
トヨタは、
初代パブリカを開発するにあたり、当初はFF車として開発を始めていました。
これは、当時の技術担当専務だった豊田英二の意向で、シトロエン2CVを意識していたものだと思います。(水平対向2気筒+FF …… まんま 2CVですね)
しかし、当時の技術レベルでは、トヨタの求めるレベルの等速ジョイントが作れなかった事から、FF車とすることを断念したのです。
このFFに慎重な姿勢は、その後のトヨタにもずっと続いたのでした。
ホンダ・シビックの大ヒット以降、国産車にFF化の波が訪れます。
FF車の利点(コンパクトに収まる駆動部と、その結果得られる広い室内)を生かす為、他のメーカーも続々と主力車種をFF化していくのです。
ミラージュ、ファミリア、ライバルの日産も カローラのライバル、サニーをFF化しました。
しかし、トヨタはカローラのFF化に消極的でした。
ライバルが続々とFF化していくのに対し、カローラ(70系)はFRを貫き、さらにコンパクトなスターレット(KP61)までFRのままでした。
トヨタは、この時代になってもFF車特有のトルクステアなどを気にしていた様です。
そんなFFのネガを気にするトヨタが作ったFF車第一号が、
ターセル/コルサでした。
この車、知らない人も結構いるかもしれませんね。
その後、カローラⅡを含めて タコⅡ3兄弟になってからは結構メジャーな車になりましたが、初代ターセル/コルサはかなりマイナーな車でした。
ちなみに、タイトル画像は赤いターセルを探したんですが、見つかりませんでした。
えっ、何で赤かって?
トヨタがターセル/コルサを開発するにあたり、やはりトルクステアを相当気にしたようで、一般的なエンジン横置きのジアコーサ式ではなく、縦置き方式を採用しました。
ただ、SUBARUの水平対向エンジンとは違い、一般的な直列4気筒エンジンなので、普通に縦置きにしただけではフロントオーバハングが長くなってしまいます。
トヨタは、エンジンの下にデフを配置するという二階建て方式とする事でこれを解決しました。
ただ、二階建て方式とする事で重心は高くなりますし、ボンネットやウェストラインも高くなります。
一方で、トヨタが気にしたトルクステアも、技術の進歩で気にならないレベルのものが作れる様になっていきます。
結局、その後に登場した ターセル/コルサ系以外のFF車は、全てエンジン横置きのジアコーサ式となったのでした。
トヨタって、考えは保守的なのに、その考えを実現するために時たまぶっ飛んだ手段を取る事がありますね。
「天才タマゴ」こと初代エスティマは、FFを嫌ってエンジンを床下に搭載、その為にエンジンを75度も傾けたのでした。
エスティマの床下エンジンは一代限りとなり、二代目はFF化されましたし、ターセル/コルサも三代目からは横置きのジアコーサ式に改められました。
本来なら、無駄な投資をしたと思うところですが、トヨタは「転んでもただでは起きない」会社です。
ターセル/コルサの縦置きFFは、SUBARUがそうであったように四輪駆動化が容易です。
二代目ターセル/コルサ/カローラⅡのコンポーネンツを使用し、
スプリンター・カリブ というヒット車を生み出したのでした。
この時期は、まだライトな乗用四駆車は少なかったので、スプリンター・カリブはスキーを楽しむユーザーに好評でした。
カリブ以外で 4WDを選ぼうとすると ハイラックス・サーフやパジェロといったヘビーデューティーな車になってしまいましたからねぇ。
えっ、セリカGT-FOUR?
「凍ってるね」って、歳がバレます!(汗)
FF化に限らず、トヨタって新技術には慎重で、すぐ飛び付いたりしない会社なんですよね。
少しでも懸念があると、その問題が解決しない限りは商品化しない……これは技術力が無い訳ではなく、自分たちが納得するレベルに達するまで商品化しないだけ。(EVなんか、まさにそれだと思います)
しかし、一度やると決まったら、その分野で No.1になるまで徹底的にやる会社でもあるんですよね。
それだけ、ライバルとするのは手強過ぎる会社という事なのですが……日産も、トヨタに対抗しようと思わなければ、会社が傾いたりしなかったんじゃないかなー。
Posted at 2021/10/26 21:34:08 | |
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