最近は、ミニヴァンばかりで「威厳」とか、可笑しな「高級感」をウリにするCMが多いが、以前は雰囲気を大事にするCMが実に多かったような気がする。
そんな中でも、ピアノとクルマのCMは実に印象深いモノがあったような気がする。
僕が印象に残っている ピアノ との共演したクルマのCMと言えば、この2本だろう。
一つは、どうしてこうもカッコ悪くなったんだ・・・と旧来からの日産のファンさえもため息を付かせた、S14のシルヴィアのモノだ。
途中から、このCMになったのだが、実に印象的だった。
まさにピアノの調べに合わせて、シルヴィアがワインティングを舞う様子は良かったが・・・
曲は 「マイケル・ナイマン」 の 「楽しみを希う心」 だ。
映画 「ピアノレッスン」 のテーマ曲なんだが、実に悲しげなメロディながら、流れるような旋律に、思わず目を閉じて聞き入ってしまう名曲だ。
とても重いテーマの映画だったが、そこに使われたピアノの旋律は甘美で、映画は観るだけではなく聴くものもあるんだと再認識させる。
そして、僕の年代で、このCMのことを知らない連中はいないだろうと言わしめた
早春スケッチブックでの演技に僕は打ちのめされてしまい、それ以来のファンである山崎努の存在感が、このCMをさらに孤高のモノとした。
僕は大のトヨタ嫌いなんだが、そんな中でもいくつか気になるクルマがあるのだが、そのうちの一台である、初代のクレスタのCMだ。
クレスタの存在感もそうなんだが、なんといっても立っているだけでも絵になる雰囲気の山崎努に、このジョージ・ウインストン 「Longing/Love」(あこがれ/愛)」もメロディが一度見ただけでも忘れさせない印象を与える。
ジョージ・ウインストン 「Longing/Love」(邦題では「あこがれ/愛」)が一気に有名になるきっかけとなったCMだ。
性能や勢いを画面で表現するCMも、クルマのCMの醍醐味なんだが、そのクルマが持つ雰囲気をピアノの旋律に表して観る者の気持ちをつかむ。
そんな心情に響く、叙事詩的なCMって現代ではできないモノなのだろうか。
一見、FRで元気印のシルヴィアなんだが、本来のスペシャルティカーとしての流麗さと、FRならではの流れるような操縦性のイメージを、水が流れるようなピアノのメロディラインで表現したCMと、一方、クルマの動きを封印して、存在感を、名優、山崎努の姿とラップさせて、落ち着いた雰囲気をピアノのメロディと重ねる。
考えてみれば、ピアノと言う楽器がなければ成立しないCMだったと、いま改めて感じるものだ。
クルマが良い時代だったから、あり得たCMだったのかもしれない。
Posted at 2015/09/13 10:24:39 | |
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