■
中部電力は日立と組んで、原発の改善と特許取得に取り組んでいました。
■これらを読むと背景に非常に重要な表記が出てきます。
中部電力の労働者への配慮が伺えます。
■幾つかの行動も分かります。
■例えば・・・窒素パージは爆発防止+腐食防止のため とか
海水循環は、配管のコンタミ付着と汚染を促進してしまう とか
■重要部分を引用し、紹介するエントリーです。
本発明は、沸騰水型原子力発電プラント(BWR)において余熱除去系統(残留熱除去系統)の線量率上昇の抑制に好適な余熱除去系統配管の保管方法に係り、BWR運転中で余熱除去系統停止中に配管表面での
鉄腐食生成物の発生を抑制することにより、BWR停止中で余熱除去系統運転時の余熱除去系統配管への炉水中に含まれる放射性核種の付着を抑制する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
BWRでは、燃料で発生した熱を原子炉圧力容器内の冷却水に効率的に移して蒸気にするために、再循環ポンプやインターナルポンプを用いて、冷却水を強制循環させる。原子炉内で発生した蒸気は、炉心上部に設けられたセパレータおよびドライヤで湿分を除去した後、タービンに送られる。一部の蒸気は、タービン抽気として取り出され、高圧ヒータおよび低圧ヒータの熱源として利用され、他の大部分の蒸気は、発電に利用された後、復水器で凝縮されて水に戻る。
【0003】
復水は、復水器内でほぼ完全に脱気され、
炉心での水の放射線分解により発生した酸素および水素もほぼ完全に除去される。復水は、給水として原子炉に再供給される。
【0004】
その際、原子炉での放射性腐食生成物の発生を抑制するために、復水中の主として金属不純物を除去する目的で、
復水全量を脱塩処理装置などのイオン交換樹脂濾過装置で濾過し、次に、多段の低圧ヒータおよび高圧ヒータで200℃近くまで加熱する。
【0005】
一方、腐食生成物は、圧力容器内や再循環系などの接水部からも発生し、炉内を循環する放射性腐食生成物の源となるので、これらの主要な一次系構造材には、原則として、腐食の少ないステンレス鋼,ステライト鋼などの不銹鋼が使用されている。
【0006】
低合金鋼製の原子炉圧力容器には、ステンレス鋼の内面肉盛りがなされ、低合金鋼が直接炉水と接触することを防いでいる。このような材料上の配慮に加えて、炉水の一部を炉水浄化装置により浄化し、炉水中に僅かに生成する金属不純物を積極的に除去している。
【0007】
しかし、このような材料および水質管理による腐食抑制対策にもかかわらず、炉水中に極僅かな金属不純物が存在することは避けられず、
一部の金属不純物は、金属酸化物として燃料棒の沸騰表面に付着する。【0008】
燃料棒表面に付着した金属元素は、
燃料から放射される中性子の照射を受けて原子核反応を起こし、コバルト60,コバルト58,クロム51,マンガン54などの放射性核種を生成する。これらの放射性核種は、大部分が酸化物の形態で、燃料棒表面に付着したままである。
■大事な事1
※炉心では、酸素と水素の発生(放射線分解)は、
燃料棒が溶けなくても生じている。
※高温下での酸化物は放射性核種とな利配管に付着しやすい
※圧力容器は肉盛に過ぎない、SUS層が腐食すると、合金層は急速に腐食すると思われる。
※その為に、十二分に不純物を取り込んでいるが、それでもスケールは取りきれない。
→圧力容器は、損傷箇所を中心に腐食が進んでいる。
→配管についた核種は、汚染を引き起こす主な要因だ。
*************************
■引用部2
0010】
除去できなかった放射性物質は、炉水とともに再循環系などを循環している間に、構造材接水部表面に蓄積していく。
その結果、構造材表面から放射線が放射され、定期点検作業時の従事者に放射線被曝が生じる。作業被曝の線量は、各人ごとに規定値を超えないように管理されている。
【0011】
近年この規定値が引き下げられ、経済的に可能な限り各人の被曝線量を低くする必要が生じてきている。そこで
配管への放射性核種付着を低減する種々の方法や、配管への放射性核種付着の駆動力となる炉水放射性核種濃度を低減する種々の方法が検討されている。
【0014】
しかし、これらの技術では、原子炉停止操作中に炉水が通水される余熱除去系統については、考慮されておらず、
炉水中の放射性核種の付着抑制対策は、余熱除去系統には、及んでいなかった。
【0015】
したがって、原子炉停止時の余熱除去系統運用によって、余熱除去系統が放射性核種を含む炉水に接触することで放射性核種の余熱除去系統への付着が起こり、定期点検作業時の被曝源となる。
【0016】
特に、再循環系のない改良型沸騰水型軽水炉では、定期点検作業時の被曝に与える寄与が大きくなる。また、余熱除去系統は、炭素鋼配管で構成されているので、除染によって過去に付着した放射性核種を含む酸化物を除去しても、原子炉運転中の余熱除去系統の保管時に配管表面に生成する腐食生成物が、余熱除去系統運用時の炉水中放射性核種の再付着を促進させてしまい、除染の効果を維持できない。
■大事な事2
→配管の内側には放射性元素がびっしり。作業員を痛めつける。
→余熱除去系統はただでさえ条件が悪い。
*****************************
■引用部3
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、余熱除去系統を構成する炭素鋼配管の原子炉通常運転時保管中における腐食生成物の生成量を抑制できる水質の水を余熱除去系統に導入できる手段を備えた沸騰水型原子力発電プラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上記目的を達成するために、
a.
溶存酸素濃度,導電率を低くした水を準備する
b.既にBWRの他の系統で使用している溶存酸素濃度,導電率の低い水を流用する
c.サプレッションプールの水を浄化したものを使用する
など、炭素鋼の
腐食を抑制できる水質の水を原子炉運転中に余熱除去系統に導入するために、その水質の水を貯めておくタンク,バルブ,ポンプからなる系統を余熱除去系統に接続する。
【0022】
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、保管水の脱酸素処理装置,保管水の脱塩処理装置,保管水を配水するバルブ,ポンプを備え、原子炉運転中に余熱除去系統を満水保管する際に、脱酸素処理および脱塩処理の少なくとも一方の処理を施した水を余熱除去系統に保管水として導入する沸騰水型原子力発電プラントを提案する。
【0023】
本発明は、また、循環水の脱酸素処理装置,循環水の脱塩処理装置,循環水を配水するバルブを備え、原子炉運転中に余熱除去系統のサーベイランス運転をする時に、
循環水として脱酸素処理および脱塩処理の少なくとも一方を施した水を余熱除去系統に導入する沸騰水型原子力発電プラントを提案する。
【0024】
本発明は、さらに、サプレッションプール水を窒素または不活性気体でバブリングする脱酸素処理装置を備えた沸騰水型原子力発電プラントを提案する。
【0025】
本発明は、上記目的を達成するために、サプレッションプール水を
脱塩処理する脱塩処理装置を備えた沸騰水型原子力発電プラントを提案する。
大事な事
■余熱除去系統は脱塩がなされておらず、汚染、腐食が正常時でも進んでいる
■溶存酸素、導電率、塩化物イオンは腐食、付着の大敵(今回やむを得ず海水使用)
************************************
■引用部4
0031】
150℃以下の温度では、気化熱による冷却効率が低下するので、炉水再循環系から分岐する余熱除去系統によって炉水を冷却する。冷却された炉水は、原子炉再循環系を経由するかまたは直接原子炉に戻る。
100℃以下の温度では、気化熱による冷却ができなくなるので、余熱除去系統での冷却が主体となる。
【0032】
余熱除去系統は、予備系統を持つ必要から、2系統以上を有する。したがって、プラントの停止操作は、停止ごとに交互に運転される。さらに、余熱除去系統熱交換器に通水する流量とこの熱交換器のバイパスライン流量とを制御し、原子炉水を冷却する速度を調整する。再循環系配管および炉水浄化系配管では、腐食による酸化皮膜の成長に伴って原子炉水中の放射性イオンが酸化皮膜中に取り込まれ、放射性核種の蓄積が生じる。
大事な事
■余熱除去系統が復活しないとどうしようもない。
問題はどうやって復活させるのかまるでメドが立たないことだ。
******************************
■引用部5
【0045】
どちらも低い方が腐食速度は、小さくなっていることが分かる。したがって、余熱除去系統配管表面で生じる
水酸化鉄の発生を抑制するには、溶存酸素濃度,導電率の低い水で余熱除去系統を保管するという方法が考えられる。
■大事な事
■純水に切り替えはしたが、腐食に悪い条件が続くので、長期的には腐食によるスケールや、水漏れ等が頻発する恐れがある。
**********************************