僕の世代にとって最近の大きなタイアのトピックは、何と言っても 「ADVAN HF-D」 の復刻だろう。
ADVAN が先行して、それを追うように POTENZA RE47 が出て、汎用性が高く、グリップよりコントロール性重視の RE86 が出て、多くのメーカーの標準タイアとして採用されていたが、そんなBSの春を打ち砕いたのが、TYPE-Dの登場だった。
これに対抗するPOTENZA は RE61 だったが、この非対称パターンの衝撃には敵わなかった。
ADVAN VS POTENZA の闘いはデヴューから現代まで延々と続いている。
それまでのタイヤは、ラヂアル構造であれば・・というモノが多かったが BS の 310TURBO 辺りからブランド名を冠した製品が出てくるようになった。
この後に 330EAGER 331 340 とヴァリエーションが増えていった。
実はこの分野でも昔は海外のメーカーが抜きん出ており、その中でも DUNLOPAQUAJETは凄い製品だった。 (このタイアも数年前から復刻されて、ヴィンテージ・ブリティシュスポーツの定番タイアとして現代も売られている。
1968年登場の SP SPORTS がベースだが、当時の DANLOP の技術の粋を集めて AQAJET は作られた。
とにかくすごいのはパターンの工夫と、水の吐き出し口を工夫して、それこそ 砂抜き中のアサリの様に路面の水を吐き出すことだった。
さすがに、当時この広告を見た国産タイアのメーカーの連中は技術力の差に驚愕した。
ところがだ、年月を経て、同じ DANLOP でも日本の DANLOP から数年前に出たタイアを見た瞬間、オマージュとかリスペクトではなく パクリ じゃんというタイアが出て来た。
DIREZZA ZⅡ β02 が出た時は、さすがに TYPE D のマネでしょうとしか言い様がなかった。
まぁ元々タイアの世界も解析してパターンを設計してゆくと、どこも似たようなパターンのモノが出てくるが、これはちょっとと思ったものだ。
ADVAN HF TYPE D も、DANLOP AQAJET も、時代を象徴するタイアとして、現代によみがったのだが、クルマのレストアの観点から復活したタイアも出て来た。
それが BS のSF325 だ。
BSがリリースに際して公表したプレス資料の中の一文が実に興味深い。
初代ロードスターは、1989年の発売以来、今もなお多くのファンに愛され続けているクルマです。当社は、マツダ株式会社の「ブランド・アイコンであるロードスターを、いつまでも乗り続けてほしい」、「古いクルマを愛でるようなクルマ文化を育みたい」という想いに共感し、同車に新車装着されていたタイヤ「SF325」をレストア向けに復刻しました。往年のロードスターファンの期待に応えるため、外観を再現しただけでなく、乗り味にもこだわったタイヤとなっています。
クルマ文化という言葉を、堂々と謳いあげる姿勢がようやく日本にも出て来たことに大いに共感を覚えるし、それが、もっと歴史のある 日産 や トヨタ ではなく マツダ から出て来たことに、今の新車を売る姿勢と何やらかぶるものある。
日本のメーカーなのに海外で売るクルマばかり心配する日産なんて、こんな活動は微塵もできないだろう。
確かに毎年のお祭りの為に一車種ずつ、名車復活なんてやっているが、マツダは、それを地元の高校生を巻き込んで、時間を掛けて、若い人にクルマと触れ合う時間を造ろうとやっている。
たしかに、手弁当で日産の名車を復活させる姿勢は立派だが、それを企業として、地域の人と人のつながり、クルマ文化を根付かせようというマツダに比べたら残念ながら自慰行為としか映らないモノだ。
見た目も大事だけど、現代のタイアに求められる項目に合わせてチューンしてリリースしているのもミソだ。
タイアの世界だけとはいえ、こうして昔のタイアを復刻して、しかも、それを現代の要求する、走行音だとか、ウエットグリップなどを満たすように出て来たことは、単純な消費文化だったクルマが、ようやく 「文化」 として捉えられるようになって来たと感じ、これからの日本のクルマ文化がどうなって行くのか大いに注目して結いたいと感じてやまないのだ。
復刻 POTENZA ADVAN
ブログ一覧 |
タイア | クルマ
Posted at
2018/05/14 00:01:33