
最近、書き始めたブログを当日のうちに投稿できていない……。(汗)
昨日のブログで、水素エンジンGRヤリスが WRC第9戦ベルギーのSS区間をデモランした事を書きました。
ご存じの通り、水素を燃料にするエンジン車が公の場に登場したのは、たった一年前の話(5月のスーパー耐久 第3戦『NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース』)です。
それまで、カーボンニュートラルと言えばEV(バッテリーEV)一辺倒で、他の選択肢の話をしようものなら「環境対策に後ろ向き」というレッテルを張られたものです。
いや、水素エンジンを発表し、実際にサーキットでレースに出場までしても状況は変わる事は無く、欧州勢は「水素なんてモノになる訳がない」とばかりに、あくまでカーボンニュートラルを実現するのはBEVしかありえないって感じでした。
もっとも、欧州勢がBEVに舵を切ったのは、VWによるディーゼル車の不正発覚によって、エンジン車では技術的にCO2削減が出来ないと判断したからなんですがねぇ。(トヨタを筆頭にした日本メーカーのハイブリッド技術には敵わない為、一足飛びにBEVに“逃げた”だけとも言う)
もちろん、BEVだって向き/不向きがあり、シティコミュータには最適な車(渋滞時にアイドリングする訳じゃないし、ストップ&ゴーを強いられても 減速時に発電する)だと思いますよ。
ただ、長距離トラックには BEVは向かない。
航続距離が短いし、航続距離を延ばそうとすればバッテリ搭載量がハンパない(≒重い、充電時間が長い)……
状況は変わっているかもしれませんが、2年前 テスラの「セミ」は5トンのバッテリーを積むと言われてました。
5トンのバッテリーを充電するのに、何時間を要するんでしょうね?
そもそも 定速走行では発電する状況にならないので、EVのうまみがありません。
そんな大型トラックを含めた 全ての自動車がEVに置き換わったら、出先で充電ステーションがすぐに使える事など有り得ないでしょう。
地域的にも、BEVの向き/不向きはあると思います。
前述した様に、渋滞やストップ&ゴーばかりの都市部は向いていますが、交通量も少なく信号も無い地域ではEVのうまみが無い。
「ガソリンスタンドの閉店が増えた過疎地には、自宅で充電できるEVが便利」という人がいるかもしれませんが、それは日本だから言える事。
未開の地では、そもそも電気が通っていないところも多く、ガソリン(経由)と違って “運べない”電気では使い物にならない。
日本国内に限っても、極寒地などでは 冬場はエアコンの電力消費が増えて効率が落ちるし……
とまぁ、長々とBEVのネガについて書いてきましたが、言いたい事は BEVにも向き/不向きがあるので、
「向いていない車まで BEVに置き換えなくてもいいじゃん!」って事です。
そんな、BEVに関する状況も変わって来たのか、頑なにBEVを推していたと思っていた欧州勢も、EV一辺倒からその他の選択肢も模索し始めた様です。
現ポルシェAG会長のオリバー・ブルーメが、VWの次期会長(VWグループの経営委員会議長)に就任しますが、ブルーメは 水素由来のeフューエルに肯定的な意見を述べていました。
VWといえば、現会長のヘルベルト・ディースが
「自動車に水素を用いることはない」、「10年経とうとも水素を用いることは理にかなっていない」と、水素の可能性を全否定していたのですがね。
他にも、ステランティスのカルロス・タヴァレスCEOの様に
「水素を用いる車両を売り出そうとするメーカーはバッテリーとEV技術で遅れを取っている」とか言う人もいましたが……
ブルーメ曰く、
「パリ気候協定の目標は、電動モビリティだけでは達成できない」との事です。
ブルーメは、ディースと違って、以前からeフューエルの可能性を評価していた様ですね。
やはり、ポルシェAG会長としては、モータースポーツに係わる事も多く、eフューエルの可能性を捨てる訳にはいかないのでしょうね。
eフューエルとは、H2とCO2を触媒反応で合成した液体燃料で、化学式から『炭化水素鎖』とも言えます。
水素由来と言うだけで 炭化水素鎖の液体燃料なので、既存のエンジン車の燃料として使えますし、既存の給油インフラ(=ガソリンスタンド)も利用できます。
いい事ずくめの様な気がしますが、ディースがeフューエルを嫌ったのは、eフューエルの製造コストであり、非効率である為です。
eフューエルの製造は、まず水から水素(H2)を取り出す際にCO2を排出しない事が大前提となります。(この辺は、水素エンジン車の燃料でもある H2なので、水素エンジン車の普及にも拘わって来る事ですが)
eフューエルがエコである為には、水を電気分解するにあたって再生可能エネルギーで発電した電力を利用していなければなりません(=この場合、「グリーン水素」と呼ばれる)。
そうやって生成されたH2を、さらにCO2と化学反応させて作ったものがeフューエルであり、それだけのコストを掛けて見合うかって話も確かにありますね。(実際、製造コストは1ℓあたり 約500円と言われてます)
まぁ、製造コストに関しては技術革新が進んでいけば劇的に下がっていく可能性があると思います。
ただ、eフューエルは炭化水素鎖の燃料ですから燃やせば CO2が発生しますけどね。
生成時に結合させたCO2が分離するだけだから、『カーボン
ニュートラル』なんですかねぇ?
分かり易く、「水しか排出しません!」と言う方がエコだと思うけどね。(汗)
水素そのものを燃料とするか、はたまた 水素由来の燃料(eフューエル)を選ぶか。
まぁ、全てがBEVに置き換わる未来よりは歓迎です。
もっとも、eフューエルが現行のガソリン車にも全く問題なく使えるというのならば、eフューエルを推しますけど。(笑)
Posted at 2022/08/26 12:24:06 | |
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