
連載企画「フェラーリとランボルギーニ」も、今回を以って最終回となります。
タイトル画像の車をご存知ですか?
フェラーリ 365GT 2+2という車です。
今まで、2シーターのスポーツカーばかり紹介してきましたが、昔からフェラーリは後席のあるグランドツーリングカーも生産していたのです。
その中には、一見「これ、本当にフェラーリ?」と思うような車もありました。
(写真はフェラーリ 330GT 2+2)
何だか、旧いアメ車みたいですね。
昔からと書きましたが、今でもフェラーリには4人乗りの車がラインナップされています。
では、365GT 2+2 以降の車たちを見ていきましょう。
フェラーリ 365GTC/4(1971年~1972年)
メカニズム的には365GTB/4(デイトナ)とほぼ共通、ホイールベースまで一緒でした。
それ故、2+2とは言え、リアシートは荷物しか入らない狭さだったそうです。
後席が狭すぎたからなのか、僅か2年製造されただけで、後継モデル(365GT/4・2+2)が登場し、生産を終えました。
ピニンファリーナによる流麗なスタイリングは、十分にカッコいいと思うのですがねぇ。(もっとも、カッコだけなら365GTB/4(デイトナ)を選ぶか…)
フェラーリ 365GT4・2+2(1972年~1989年)
この車、フェラーリ 400と覚えている方が多いかもしれません。
365GT4・2+2、400GT/400オートマチック、412と名前を変えるこの車は、他のフェラーリと同様、スタイリングはピニンファリーナによるもの。
ただし、他のフェラーリのような流麗なスタイリングではなく、一見すると2ドアセダンのようなボクシーなスタイリングでした。
それだけに、後席には十分な実用性があり、前述の通りに名前を変えながらも、長きに渡って作り続けられました。
ちなみに、名称の 365、400、412というのは、V12フェラーリの伝統的な命名ルール、一気筒あたりの排気量です。(412は、4ℓ V12ではありません)
フェラーリ 456(1992年~2003年)
412 の後継車として登場した 456 は、ボクシーな 412 から、セミファストバックとなりました。
ミッドシップV12は挟角180°の、水平対向チックなエンジンでしたが、FR V12は一貫してV12らしい挟角(60~65°)のエンジンを採用していました。(本来、V12で等爆にするなら60°です。65°と言うのは、当時のF1エンジンの影響でしょうね)
なお、F512Mは5ℓでしたから、5.5ℓの 456 は、550マラネロが登場するまではフラッグシップフェラーリを上回る、当時のフェラーリ最強のエンジンを搭載した車でした。
フェラーリ 612スカリエッティ(2004年~2011年)
当時、ピニンファリーナに在籍していた奥山清行氏が手掛けたボディは、V12をフロントミッドシップとした事もあって、2950mmという超ロングホイールベースの車でした。
名称の612は6ℓ V12の事で、一気筒あたりの排気量ではありません。
サブネームのスカリエッティは、フェラーリと関係の深いカロッツェリアを由来とします。
この車から、ATがトルコンATから、セミオートマの「F1マチック」が採用されました。(MTも用意されていた)
フェラーリ FF(2011年~)
フェラーリのFF、と言っても前輪駆動じゃありません。(笑)
Ferrari Four、つまり フェラーリ初の四輪駆動を意味する FF なのです。
スタイリングはワゴンチック…と言うよりワゴンですね。(汗)
ま、ここはお洒落にシューティングブレークと呼ぶべきでしょうか。
なお、フェラーリは、612スカリエッティとは全く違うコンセプトの新型車であり、後継車ではないと主張しています。
生産時期を考えれば、どう考えても後継車なのですがねぇ。(笑)
現在は、
フェラーリ GTC4ルッソとして販売されています。
さて、これまで紹介してきたV12モデル以外にも4座モデルは存在しています。
以前、
ピッコロ・フェラーリ編でも少し触れました、ディーノ246GTの後継車として発表されたディーノ308GT4を祖としています。
ディーノ 308GT4(1973年~1980年)
ディーノ246GTに触発されたランボルギーニ ウラッコ、そのウラッコのミッドシップ 2+2というコンセプトに触発されたか、フェラーリも同様の車を企画します。
それがディーノ 308GT4。
V12でもない4座のマシンに、フェラーリの名は与えられないと、サブブランドのディーノを名乗らせましたが、フェラーリのエンブレム、カバリーノランパンテが付かないからか、はたまた、フェラーリらしからぬベルトーネ・デザインがフェラーリファンから拒絶されたか、ディーノ 308GT4は販売的に苦戦しました。
フェラーリ モンディアル(1980年~1993年)
前述のディーノ 308GT4の反省として、ディーノ246GTの後継車はピニンファリーナ(フィオラヴァンティ)がデザインした308GTBを、そして、フェラーリを名乗らずに失敗したミッドシップ 2+2には、フェラーリのエンブレム、カバリーノランパンテを取りつけてフェラーリを名乗り、新たにモンディアルの名を与えた車を登場させました。
この車の訳が分からんところは、当初は308GTBと同じ横置きエンジンだったのですが、1989年に発売された モンディアルt から、突如として縦置きに変更された事でした。
無論、その年に発売される348に合わせる為だったのでしょうが、「だったらモンディアルもモデルチェンジすれば?」と思いましたがねぇ。
フェラーリ カリフォルニア(2008年~2017年)
モンディアルの後、V8系の4座モデルの後継は用意されず、一旦途切れますが、2008年、FRのクーぺとして蘇ります。
V12でも、2シーターでも、ミッドシップでもない車でしたが、フェラーリの名を与えるだけの理由として、オープンエアーと言う武器をこの車に与えました。
この頃のフェラーリは全てDCTになっており、イージードライブが可能で、オプションでアイドリングストップ機能も用意されるなど、エコにも気を遣った車でした。
ただ、こうなるとフェラーリじゃないんじゃね? とも思ってしまいますが、フェラーリの間口を広げることには成功し、実際にこの車の購入者の約70%が初めてフェラーリを購入したオーナーだったそうです。
マイナーチェンジ版カリフォルニアTは、フェラーリ初のダウンサイジングターボ エンジンも搭載された車でもあります。(ますますフェラーリじゃ……
ゴニョゴニョ)
フェラーリ ポルトフィーノ(2017年~)
カリフォルニアのマイナーチェンジ版ではあるのですが、名称が変わっているので、項目を分けて紹介しておきます。
かなりの部分、新設計となっているようですが、基本的なメカニズムは、マイナーチェンジ版という事もあり、先代から踏襲されています。
おまけ
フェラーリ ローマ(2019年)
11月13日にローマで、V8を搭載する新型クーペ、フェラーリ ローマが発表されました。
これ、カタログモデルなんですかね?
以上で、連載企画「フェラーリとランボルギーニ」も終了です。
長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。