
本日は、連載企画「フェラーリとランボルギーニ」の番外編です。
Web CGの記事で
フォルクスワーゲンの“ランボルギーニ売却”報道から考える というものがありました。
先月、「フォルクスワーゲン(VW)グループが、アウトモービリ・ランボルギーニを売却、もしくはスピンオフ(分離独立)か?」と、米『ブルームバーグ』が2019年10月11日、関係者の話として伝えていたのです。
記事中では、ランボルギーニのライバルであるフェラーリが、2015年10月にニューヨークおよびミラノ証券取引所に上場することでFCA(フィアット・クライスラー)からのスピンオフを実施、FCAは潤沢な資金を獲得している事を挙げていました。
今や、自動車業界が自動運転や電動化に備えて巨額の投資が必要になっている事や、「ウルス」の好調と、近い将来発売されるハイブリッドモデルへの期待で、ランボルギーニの市場価値は急上昇している事など、売却は極めて適切なタイミングだとしています。
ただ、私は「無いな」と思います。
理由は、フェラーリが自分の技術で車を開発しているのに対し、ランボルギーニは実質的にグループ会社の技術に依存しているからです。
先日のブログでも触れましたが、ガヤルド、ウラカンがアウディ製のエンジン、ボディであったり、ウルスがVWグループのMLB EVOプラットフォームを使用していたりと、自前技術だけではラインナップが成立しません。
例え、株式を上場したとしても、グループからの独立は考えられないのです。
実際、VW側は売却を否定していますしね。
何でそんな事も分からないんだろう?
経済紙の記事ならばまだしも、自動車雑誌系のWeb記事なのにねぇ……。
かように、ランボルギーニとフェラーリでは、製品としての車たちはライバルでも、会社としては遠く及ばないのが実情です。
フェラーリが「F1の参戦費用を得る為にロードカーを生産している」等と言っていた頃から絶大な顧客の支持を受け続けていたのに対し、ランボルギーニは、波乱万丈な会社経営でした。
創設者であるフェルッチオ・ランボルギーニがトラクター事業で得た資金からロードカー製造会社として興した会社は、当のフェルッチオに、トラクター事業におけるボリビア政府の大量契約破棄事件などがあり、1972年頃からスポーツカー製造事業を段階的に手放す事になります。
スイス人実業家ジョルジュ・ロゼッティとレネ・ライマーの手に渡ったランボルギーニですが、石油危機もあって業績は低迷。
1978年には遂に破産状態となり、イタリアの公的機関の管理下に入る事になります。
満足に新車開発が出来ない時期が続きますが、1987年にクライスラー(現FCA)の傘下に入るとようやくディアブロの開発が出来るようになりました。
しかし、親会社クライスラーが怪しくなると、再び不安定な会社経営となります。
1994年にはインドネシア系企業の傘下に入るなど、現在のVWグループになるまでは、めまぐるしいオーナー遍歴を辿ったのでした。
その点、フェラーリは安定していました。
レースに集中するため、フィアットグループに入りますが、不安定だったのはむしろ親会社のフィアットの方でした。
ランチアやマセラッティ、アルファ・ロメオといったブランドを傘下に収めていきますが、どちらかと言うと、フェラーリからそれらのブランドに技術の提供を行っていました。
ランチアには、ストラトスにディーノのエンジンや、テーマに328GTBのエンジンを提供しましたし、マセラッティは一時期フェラーリの傘下にしました。
アルファ・ロメオも、現行のジュリア クアドリフォリオなどに積まれるV6エンジンに技術提供(実質、カリフォルニアTのV8エンジンの2気筒を落としたエンジン)を行っています。
現在、FCAはPSA(プジョー・シトロエン)と経営統合に向けて協議を行っていますが、大衆車のフィアットはともかく、高級車のマセラッティ、アルファ・ロメオと言ったブランドは、統合会社にはあまり相応しくない気がします。
むしろ、フェラーリに任せちゃえば? なんて思う今日この頃です。
ランボルギーニ売却の噂から、ランボルギーニとフェラーリの会社の力量の話になりました。
ま、経済評論家じゃなくて、車変態が考えた事なので、会社経営の視点は全く入っていませんけどね。(笑)
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Lamborghini | 日記
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2019/11/09 00:27:17