
元F1ドライバーで、2008年に1ポイント差でチャンピオンを逃したフェリペ・マッサが、その結果に異議を唱えるため、法的手段を検討しているそうです。
フェリペ・マッサ、2008年の“盗まれたF1王座”奪還に法的手段を検討
2008年のF1は、前年のチャンピオンのライコネンが ミスやトラブルが重なりタイトル争いから脱落ことから、フェラーリはチームメイトのマッサにタイトル獲得の望みを託しました。
タイトル争いのライバル、ハミルトンがリードした状態で迎えた最終戦ブラジルGPは、終盤に降り始めた雨でレースは大混乱。
マッサがトップでチェッカーを受けたのに対し、ハミルトンは順位を下げて行き、最終ラップで6位まで落ちた為、マッサとハミルトンが97ポイントに並ぶ事に。
同ポイントの場合は、勝利数の多いマッサがチャンピオン獲得となります。
最終ラップでの大逆転チャンピオン決定に、マッサファミリーは狂喜乱舞!
しかし……
最終ラップの最終セクションで、ドライタイヤのままでスロー走行となっていたティモ・グロックをハミルトンがパス。
順位を5位まで回復させたハミルトンがマッサを1ポイント上回り、チャンピオンを獲得。
一方で、マッサファミリーは 獲得したと思われたチャンピオンが逃げていき、茫然自失。
当時、10数秒のチャンピオンとか言われた、悲喜こもごもの2008年最終戦でした。
ところで、例え1ポイント差であっても、負けは負けです。
そこに法的手段が入り込む余地など無い筈では?
それが有るのです!
2008年と言えば、こんな出来事もありました。
ルノーがネルソン・ピケJr.に対し セーフティカーを導入させるために故意にクラッシュさせ、チームメイトのフェルナンド・アロンソを勝たせた……いわゆる『クラッシュ・ゲート』です。
通常では有り得ないタイミングで出たセーフティカーによって、マッサは13位に終わったのに対し、ハミルトンは3位でフィニッシュ。
もし、このレースが無ければ2008年のタイトル争いは全く違う展開になっていました。
『クラッシュ・ゲート』が明らかになった後、マッサはFIAに対してシンガポールGPの結果を除外するよう求めましたが、FIAの規約で、各シーズンの順位はFIA表彰式が終了した時点で確定することになっており、順位は覆りませんでした。
ところが!
バーニー・エクレストンが、先月のF1-Insiderとのインタビューで、当時のFIA会長であるマックス・モズレーが「2008年シーズン中」にこの状況を把握していたものの、「とりあえず何もしないことにした」と語ったのです。
“FIA表彰式前” に把握しており、シンガポールでのレースは“無効にするべき”だったとか言われたら、そりゃ法的手段に出てみたくなるわなぁ。
インタビューでは「ルイス・ハミルトンではなく、フェリペ・マッサがワールドチャンピオンになっていたはずだ」とまで言っちゃったらしいし。(どうも、バーニーは「ハミルトンは本当は6回しかチャンピオンを獲得しておらず、だからシューマッハの方が上なんだよ」って言いたいだけなんじゃって気がしますが…)
まー、マッサの気持ちも分からないでもないですが、シーズンが終わった後に結果をひっくり返すっていうのは無理がありますよねぇ。
マッサは、「ドーピングが証明されて、すべてのタイトルを失ったランス・アームストロング」を例に挙げていましたが、ルール違反をした選手資格の無くなった当人の成績を抹消するのとは意味が違いますからねぇ。
それに、シンガポールGPの結果がはじめから除外されていたら、ハミルトンだって最終戦はもっとリスクを取った走りをした筈です。
シーズンが終わってから、「ポイントを変更します」、「チャンピオンもハミルトンではなく マッサに変わります」って言われたら、今度はハミルトンが怒るでしょ。
もちろん、一番悪いのは『クラッシュ・ゲート』を仕掛けたルノーだと思いますが、状況を把握していながら黙っていたFIAも悪い。
あの時、FIAがきちんと対処していれば後々揉めたりしなかったのに……。
F1に関しては、80年代のホンダ&アイルトン・セナの時代から大好きで見ていましたが、その頃から政治的な匂いがしてました。
その多くがヨーロッパ勢に有利というキナ臭いもの。(“ヨーロッパ勢” を、“英国勢” や “メーカー系” に置き換えても良い)
最近は、“スポーツ” より “エンターテインメント” に振った裁定も多く、納得しがたいものが多いです。(先週末のオーストラリアGPでの「赤旗3連発」もそう)
FIAも、もう少し“アスリート・ファースト” な組織になってくれないもんかねぇ。
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F1 | 日記
Posted at
2023/04/07 23:24:44