
昨日のブログで、空冷ポルシェ(930、964、993)を一気に書き上げようとしたものの、930だけでいっぱいいっぱいになってしまいました。(汗)
普通だったら、昨日書けなかった964、993について書くのでしょうが、今回のブログでは 時系列の方を優先しようと思います。
初めて911を名乗った 901型には、4気筒エンジンを搭載した ポルシェの普及モデル “ポルシェ912” が存在していました。
911が代を重ねて 今も生産されているのに対し、912は 901型だけで生産を終了しています。
コストを抑えるという意味では4気筒エンジンの採用は有効でしたが、安価なモデルである912が911と同じ外観である事は、911、912を含めた車全体としてのイメージを安価な物にしてしまう弊害もありました。
そこでポルシェは、安価なポルシェとして 専用ボディを持つ普及版のモデルを用意する事にしたのです。
ポルシェ914
ポルシェ914は、フォルクスワーゲンとの共同開発によって、1967年フランクフルトショーで発表され、1969年から生産、1970年から販売されました。
元々、ポルシェとフォルクスワーゲンは、タイプ1の開発者がポルシェ社の創設者 フェルディナント・ポルシェ博士である事もあり、当初から深い繋がりがありました。
実際、ポルシェとフォルクスワーゲンとの間には 以下のような提携が結ばれていたのです。
1)フォルクスワーゲンはビートルを1台生産するごとにロイヤリティをポルシェに支払う。
2)ポルシェはフォルクスワーゲンと競合する車種を他のメーカーのために設計しない。
3)フォルクスワーゲンはポルシェの特許技術を自由に使用できる。
4)ポルシェは、フォルクスワーゲンのパーツを自由に利用してスポーツカーを製作できる。
5)フォルクスワーゲンのサービス網をポルシェが利用可能。
そして、この提携をさらに深めた、共同開発車こそが ポルシェ914 だったのです。
ただ、このVW-ポルシェは、紆余曲折の上で誕生した車でした。
当初はフラット4エンジンを搭載するものをフォルクスワーゲン・ブランドで、フラット6エンジンを搭載するものをポルシェ・ブランドで販売する予定でしたが、1968年にプロトタイプが完成した直後にプロジェクトの旗振り役のひとりだったVWの社長 ハインリヒ・ノルトホフが急死した事で雲行きが怪しくなります。
代わりにフォルクスワーゲン会長に就任したクルト・ロッツはそれまでの約束を反故、一切の権利と販売権がフォルクスワーゲンに帰属すると主張します。
最終的にはVW-ポルシェ販売会社を通じて”VW-ポルシェ”として販売されることで落ち着きますが、ポルシェの開発費負担が増えた事でコストは上昇、また この事で両社の関係にヒビが入ってしまいました。
914は、普及版ポルシェの名に相応しく、初年度に16,231台の販売台数を記録、1971年21,440台、1972年27,660台と順調に販売を伸ばしていきますが、その一方で1970年にフォルクスワーゲン会長に就任したルドルフ・ライディングがVW-ポルシェ販売会社の解消を決断。
VWとの提携解消による財政悪化に加え、北米におけるマスキー法などの排ガス規制、第4次中東戦争に起因するオイルショックなどが重なり、914は1976年を以て後継車の登場を待たずに生産終了してしまったのです。
その独特のスタイルや、VW-ポルシェというブランドイメージなどにより、何となく 914は成功とは言い難いイメージがあるのですが、実際には 6年間で合計11万5597台という販売台数を記録しており、ミッドシップ・スポーツカーとしては十分に“成功”と言える成績と残しているのです。
そして、普及版ポルシェの系譜は、914と同様、アウディ製エンジンを搭載するなど VWグループのパーツを用いてコストダウンを図った
“ポルシェ924”。
そして、914と同様、ミッドシップ&オープンボディを持つ
“ポルシェ・ボクスター” へと繋がっていくのです。
ただ、今や もっともポルシェを普及させた功労者(車)は、カイエンやマカンといったSUV達でしょうけどね。(汗)
-つづく-
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Porsche | 日記
Posted at
2022/02/02 01:49:08