
連載ブログ “ポルシェ物語” は、こんなに長く書くつもりは無かったんですがねぇ。
特に911に関しては、ナロー(901)登場の後は、空冷編(930,964,993) と 水冷編(996,997,991,992) の2話で終えるつもりだったのですが……
で、本日のブログネタは、水冷エンジンに切り替わった 996に関してです。
世代としては、5世代目の911です。
901、930、964、993、
996、997、991、992
ポルシェ911(996型)
1997年に登場した996型は、1964年登場の初代911(901型)以来 30年以上に及んで改良を続けていた911が、初めて エンジンからボディまで 全面的に刷新した車なのです。
分かり易いのが、エンジンが伝統の空冷エンジンから水冷エンジンに変わった事ですが、ボディデザインも全く別物となっています。
ポルシェに関する有名なフレーズ「最新のポルシェが最良のポルシェ」からすれば、少なくとも 新しくなった 996は、他の空冷ポルシェよりも良くなっている筈です。
ですが……
996型は 911の中で不人気者のレッテルを張られた車となっています。
それは 928の時にも触れましたが、ポルシェの顧客は 新しい技術で作られたポルシェよりも、伝統的な
“空冷エンジン ”、“水平対向6気筒”、“RRレイアウト”である事を求めたからでしょう。
それ故、新しくモダンになったボディスタイルも、「大きくなってしまった」という否定的な意見になり、特に丸くないヘッドランプには「ポルシェらしくない!」とダメ出しされてしまったのです。
エンジンも同様で、伝統を重んじるポルシェファンにとって、空冷から水冷への変更は受け入れがたいものだったのでしょう。
しかし、環境性能を考えた場合、燃焼を緻密に制御する為には 安定した冷却が可能な水冷方式は必須だったのです。
ただ、水冷方式への変更は 高性能化にも繋がる事でもあります。
ヘッド周りもDOHC化された996は、排気量が3.6ℓから3.4ℓにダウンされているにも拘らず、285psから300psに向上しています。
また、大きくなった996のボディサイズも、鈍重な車になってしまったかのような錯覚を起こさせますが、実際には993よりも50kgも軽くなっているのです。
ドラスティックな進化を遂げた996は その進化幅も大きく、「最新のポルシェが最良のポルシェ」の言葉を地で行く、911の歴史上 もっとも進化を遂げた車でもあるのですが……
やはり、顧客が求めていたのは革新よりも伝統だったのでしょうね。
内装も 996は 全世代の911の中でも、一際異質ですし……。
もう1つ 996のトピックスとして挙げるとすれば、やはりGT3の登場でしょうね。
993の時に、GT2の事を「その後のスペシャルモデル GT3、GT4の先駆け」と書きましたが、実際には GT2は BPRグローバルGTシリーズの“GT2”に参戦すべく、用意されたモデルです。
一方、996 GT3は 最初こそ ポルシェカップ等のレース参戦用の車ではあったものの、その後はかつてのRSの様に、911のスペシャルモデルの意味合いとなったのです。
そういう意味では、今のGTシリーズの祖となった車こそ、996GT3だったのです。
911の歴史上 もっとも進化を遂げた車である996。
単体で見たら とても良い車なのですが、比較対象となる先代モデルの 993とあまりにも違い過ぎた事がユーザーを敬遠させたのでしょう。
しかし、当時としては異質過ぎたかもしれませんが、今なら その後の進化の流れの中の1台として冷静に評価できるのではないでしょうか。
そう考えると、あらゆる世代の911が高騰する中、996の価格の安さが異質に思えてきます。
996、買うなら今かもしれませんよ!?
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Porsche | 日記
Posted at
2022/02/09 02:12:20