
連載企画「フェラーリとランボルギーニ」、依頼主から完遂を認めるコメントを頂きましたが……まだ終わっていません。(汗)
本日は、ランボルギーニの4座モデルについてです。
4座モデルと言っても、後席のあるモデルの総称とし、2+2から多人数乗りまで、全てを4座モデルにひっくるめさせて頂きます。(笑)
で、どんなモデルがあるかと言うと……タイトル画像に出しちゃっている様に、現在のラインナップではウルスがそれに当たりますね。
っていうか、「それだけなんじゃないの?」 って思ったりしていませんか?
意外と、「あ、タケラッタの事だから、『アレ』の事を書くつもりだな」なんて思っている人もいるかも。
アレって?
ランボルギーニ LM002(1986年~1993年)
ウルスの登場時に、この車の話題が無かったわけではありません。
曰く、ウルスの始祖と……。
でもねぇ、ウルスがかなり特殊とは言え、乗用のSUVであるのに対して、LM002は、軍用オフローダーと言ってもいいような車です。
言ってみればジープみたいなものです。
そして、そのジープみたいな車に、カウンタックの5.2ℓ V12エンジンをぶち込んじゃったのだから、相当ぶっ飛んだ車です。
車両重量は、驚異の2.7トン!
燃費は1.0km/ℓを割る為、燃料タンク容量は290ℓと大型トラック並みでした。
そんなLM002は、8年間で328台の生産に留まったそうです。
って、この車の事を書きたかったわけじゃないんです!
書きたかったのは、こちらの車たちです。
ランボルギーニ エスパーダ(1968年~1978年)
ミウラと同時期にラインナップされていた、ミウラと同じV12をフロントに積む4座のFRクーペ。
当初、フェルッチオ・ランボルギーニは「ミウラはショー・カーであり、ランボルギーニの他の車の販売促進に役立てばそれで充分」と考えており、その『他の車』にあたる車がエスパーダでした。
言ってみれば、ミウラは“技術的なアドバルーン”でしかなく、ランボルギーニ社として稼ぐ“飯のタネ”はエスパーダの方だったのです。
しかし、ご存じの通り、ミウラは大反響となり、ランボルギーニを一躍有名にした“スター”になったのに対し、エスパーダは脇役に回り、10年間作り続けたものの、1,217台の生産に留まったのでした。
ランボルギーニ ハラマ(1970年~1976年)
エスパーダと同様、3,929ccのV12エンジンをフロントに積むFRクーペ。
エスパーダが完全な4シーターであったのに対し、ホイールベースを2,380mmまで短縮して操縦性を優先させたパッケージングの為、2+2のクーペに仕上がっています。
ミウラがミッドシップの割にリアヘビーで、初期モデルはハンドリングも決まっていなかった為、ハラマはサーキットでは時折ミウラよりも良いタイムを出したそうです。
そんなハラマを、フェルッチオはお気に入りだったらしく、後に最も魅力的なモデルとしてミウラやカウンタックといったランボルギーニの象徴ともいえるミッドシップのスーパースポーツではなく、このハラマの名前をあげたそうです。
当初は年間1,000台規模の生産を予定していたハラマですが、総生産台数は327台に過ぎませんでした。
やはり顧客の目は、華のあるミウラやカウンタックに向けられていたという事でしょうか。
セールス的には残念な結果に終わった2台のFRクーペ。
しかし、販売時期に注目してください。
2台はミウラと同時期、そして終盤はカウンタックの販売時期と重なります。
この時期には、ベビーランボのウラッコの生産も開始されており、ランボルギーニ史上、もっとも豊富なラインナップがあった時期になります。
そして、もう1点、注目したいのが、この2車の存在がカウンタックを生んだかもしれないという事。
ランボルギーニのV12モデルの変遷についてのブログ内でも触れましたが、ミウラ程の大成功を収めたモデルの後継でありながら、キープコンセプトに走らず、カウンタックというガラリと違う車を登場させました。
これは、私が勝手に思っているだけなのですが、ミウラはV12エンジンを横置きに搭載しており、他の車とメカニズムに共用性がなく、その為、相当にコスト高だったのではないかと。
そこで、次代のミッドシップには、苦肉の策としてFR車のミッションを流用、前後を逆さまにして搭載する事を思いついたのではないかと。
しかし、その事によって、カウンタックはエンジンに次ぐ重量のミッションがほぼ車体の中央にあり、単にミッドシップとするよりも理想的な重量配分となりました。
さらには、前方に出力軸を出している為、4WD化しやすいと言う副次的な効果もありました。
もし、FR車を生産していなかったら、横置きだろうと、縦置きだろうと、コストは大差がありませんから、ミウラの後継モデルも、重量バランスの悪い横置きミッドシップのままだったかもしれません。
エスパーダとハラマ。
その車自体は、商業的に成功とは言えませんでしたが、ランボルギーニの将来を変えた要因となった車たちだったのです。
「あのぉ……」
ん? 誰?
「ボクの紹介は?」
キ、キミはっ!
ランボルギーニ ウルス!(2018年~)
世界的なSUVブームに乗る為、フォルクスワーゲングループの共通プラットフォームであるMLB evoプラットフォームを用い、恐らくはアウディ系のエンジンを積んだモデル。
スタイリング以外にはランボルギーニらしさが感じられないものの、いかにも売りやすそうなモデル。
ああ、だから「売るっす!(ウルス)」って言うのか。(←親父ギャグ)