
サマーブレイクが明け、後半戦に突入したF1。
その開幕戦とも言えるベルギーGPの予選で、Q1、Q2をトップタイム通過していたランド・ノリスがQ3で大クラッシュを起こしてしまいました。
ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンは、ニュルブルクリンクや富士と共に 所謂“山の天気”で変わり易い天候から『スパ・ウェザー』などと呼ばれる事がありますが、今回の予選でもセッション毎に…いや、セッションの中でも天候が変わるという難しい状況ではありました。(Q2では、あと3分雨が降るのが早かったら危うくメルセデスの2台が敗退するところでした)
しかし、Q3が始まると、早々にコースインしたベッテルがとても走れる状況ではないと
「赤旗にすべきだ!」と無線で訴えているほどのコース状態でした。
クラッシュしてしまったノリスにしても、アタックラップに入る前に
「アクアプレーニングが起きている」と無線で報告していたのですが、そのままアタックラップに入ってしまい……
その直後、ノリスはオールージュでアクアプレーニング(日本ではハイドロプレーニング)を起こしてコントロールを失い、ライディオンでクラッシュしてしまったのです。
無線でノリスがクラッシュした事を告げられたベッテルは
「俺が何って言った!?(=だから赤旗にしろって言っただろっ!)」と言って怒っていましたね。
ベッテルは、コース外に停まっていたノリスの車の近くまで車を寄せ、ノリスの無事を確認しに行きました。
ベッテルは、ノリスが親指を立てて自らの無事を示した事を確認し、ようやくその場から離れていきました。
もし、ノリスに意識が無かったら、1992年のセナの様に、マシンを降りて救出に向かったかもしれませんね。(ちなみに、この事故もベルギーGP、つまりスパでした)
ベッテルの優しさが光った瞬間ではありますが、その一方で 何故ベッテルの赤旗要求を無視してセッションを続行してしまったのか。
赤旗を要求したベッテルも、結局はアタックラップに入るのですが、セッションが行われる限りはたとえ危険と認識していても走らない訳にはいかないのがドライバーです。
セッションを止められるのはレースをコントロールするFIA側、つまりレースディレクターのマイケル・マシなのですが、この人に変わってから安全を蔑ろにする決定が多過ぎ!
(写真右が マイケル・マシ)
去年、ムジェロで行われたトスカーナGPで、セーフティーカ―先導を必要以上に引っ張った所為で、再スタート時の多重クラッシュに繋がったし……
今年のアゼルバイジャンGPでは、ストロールがタイヤに起因するトラブルで大クラッシュを起こしているのに赤旗にせず(タイヤはピレリのワンメイクであり、全車に同じトラブルが起こり得た)、その結果、防げたはずのフェルスタッペンのクラッシュを引き起こしました。
アゼルバイジャンGPの時にも書きましたが、前任者のチャーリー・ホワイティング(2019年の開幕戦直前に急逝)だったら、絶対に安全性を無視するような決定はしなかった筈です。
「そんなの結果論で、
起きてからなら何とでも言えるよ」と言われるかもしれませんが、重大事故が
起きてからじゃ遅いんですよ!
2戦連続で、1つ間違えれば重大事故に繋がり兼ねない事故が起きているというのに、今のFIAからは安全に気を掛ける気配が感じられません。
それは、チーム側も一緒で、事故の当該チームはタイトル争いをしているライバルチームを非難し合うだけで、安全の為の行動とは思えない。
本当に、このままだと近いうちに死亡事故が起きてしまうんじゃないかと心配になります。
F1での死亡事故は、2014年(台風の影響で雨となった鈴鹿で、J・ビアンキがコースアウト、撤去中だったホイールローダーの下部に突っ込んでしまい、9ヶ月後に死去)以来発生していませんが、F2では2019年にアントワーヌ・ユベールが事故死しています。
F2は F1の前座レースでもあり、F1のレース前のセレモニーで ユベールの死を悼んでいたのに、FIAはもう忘れてしまったんですか?
しかも、ユベールの事故は ここスパ・フランコルシャンで起きているのにも関わらず。(皮肉にも、事故現場も同じライディオンでした)
この時のレースで自身のF1初優勝を果たしたルクレールでしたが、喜びを爆発させることは出来ませんでした。
「この勝利をアントワーヌに捧げる」
友人たちは、今年も現場に花を手向けに行っています。
彼らは、ユベールのような悲劇は2度と起こしてはいけないと思っている筈ですが、FIAにその思いはあるのでしょうか?
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F1 | 日記
Posted at
2021/08/29 12:57:57