
新型コロナウィルスが猛威を振るい、ニュースはこの話題で持ち切りですが……
車関係のニュースでは、日産の11年ぶり赤字転落のニュースが大きな話題と言えます。
そして、その赤字転落の決算発表を受けて、14日の同社株価の終値は前日比54円80銭(9.6%)安の513円70銭となりました。
なんと、株式時価総額が販売台数で1/5のSUBARU(スバル)に抜かれてしまうという有様です。
まぁ、このところの日産には、一連のゴーン騒動や、新体制の発足から1カ月で関潤 副COOが退社するなどのマイナスイメージばかりでしたが……
本業も株価なりに悲惨でした。
『
日産がアメリカで陥った販売不振の深刻度』を見ると、そりゃぁ赤字にもなるわなぁと思ってしまいます。
ゴーンが進めた拡大戦略で、2012年以降は右肩上がりだった北米の販売台数も、16年以降はゴーン時代のツケを支払う事になりました。
複数の北米ディーラーは、「日産のブランド力は低く、車のバリューでは売れない」と口を揃えているらしい。
ロス南部で営業するディーラーの販売責任者は「日産はなかなか新型車を出してくれない。ピックアップトラックの『フロンティア』なんて、15年間も基本的なデザインが変わっていない。これではお客が離れていってしまうよ」と不満を漏らしているそう。
私は以前から「日本市場を無視し続けている」と指摘していましたが、最重点市場でも商品開発が滞っていたのですね。
販売拡大策は、自動車会社から支払われるインセンティブ(販売奨励金)を原資にした値引きでした。
しかし、それだけ値引きすれば利益は見込めません。
はじめは薄利多売でなんとか利益を上げていたものの、相対的に商品力が無くなり、値引きしても以前ほど売れなくなりました。
当然、収益は悪化しますが、日産は「量から質への転換」と言って、販売戦略を見直してインセンティブを減らす事にしました。
ただねぇ、値引きしても売れない車が、その値引きを減らしてしまえば、誰も買いませんよ!?
結局、日産車の2019年11月の1台当たりインセンティブは平均4659ドル(約51万円)。依然としてトヨタやホンダの2倍近い水準で、4574ドルだった2018年11月と比べても、むしろわずかながら増加していました。(←減らすんじゃなかったんかい!)
収益悪化のもう1つの理由は、レンタカーや企業の社有車などフリート(法人)向け販売への依存。
レンタカーは買い替えサイクルが個人よりも短く、数千台単位での大口受注も珍しくないので、台数だけを求めれば美味しいマーケットです。
しかし、レンタカーは数年後にメーカーが買い戻す契約となっており、大量の中古車が発生する為、中古車相場が崩れます。
日産のアメリカ販売全体に占めるフリート比率は20%前後とされ、10%前後のトヨタに比べて突出しています。
「リセールバリューを同じサイズのセダンで比べると、日産車はトヨタ車より約3000ドルは低い」(日産ディーラー)。
これじゃ、日産車から個人客が遠ざかるのも当然です。
値引きしないと売れない、リセールバリューが悪い……かつてのマツダ地獄の様ですね。
ゴーンが事あるごとに言っていた「コミットメント」。
ゴーンがコミットメント(約束)していたのは数字(台数)であり、その為の施策の全てが日産の収益悪化に繋がっています。
しかも、ゴーンが拘ったもう1つの数字はコストカットであり、開発費を削った結果、魅力のある新車が出てこない状況に陥っています。
北米の収益が見込めない今、唯一の期待が中国ですが、中国市場は既に鈍化が始まっており、さらにここに来ての新型コロナウィルス……
果たして日産の業績回復はあるのでしょうか?
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日産 | 日記
Posted at
2020/02/15 00:56:28