フェルスタッペンの成績への軽視発言についてのブログを書き上げた後、「じゃあ、フェルスタッペンってどんな選手なのよ」っていう事を書いてみようかと思いました。
マックス・エミリアン・フェルスタッペン(Max Emilian Verstappen)は、1997年9月30日にベルギーで生まれました。
レースでの国籍登録はオランダですが、オランダは 父である元F1ドライバー
ヨス・フェルスタッペンの国籍であり、母がベルギー人でもある事から、マックス自身はオランダとベルギー 両方の国籍を持っています。
マックスは、父の影響で4歳からレーシング・カートを始めました。
本格的な4輪レースのデビューは 2014年のヨーロッパF3選手権であり、マックスが16歳の時でした。
また、この年の8月に
レッドブルの育成ドライバーとして契約するのですが…
何と、その年の日本GPのフリー走行で、
マックスは F1デビューしてしまいました!
レッドブルのジュニアチームである
トロロッソで、フリー走行のみのデビューではありましたが、
F1デビュー時 17歳3日というのは、当時の最年少記録である 19歳を大幅に更新するものでした。
なお、現在はF1に必要なスーパーライセンス発給要件に18歳以上と明記されている為、今後も破られる事の無い記録となっています。
翌 2015年から トロロッソのレギュラードライバーとして本格的なF1デビューとなりますが、その時のチームメイトが 現在 フェラーリに乗る
カルロス・サインツでした。
ちなみに、当時は どの F1記事でも カルロス・サインツ Jr と報じていましたね。
そう、この年のトロロッソは2人とも二世ドライバーだったのです。
(左から カルロス・サインツJr、カルロス・サインツSr、ヨス・フェルスタッペン、マックス・フェルスタッペン)
それ故、その時の私の印象は「また二世ドライバーかっ!」っていうものでした。(彼ら以前にも、ウィリアムズが ニコ・ロズベルグ と 中嶋一貴 の 二世ドライバーコンビ だった事がありましたので)
えー、前置きが長くなりました。(えっ、まだ本文じゃなかったの?)
単に “二世ドライバーコンビ” という話題性の為の抜擢かと思われた2人、とりわけ普通免許すら取得できない 17歳でのフルタイムでのF1参戦となるマックスに関しては懐疑的な意見もありました。
しかし、いざ走り始めると、マックスは光る走りをしてみせたのです。
さすがに若さからくる粗削りな部分はありましたが、私には速さと思い切りの良さだと肯定的に捉えていました。
一部には “危険なドライバー” という意見もあり、実際にモナコGPで ロータスのグロージャンに追突した事でペナルティを受けてもいますが…
私にはグロージャンのブレーキングが早過ぎた事が原因に見えました。(実際、マックスは 同じ1コーナーで、同じロータスのマルドナドを、同じようにインから差してオーバーテイクしていました)
このレースで、私は
マックスに セナと同じ匂いを感じました。(セナも、 “危険なドライバー” 扱いされていましたから)
そんなマックスは、2年目の2016年シーズンも引き続きトロロッソで走るのですが、シーズン序盤にトップチームである
レッドブルに昇格します。
シーズン中、それも5戦目という早い時期の移籍も異例なら、18歳という若さでのトップチームへの移籍も異例でした。
そして、移籍後の初レースで……
勝っちゃいました!
この時、マックスは
18歳227日であり、ベッテルが保持していた
最年少優勝記録(21歳73日)を大幅に更新したのでした。
この年はこの1勝のみでしたが、私が考えるシーズンのハイライトは この初勝利ではなく、シーズン終盤のブラジルGPだと思います。
雨のインテルラゴスで、マックスは異次元の走りを披露、コーナーで一人だけ違うラインを走り、次々とオーバーテイクしていきます。
それはまるで、
1994年ドニントンパークでのセナを見ている様でした。
私は、このレースを見て
「フェルスタッペンは、セナの再来だ!」と思いましたね。
印象的な走りを見せるフェルスタッペンですが、2017年、2018年と両シーズンとも2勝に留まっています。
その理由の一端には、レッドブルにエンジン(PU)を供給しているルノーの信頼性不足でリタイヤが多かった事などもありますが、一番大きいのは…
2014年からメルセデスがF1を支配していたから に他なりません。
この難しい状況を打破する為、レッドブルは賭けに出ます。
メルセデスに対抗できるだけのPUを用意できないルノーと決別し、マクラーレンが捨てたホンダと契約したのです。
ただ、この時のホンダ製PUの戦闘力はお世辞にも強力とは言えないものでした。
何しろ、前年までチームメイトだったリカルドが、あれだけ PUに不満を言っていたルノーへと移籍したくらいですから。(きっと『”GP2エンジン”よりはマシ』と思ったのでしょう)
レッドブルとしても、ホンダの将来性に期待はしても、すぐに勝てるとは思っていなかった筈です。
しかし……
勝っちゃいました!
第9戦 オーストリアGPで、レッドブル・ホンダとしての初勝利を挙げたのでした。
表彰台で、胸のHマークを指し示してホンダを称えたマックス。
勝利を支えてくれたホンダへの感謝という事なのでしょう。
しかし、どちらかと言えば、マックスによってホンダ第4期の初勝利がもたらされたものでした。
着実に戦闘力をつけてきたホンダPUによってチャンピオン獲得の可能性が見えてきたのですが、2020年の終盤に激震が走ります。
ホンダが 2021年を以てF1から撤退する事が発表されました。
この件に関しては、「レッドブルがPUを失う」だとか「PUを内製する」だとか「結局はホンダがPUを提供」だとか色々とすったもんだあったのですが、今回のブログはフェルスタッペンについてですので 今回は触れません。
ホンダが撤退する2021年が、マックスにとってチャンピオン獲得の最初で最後のチャンスになるかもしれない。
そして、実際にマックスはハミルトンと熾烈なチャンピオン争いを繰り広げたのでした。
序盤はマックス有利でシーズンが進んでいきましたが…
バチバチにやり合った為、何度も接触事故を起こした2人。
個人的には、裁定がいつもハミルトン寄りだった事が納得できないのですが…
マックスがチャンピオンを獲るならば、
引く事も覚えないといけないと思いました。
おそらく獲得できたであろうポイントを落とした点数は、ハミルトンよりも多かった筈ですし、そうでなければ 2人が同ポイントで並んで最終戦アブダビGPを迎える事も無かった筈です。
アブダビGPで ハミルトンに先行された時点で万事休す……の筈でしたが、残り5周で事件が発生。
ラスト1周のスプリントレースとなり…
勝っちゃいました!
大逆転で、遂にチャンピオンを獲得!!
F1レーサーというのは不思議なもので、一度勝つと勝ち方を覚えて二度、三度と勝利を重ねて行き、
チャンピオンを獲得すると、チャンピオンの獲る術を知り、無駄なバトルをしなくなるのです。
マックスも 2022年からバトルで引く事を覚え、着実にポイントを持ち帰る様になりました。
もちろん、今でもマックスが持ち帰るのは最大ポイント(=優勝)なのですが…。
以前は、勝つ為にはタイヤを労わらなければいけないのに、必要のないペースアップをしてジャンピエロ・ランビアーゼを困らせていましたが、最近は 一応 JPの言う事を聞くようになりました。(笑)
元々 速さはナンバー1でしたし、これに安定感も加わった為、もはや
歴代最強ドライバーと言っても過言ではないと思います。
とは言え、マックスはまだ26歳です。
まだまだ進化していくでしょうね。
歴代の偉大なチャンピオンは、所属チームで勝てないとなると、勝てるチームへと移籍しました。
プロスト、セナ、アロンソ……ハミルトンも一度だけの移籍ではありますが、メルセデスへと移籍した事で、キャリアの殆どを常勝チームで過ごしています。
唯一の例外がシューマッハで、彼は勝てるチーム(ベネトン)を離れ、低迷していたチーム(フェラーリ)へと移籍しましたが、彼はフェラーリを常勝チームに変えました。
マックスも、チームと共に勝つ道の方を選んだって事ですかね。
勝利には貪欲ですが、チーム(マシン)を変えてまでって思わないところが、他の選手と違うところです。
ようやく得た常勝チームの座ですが、もしレッドブルが低迷した時、マックスはどういう道を選ぶのでしょうか?
シューマッハの様に、チームを常勝チームへと導いていくのでしょうか?
案外、スパッと引退するかもしれないなー。