱点があって
この弱点が一つのステンレスの性能の目安です。
PREという孔食に対する一つの数値があります
普通のステンレスがSUS304…18
かなりいステンレスがSUS316L…24
そして、約10年前から急速に普及した329J4L…38
更に羽田で採用された312・・・43
■その進歩の速さはもはや『驚愕の域』です。

(世界との差がようやく埋まってきた!!!)
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■もう一つ温度の問題があります。
孔食が起きる温度も、急速に性能が上がっています。
これらはハステロイ(現アロイ)を含むパテント権を取って、
地道に冶金の技術を向上してきたからでもあります
その中で
日本製のステンレスが、どんどんとその性能を上げ
その性能が『ウナギ登り』なのは、いわゆる「基礎工学」と言われる
材料系の研究がちゃんと見直されつつあるからとも言えます。
まずは、
ライセンス生産でも作るというのは
物凄い意義があって、
それがモノにできるのには長い時間がかかる
そしてそれを加工する人達の技術を守るのも大事
と言う事は、大いに主張したいなと思ったりもします。
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■もちろん
304も316も
ほぼ万全の耐食性が一般の条件ではあります。
圧力容器「程度」では錆などまずほとんど発生しません。
(今回はあまり関係ないですし。)
ですがSUSは、溶接が悪いと、錆びが発生するというのは
今までも説明してきた通りです。
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■もう一つ隙間腐食と言うのもあります。
隙間があると錆びるんです。ぴかぴかのステンレスは錆びませんが、
溝があるステンレスはすぐさびます、
平滑な方が皮膜が強くなるから、と言う訳なんです。
(この辺りはチタンにも共通してチタンの隙間腐食は
もはや不治の病でもあります)
そちらの数字も随分と上がっています。
これらは温度が高くなるほど起きやすくなるんですよね。
元々孔食とも相関がありますので、
孔食性能が高い≒より良い合金と言う訳です。
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■もちろん、その
性能は未だにアロイに及びません。
2013年05月14日
【合金達】アロイ、モネル、ハステロイ、インコネル!!【ステンレスの仲間】 でもご紹介した通り
アロイやモネルやインコネルは未だに聖域とも言える安定性があり
長年使われてきた実績故に、
未だにスーパーステンレスの追随を許しません。
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■とはいってもそれは公害対策機器や、過酷な条件である発電
(すなわち原発も含む)の根幹部であって
お醤油や、お味噌、みりん等の調味料や地酒
そういう所には衛生環境や『電解研磨』の発達なども相まって、
スーパーステンレスの需要が増えてきました。
錆び無くて丈夫、かつ衛生的、日本の冶金の世界が材料工学が
進歩しつつあるのはとてもいい事だと思います。
問題は加工と溶接をする人が急速にいなくなっている事なのですが…
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■とは言え、最近のスーパーステンレスは
溶接誤差による応力腐食割れにも徐々に強くなってきていて
もしも
「技術が保てるなら」発電所に欠かせない
復水器=凝縮機=コンデンスの性能は大幅に向上するでしょう。
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■今回のエントリーで言いたいのは
1)急速に日本の材料工学は進歩している
=スパイを防ぎ、金属業界を支援する必要がある。
2)スーパーステンレスが基調で高価だった
アロイ系に迫る性能向上を示している。
3)溶接関係の技術低下は否めない、
その為材料関係の見直しと
既設設備における検査の充実が切望される。
4)民生分野を中心に、チタンでこれまで解消できなかった
溶接の難しさ、孔食、隙間腐食への対応が見直され
スーパーステンレスを中心にステンレスの復権が始まっている。
如何でしたか?
もちろん数字通りの性能が出るのかどうかは
今後も長い時間をかけての「検証」が必要です。
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■でも、しらせや、羽田空港に用いられた
電気防食の応用を通じて、適材適所、錆びない
或いは溶接への耐性が高まるというのは、いい事だと思いますし、
リサイクルが容易な金属の復権を何となくご理解頂ければと思います。
その辺りの『最適な』防錆とは一体何なのか?
塗装による溶剤や、化学物質の問題もありますし
もちろん適度な塗装と、防錆システムの兼用する事によって
材料の見直しで、職人さんの不足を補おうという試みが始まっています。
逆を言えば職人さんの減少に応じて、材料を改善し
職人さんが不足したり、あぶれたりしないよう
国がインフラ復興のスピードを調整し
技術向上にもお金をかける、こういう事が必要です。
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■そういった意味では、「アベノミクス」については
(今のところ)高く評価しています。
調子に乗って投資し過ぎないといいのですが^^;
今のままブラフ型、「アベノミクス」であれば
意外と失敗せずに済むのかもしれません。
だから安倍さんには期待しない様にしています。
毎日景気いい事言ってカツカレー食ってるのが一番いいんですから(笑)。
最近微妙に怪しいんだけど
まだ調子に乗らないでほしいなあ…
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■ただ、
裏返せばそんな都合のいい話が一朝一夕に
起きる訳もなく、腕のいい職人さんも、そして加工技術を持った会社も
くしの歯の欠ける様に減っていっています。
技術が進歩した=進歩する前の技術が今の主力じゃないのか?
という深刻な問題もあります。
誠意を持って、一定速でリプレイス(置換え、更新)をする。
その為の
努力やテストが、
肝心のユーザーやその上の監督機関に
理解を含め不足しているから、
コスト努力丸投げで責任含めて製造側に押し付けるから
実際の現場の方から不信と不満を持たれている、
そこをちゃんと理解しないと、
いい仕事はできないんじゃないのかな?
と思う今日この頃です。
そしてその原因を招いたのも、
自民党政権の迷走だった、と言うのは一部事実で、
調子のいい今こそ見直して欲しいなと思います。
かつてそっぽを向いた、
技術者たちをもっと振り向かせる為に。
(期待は全くしてないけどね^^;)
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Posted at
2013/05/16 00:41:17