2021年10月28日
ER(Emergency Room)、日本語では救急救命室。
一体、ここには何回来ただろう?
火曜日の朝、携帯電話の呼び出し音が鳴った。
まだ7時前……、一体何が?
電話に出ると、親父の居る高齢者施設のケア担当からの電話だった。
今朝、親父が転倒し、後頭部を強打し意識が無い、と。
救急車を呼んだので、搬送される病院が決まったらまた電話します、との事だった。
暫くすると、これから施設に一番近い総合病院へ搬送されるという連絡が入り、ケア担当も病院に一緒に行くとの事。
ああ、一年前のお袋の時もこんなだったわ。
一年前同様、俺も車で病院へ駆け付ける事になったのだが、一年前は夜だったが、今回は朝。
既に通院患者が来始めており、駐車場は駐車待ちの車で渋滞中。(もちろん、道も通勤渋滞が始まっていた)
何事も無ければ30分もあれば余裕で到着するが、混雑の為 1時間近く掛かった。
この病院のER(救急救命室)には、去年 お袋が搬送されたとき以外に、親父が虫垂炎になった時にも来ていた。
なので、迷う事も無くER前に到着……しかし、施設のケア担当がいない。
家族への引継ぎもせずに帰るとは思えんが……。
ケア担当を見つける前に、ER担当医の病状説明に呼ばれた。
親父のCT画像がモニタに表示される。
「後頭部に強打した時のこぶが有りますが、気になるのは むしろ前頭部の内出血です」
医師が示した箇所が白くなっていた。
「この影響がどう出るかは、まだ分かりません。
しかし、もしかしたら寝たきりになるかもしれません」
if(仮定)の話ではあるものの、かなりシリアスな状況だ。
「自分で食事が摂れない場合は、点滴や、場合によっては胃ろうなどの措置となる可能性もあります。
中には延命措置は望まないという方もいらっしゃいますが……」
それは、親父が常々 口にしていた事だ。
『回復の可能性が無いのであれば、延命措置は御免被る』
俺は「本人の意思を尊重したいと思います」と医師に告げた。
なお、現在の状況は、目は醒めているものの 話し掛けても答えが返ってこない状況らしい。
病院に搬送された事が分かっていない様で、左腕に入っている点滴のチューブを抜こうとするのだそうな。
医師の許可をもらい、ER(救急救命室)の中へ入る。
あ、施設のケア担当はここにいたんだ。
点滴のチューブを抜こうとする親父の体を抑えていた様だ。
今までご苦労様でした、代わります。
親父は、目は開けていて、こちらを見るのだが……俺のこと分かってるか?
って言うか、ホントに点滴抜こうとしてるのか、左手を気にして絶え間なく動いてる。
左手を触ろうとする右手を握って、点滴を抜かないように抑え込むが、そうすると今度は抑えられている右手を何とかするつもりなのか、左手を動かしだした。
仕方がないので、左手も握って抑え込む……って言うか、左手動くじゃん!
電話すると毎回「左手が満足に動かせない」と嘆いていた親父。
今、親父の動かない筈の左手を抑える為に、俺が四苦八苦しているんですが。
暫く、状況把握が出来ずに暴れる親父を抑え込む状況が続いた後、集中治療室に移動する事となり、お役御免となった。
今日はしばらくは様子見となる模様。
明日、再度 CTを撮って異常が無ければ一般病棟へ移動となるとの事だった。
親父が集中治療室へ移動されるのを見送り、自分の状況を確認すると、親父を抑え込むという重労働(?)で汗だくになっていた。
水曜日、最悪の事態は訪れず、一般病棟へ移ったという連絡が入った。
なお、現在もコロナ感染に対する警戒は解かれておらず、家族でも面会は禁止だという。
状況を電話で確認すると、意識も戻り、会話も出来ているらしい……まずは ひと安心。
木曜日の今日、今度は担当医から電話があった。
担当医は、ALSの治療でもお世話になっている神経内科の医師だった。
「お食事も自分で食べられています。
運動機能に不安があるものの、これはALSの進行によるもので、今回の打撲(内出血)によるものではないと思います」
良かったぁ。
「ただ、若干 意欲の減退があるように見受けられます」
先生、あのですね、今回の転倒の前はもっともっと悲観的だったんですよ。
意欲の減退どころか、『もう、生きている意味がない』とか言っちゃってたんですから。
「そうですか、それじゃマイナス思考の言葉を口に出すようになってきたら、元に戻ってきたって判断できますね」
いや、それは元に戻って欲しくないんですけど……。
その後、今度は看護師から電話が入った。
「○○様のご家族様ですか?」
はい。
「実は、○○様がテレビをレンタルしたいと仰っていまして……有料となりますが宜しいでしょうか?」
いや、別に構わんですが……っていうか、病院に運ばれる前は『見たいテレビも無い』って言ってたじゃん!
以前よりもメンタル面が好転してませんか?
てな感じで、今はブログネタに出来ちゃうくらい安心できる状況になっています。
搬送されたばかりの時の医師の説明がシリアスなものだっただけに、当日はとてもブログには書けなかったのですが、医師によると 既に“退院の条件を検討し始める” 状況にまで来ているらしい。
退院したら、「動かない筈の左手を抑えるのに大変だったんだぞ!」って言って弄ってやる!
Posted at 2021/10/29 00:37:39 | |
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