
前戦のモナコに続いて、F1予選ネタのブログです。
アゼルバイジャンGPの舞台は、アゼルバイジャン共和国の首都バクーの市街地で行われるレースで、モナコに引き続いての市街地レースとなります。
ところで、アゼルバイジャンってどこにあるかご存じですか?
ここです。
イランの北に位置し、地理的にはアジアの様な気がしますが、当人たちはヨーロッパと主張しており、事実、バクー市街地サーキットで行われた初年度は アゼルバイジャンGPを名乗れたにも拘らず、“ヨーロッパGP” の名称が用いられました。
もう少し詳しく見てみると、東にカスピ海、西にはジョージア、アルメニアといった、アゼルバイジャンと共にコーカサス3国と呼ばれている国があります。
経済学に詳しい人なら豊富なオイルマネー(カスピ海周辺に大規模な油田がある)による近年の発展をご存じだと思います(バクーには巨大建築物が出現し、「第二のドバイ」「第二のシンガポール」とも呼ばれている)。
そして、地政学に詳しい人なら、アゼルバイジャンとアルメニアの因縁も。
アルメニアの西にアゼルバイジャンの飛び地がありますが、アゼルバイジャン内にもアルメニアの飛び地“ナゴルノ・カラバフ”地区があり、民族的宗教的にアゼルバイジャンがトルコ、アルメニアがロシアの支援を受け、それはもう……
え、と、脱線し過ぎました (汗)、本題に戻ります。
まあ、「モナコと同じ市街地レース」と言っても、市街地の公道を使用するだけであり、平均速度が違い過ぎます。
もちろん、城壁に囲まれた狭いコーナーなど、モナコの様な場所もあるのですが、
16コーナーからは実質的にストレートであり、2km以上もの全開区間となります。
それ故、モナコの様にはならないだろう…、具体的には、メルセデスが復調し、フェラーリは中団での争いに戻るだろうと思っていたのです。
ところが!
フェラーリはここでも速く、FPではレッドブルとトップ争いを演じ、
メルセデスはハミルトン、ボッタスともに中団グループで…、いや、むしろ、中団グループの下の方に沈むという有様。
何故でしょうねー、ピレリの一番柔らかいセット(C3、C4、C5)に合う、合わないでもあるんでしょうか?
まー、レッドブルはここでも速く(それも、ペレスを含めて!)、良い成績をあげられそうです。
ポイントランキングでトップに立ったフェルスタッペンにとって、ハミルトンとの間に差をつけるチャンス到来です。
ところが、ところが!
何と FP3で フェルスタッペンがクラッシュ!
なんか、ステアリングを切っているのに全然曲がらないって感じでした。
例えアンダー傾向の車だとしても、それなりの運転をすればいい筈…、急に突風でも吹いたんでしょうか?
そんな、荒れそうな雰囲気満載で始まった予選は、しっかりと予感的中(汗)。
まずQ1でストロール、ジョビナッツィがウォールに激突、この2回の赤旗で影響を受けるチームが続出します。
特にメルセデスは、Q1で予定外のタイヤ2セット使用を強いられてしまいました。
それでも、クラッシュした2人を除けばQ1落ちは3人、そのうち2人はハースの2人なので、実質落ちるのは1人だけだったので Q2進出には問題ありませんでしたけど……。(それだけに、余計なタイヤは使いたくなかったでしょうね)
荒れた流れは Q2でも引き継がれ、リカルドもウォールに突っ込みました。
ストロール、ジョビナッツィまでは「何やってんだか…」と思っていましたが、リカルドのクラッシュの再生ビデオを見ていたら「えっ、何でこんなに曲がらないの?」って思いましたねー。
まるで、オイルに乗ったか、それでもなきゃ氷の上って感じ。(汗)
とにかく、Q2も赤旗がでて、そして残り時間が少なかったこともあり、そのままQ2が終了しました。
Q2で驚きだったのが角田です。
初のQ3進出となったのですが、何と4番手でのQ3進出でした(しかも、トップとのタイム差は 0.029秒)。
クラッシュしなければ、速い事は速いんだねー。(←えっ、今、それを言っちゃう?)
ポールポジション、そして最終的なグリッドが決まる Q3ですが、出走位置が重要になります。
アルファタウリのように、フリーで走れるように、他チームとタイミングをずらしたチームもいましたが、基本的にはストレートでトゥを得られる(日本的に言えば スリップストリームに入れる)位置で走りたいです。
メルセデスはボッタスを先行させて、ハミルトンにトゥを与える戦略を取りました。
しかし、それ以上に効果的なトゥを得たのは、フェラーリのルクレールでした。
ルクレールの前のメルセデスは、アウトラップ後にもう1周ビルドラップ(タイヤを温めるだけのラップ)を入れていました。
ルクレールはアタックラップでしたが、ハミルトンとの間にスペースを開けていた為、第1セクタ、第2セクタはハミルトン車の乱流を受けることなく走れましたし、上手い具合に第3セクタでハミルトンに追いついた為、今度はこれからアタックラップに入る為に全開加速したハミルトンのトゥで引っ張ってもらえたのです。
同じチームでも、ここまで完璧なチームプレイは出来ないでしょ!
それが証拠に、最終アタック時にボッタスが「俺にトゥをくれ!」的に無線で文句を言っていたし、まるで“煽り運転”するドライバーの様にコースの途中で減速し、無理やり後続車に前に行かせたりしてました。
そんな、無法地帯のようなポジション取りの甲斐も無く、角田のクラッシュでQ3はそのまま終了してしまいましたが……。(汗)
しかし、ここまでトゥの影響が大きくなると、モンツァあたりでまた問題が発生しそうな気がします。
誰かが先行してくれるのをみんなで待って、誰も行かずに結局残り時間ギリギリでコースイン。
コースインしても、ポジション取りでお互いにけん制し合っていたら、アタックラップに入る前にタイムアップしちゃいましたなんて事、数年前にもありましたけどね。
これで、2戦連続でルクレールがポールポジションとなった訳ですが…、なんか、スゲーついてますねー。
実力的には、2戦ともポールが取れたかというと私は微妙だと思います。
逆に ついていないのがフェルスタッペン。
Q2、Q3と最終アタックが出来ず、取れた可能性が高かったポールは取れず、Q2で2回アタックした5周オールドのタイヤでスタートする羽目になりました。
まぁ、ルクレールのツキは予選までで、モナコの決勝では地獄を見ましたけど……。(汗)