
昨日のTVRに関するブログの中に、カーデザイナーの「ゴードン・マレー」の名前が出てきました。
新型TVR グリフィスのデザインを手掛けたというマレー。
しかし、私にとっては、マレーと言えば ブラバムやマクラーレンでF1の設計をしていたレーシングカーデザイナーでした。
え? マクラーレン F1 って、3シーターのロードカーの事かって?
確かに、ロードカーの “マクラーレン F1” もマレーの作品ですけどね。
上記の、ロードカーのマクラーレン F1も凄い車でしたが、レーシングカーのF1(ややこしいなぁ)こそ、マレーを “鬼才” と言わしめたのですよ。
表面冷却システムはモノにならなかったけど、BT46では ウイングカー以外でボディ下面に負圧を発生させる “ファン・カー” を導入したり……
エンジンをBMWに72°まで傾けさせてまで低さに拘ったBT55を設計したりしてました。
日本じゃ、スポンサーのオリベッティをもじって『ヒラベッティ』なんて言われてたっけ。
あ、奇抜な車ばかりじゃありませんからね。
1981年と1983年にはネルソン・ピケをドライバーズ・チャンピオンの座に就かせましたし、マクラーレンに移籍してからは、1988年に16戦15勝したマクラーレン MP4/4 を設計しました。
MP4/4も低い車だったなぁ。
マレーは1990年のMP4/5Bまでテクニカル・ディレクターを務め、マクラーレンの3年連続コンストラクターズ・タイトル獲得に貢献した後、マクラーレンのロードカー部門に移籍、前述の “マクラーレン F1” や、メルセデスとの共同プロジェクトである “SLRマクラーレン” の設計に携わりました。
なお、マレーは、上記の様な超高額、超高性能な車以外に、こんな車の設計もしていました。
ロケットって車です。
以前、お知り合いに「俺、ロケットに乗ってる」と言われて、頭の中が『?』だらけになったのを覚えてます。
もっとも、どんな車か知った後でも、頭の中の『?』は消えませんでしたけど……。
さて、ようやく「T.50」の話です。
2017年10月、マレーは自らの名を冠したロードカーブランド「ゴードン・マレー・オートモーティブ (GMA) 」を設立。
そこで、かつての “マクラーレン F1” の後継車とも言うべき車「T.50」の開発を始めたのです。
そういえば、何となく マクラーレン F1 に似てなくもないですね。
当時は既に、ラ・フェラーリや、ポルシェ918スパイダー、マクラーレン P1など、ハイパースポーツはハイブリッドとなっていましたが、マレーはそれを嫌います。
軽量に拘り、ドライビングプレジャーに拘り……ハイブリッドどころか、4WDやターボも採用せず …… 今どきミッションはHパターンの6速MTなんですよ!
マレーらしさ全開なのは、センターハンドルの3人乗りレイアウトだったり……
ボディ下面を負圧にするためのファンまで採用。
それ以外のところにも、空力への拘りが随所に……
エンジンはコスワース製のV型12気筒 3.9リッター自然吸気エンジンを搭載。
最高出力は 663PS/1万1500rpm、最大トルクは467Nm/9000rpm、レブリミットは1万2100rpmという超高回転型エンジンです。
このエンジン、ブロックには高強度アルミニウム、コンロッドやバルブ、クラッチハウジングにはチタンを用いており、V型12気筒エンジンとしては史上最軽量の178kgを実現。
もちろん、シャシーとボディもすべてカーボン製で、V12を積んでいながら車両重量は なんと1トン切りの 986kg!(乾燥重量は957kg)
これだけ軽ければ、前述のハイパースポーツ並みの1000psは必要ないですね。
マレー曰く「重いクルマでは実現できない、軽いクルマならではの利点を提供するため、拘りぬいた」との事です。
マレーは、ニュルブルクリンクのラップ記録を破ることや、加速時間の短縮などは、目指してはいないと言います。
「そのようなことには、まったく興味がありません」
「わたし達は、これまで製造されたスーパーカーの中で、最も価値のあるドライビング・エクスペリエンスを提供することを目指しています」
まぁ、タイムを考えれば Hパターンの3ペダルなんか採用しないよなぁ。
でも、その考えは大賛成です。
いいなぁ、こういう車、一度でいいから乗ってみたいです。
ちなみに、この車は 100台限定で生産され、税抜きの販売価格は236万ポンド(3億2700万円)……ははは、無理~っ!
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2021/01/05 21:14:09